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「あれ、くのいち、その首巻き…」


幸村殿の着物と同じ柄だね。
朔弥が幸村とならぶくのいちを見て言った一言。
その言葉にくのいちは内心焦り、幸村はくのいちのマフラーの柄を見ている。
朔弥の横にいた孫市は「お熱いねえ」なんて茶化している。

「真田軍で揃えたの?」

「いえ、くのいちの首巻きは」

「えー、あー!ほんとだー!!偶然ー、幸村様と私の模様がおんなじー!!」


こんな偶然あるんだー!!
幸村の言葉を遮り叫ぶくのいち。
くのいちは幸村が何か言わないように間髪入れず言葉を発し続ける。
その首巻きはくのいちがこっそり作った物で、幸村と陰ながらお揃いにしたのだ。


「お揃い、可愛いね」

「可愛い…です、か?」

「はい、だって仲間意識の現れみたいで」

「ま、まあ?私と幸村様は主従関係だもん。こんな偶然もありだよね!」


よかった、朔弥が深く追求する人じゃなくて。
くのいちは心底そう思った。
幸村の性格からして、くのいちのそういった行動に気づかないのは今に始まった事ではない。
まさかここで朔弥に言われるとは思いもしなかったが。


「おいおい、普通そうじゃねぇだろ」

「え?なんで?」

「んな事偶然起こるわけな゛」

「あ、手が滑っちゃった」


孫市のおでこに小石が良い音をたてて当たった。
それこそ普通そんな風に小石は飛ばないし、手は滑らない。
頭を抱え込む孫市に朔弥は「手が滑ったなら仕方ない」と痛がる孫市をまるで無視している。
朔弥はどうやらくのいちの気持ちを察したのだろう。
人の恋路を邪魔する奴は馬になんとかされてしまえ、だ。


「んー、でもさ、朔弥ちんも孫市とお揃いじゃん?」

「え?何処が。」

「孫市の襟巻きの色と、朔弥ちんの帯の色。一緒」


あと家紋。と、くのいち。
家紋は雑賀のを使わせて貰っているからお揃いとうものではない。
孫市の襟巻きと自分の帯を交互に見る朔弥。
孫市は復活したのか鼻息が荒い。
正直気持ち悪い。


「なんだ朔弥、お前そんなに俺の事好きなのか?」

「な、なんと朔弥殿は孫市殿の事を好いていらっしゃるので!?」

「いや、つうか、私の着物も孫市のも政宗に貰ったやつだから何処かしら同じでもおかしくないんじゃないの」


そう、実は二人の着物は政宗からの支給品。
焦ることもせず、冷静な朔弥に孫市ががっくり肩を落とした。



孫市衣装うろ覚えで書いた小ネタ。
ちなみに今主人公と孫市は伊達でお仕事してる。
なんで幸村とくのいちがいるかは聞かないお約束。


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