「…どうせなら法正殿が御結婚されたらどうだろう……」
「誰と」
「えっと、あの…」
「屈強な男と？」
「ち、違うよ…えっと、義妹殿と」
「…………」
「………」
「え、え？」
「どうします兄上、徐庶殿」
「どうもこうもないでしょう。貴方の教育が悪い」
「私ですか？私は元徐庶殿の下官ですよ？教育は逆です、逆」
「徐庶殿、貴方どうやったらこんな性悪女に出来たんですか」
「…あ、いや。俺の下にいたときはこんな…」
「徐庶殿を責めないで兄上。私は徐庶殿の下で学んだんです。卑屈に生きても未来はないと、下野して世間の荒波にもまれ、兄上に会い、兄上に皮肉に付き合っていたらこうなりました。よって兄上の影響です」
「に、似たもの夫婦とは言うじゃ…」
「嫌ですよ。それなら徐庶殿と結婚した方がまだマシです」
「え」
「おや、お前は徐庶殿を好いていたのですか？初耳です」
「ええ、肉まんの前くらいには好きです」
「そ、それってどういう…」
「桃饅頭では？」
「桃饅頭に勝てる人なんていません」
「………」
「いいですか、これはこういう人間です。あまり俺とこれで遊ぼうとか優位に立とうとは思ってはいけませんよ。痛い目を見ますからね」
「あら、珍しい。御忠告ですか？」
「お前の面倒を見てくれる人間が減っては面倒ですからね」
「安心してくださいまし兄上。こんな態度は兄上と徐庶殿以外にはいたしませんわ」

前 / 次