現パロ!
「なあ、今年は何くれるんだ?」
「…なにが?」
「なにがって…バレンタインだよ、バレンタイン」
帰ってくるなり何を言うかと思ったらバレンタインの催促だ。
朔弥がなんとも可哀想なものをみる目で孫市を見るので、孫市は引きつった顔をした。
「何言ってんのイイ歳して」
「なっ、バレンタインは男にとっても一大イベントなんだぞ!」
「おお、孫、おかえりなのじゃ」
風呂から上がったガラシャは孫市が帰宅したのを見るとパタパタと駆け寄った。
何の話をしていたのかと聞くとガラシャは胸を張ってニコニコと笑った。
「安心するのじゃ、孫。わらわが端正込めて心も込めてとっておきのチョコを作るのじゃ!」
「そんな優しい事言ってくれるのはお前だけだぜ…」
「…はっ」
「鼻で笑うな!」
基本的に朔弥はイベントに参加しない。
バレンタインは15日に安売りのチョコを買う。
クリスマスもケーキは安売りを買う。
しかしガラシャがねだると朔弥は仕方無しにケーキや菓子を作る。
そういうイベントモノは買うより作った方が安いと朔弥は言っていた。
「お前、仕事とかで配らねえのか?」
「社交辞令分は買う。手作りは重いからねー」
「のう、朔弥。わらわ朔弥のお菓子食べたいのじゃ」
「俺も食べたいのじゃ」
ガラシャの真似をしてねだってみるが、あからさまに朔弥は引いている。
氷点下になる勢いだ。
「別にチョコなんて職場でいっぱい貰えるでしょ?義理が」
「うるせー!義理を強調するなぁ!!」
最終的に孫市が泣いたので朔弥は仕方なくチョコレート菓子を作った。
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