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「ただいま」

「おー、朔弥。孫市に連れ帰ってこられたか」

「うん、まあ、ね」


結局孫市に強制的に連れ返された朔弥。
元就が大層残念がっていたが、朔弥が別れ際に「家出したら匿ってください」と冗談で言ったらそれはもう嬉しそうに「いつでもおいで、待っているよ」と言われてしまった。


「しかしお前も意外と行動力があるのだな」

「そう?」

「まさか元就公のとこにいるとは思わなんだ、孫市が大層驚いておったわ」

「そもそも孫市がおねね様とか頼るの禁止って言うから」


そうじゃったな。と政宗は笑った。
その場面に立ち会っていた現在の雑賀の雇い主の政宗。
最初こそ朔弥を外に出すことを反対していたが、更に腕を上げるのであれば伊達の向上に繋がると承諾し、最終的にはかなり朔弥を支援してくれた。


「よくわからないけど、帰りの旅路は孫市に説教された」

「ほう、孫市が説教か…。まあ、あんな文を貰ったら説教のひとつやふたつしてやりたくもなるやもな」

「…文?大殿からの?」

「大殿…?ああ元就公からのな。内容聞いとらんのか?」


うん。と頷く朔弥。
聞いたところで過去のことだしと孫市に深くは聞いていない。
その文自体は孫市が持っている(処分した)ため、政宗はどういう内容であったかしか知らないが、それを簡単に朔弥に教えてやった。
すると朔弥はなんとも疲れた様子でため息をついた。


「まったく…そんな文書く余裕あるなら仕事したらいいのに」

「なかなか情熱的な内容であった」

「頭がきれるんだか、なんだか…」

「まあ、孫市の心中も察してやれ。あれで朔弥を気に入っている」


笑う政宗を前に朔弥はため息をついた。
確かに孫市は朔弥を大切にしてくれている。
一人旅はその裏返しだ。
しかし今回のことは少しやりすぎではないだろうか。
これでは孫市は兄か父親だ。


「まあ、何かあったら大殿のところに家出してやるけど」

「おい、それは儂が困る」

「え?」

「そんな事したら孫市の奴、雑賀衆つれて元就公のところにいくぞ」

「えー…」


それをさも面白そうにいう政宗。
どうやら孫市が妙に朔弥を庇護するのが面白いようだ。


「…馬鹿みたい」

「そういうでない、朔弥が旅で出てから数日は落ち着かんかったからな孫市は」


とりあえず終わっとく大殿シリーズ(!)


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