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「なんだ正則、その子供」

「あ?コイツか?」


三成は眉をひそめた。
それは正則が子供を肩車していたからだ。
その子供は三成にとっては関係ないが、正則がやけに上機嫌なのに対して子供はヒドく落ち着いていてハシャぐ様子もない。


「おねね様の養女だよ」

「なに?そんな話はきいてないぞ」

「嘘ですからね、それ」

「……子供はそう言ってるが?」

「なんだよ、ちったあノレよ」

「はあ…」


これではどちらが子供だかわからない。
正則が子供に文句をいい、子供は落ち着いてい相槌を適当にいれている。
その態度に心当たりのある三成だったが、まさかと思い、口にはしなかった。


「それで正則は子守か」

「まあな」

「ひとりで大丈夫だと断ったんですが」

「…子供の方が大人だな、正則」

「お前な!俺の厚意を」

「ふん、厚意とは押し付けがましいな」


鼻で笑ってやれば面白いように怒る正則。
子供を肩車したまま地団駄して、子供は困って頭にしがみついている。
別に三成には関わりの無いことではあったが、その様な状態にした一部は自分にあるので少し気の毒に思った。
一部というのは、子供も子供でなんとも正則のしゃくに触る事をいうのだから仕方ない。


「ちっくしょー!今日という今日は堪忍袋の緒か切れたぞ三成ぃ!!」

「何してる馬鹿」

「聞いてくれよ清正」

「その前に朔弥が目を回しているが、おねね様になんて言い訳するつもりだ」

「…朔弥?」

「うげぇ!や、やべぇ…」


確かに朔弥と呼ばれた子供。
清正によって丁重に下ろされると、そのまま抱かれて行った。


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