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「…きたの?」


朔弥が声をかけると猫はにゃあと鳴いた。
その猫は元就の書斎に出入りしている猫で、その猫を飼っているのか、野良なのか朔弥は知らない。
猫は元就よりも朔弥に懐き、元就の側で朔弥が控えていると膝の上に乗りたがっていた。
孫市と元就の話がつかず、だからといって朔弥自身どうしたいという明確な目的がないので朔弥は暇。
そこに顔を出した猫で暇を潰そうと猫を呼んでみた。
猫は朔弥に呼ばれるまま、朔弥の膝に乗ってゴロゴロとのどを鳴らした。


「よくここがわかったね」


猫は知ってか知らずかまたにゃあと一鳴き。
朔弥は膝に乗る猫を赤子のように抱き上げ、まるで子供をあやすようにしているとそれに気付いた孫市が声をかけた。


「おい朔弥、猫なんか抱いてないで話を聞け」

「聞いてる」

「おや、その猫ここに来たのかい?本当に朔弥の事が好きみたいだね」

「おい、元就公。猫なんざ今はいいんだよ」

「しかしそうやって猫を抱いていると子供を抱いているみたいだね。朔弥も子供が一人や二人いてもいい年頃なんだよね、そういえば」

「私子供欲しくないので、独身でいきます」

「話を聞け、お前ら」


元就のペースと朔弥独自のペースがあってしまい、孫市は畳を叩いて話の修正を投げ掛けた。
今は朔弥の結婚やら子供ではなく、朔弥の身の振り方だ。
孫市にしてみたら雑賀衆の朔弥の身の振り方を赤の他人の元就に言われなければならないのかと腹をたてているわけだ。


「朔弥をもらえないかい?もちろんタダとは言わないよ」

「朔弥を貸すのはいい。だが朔弥をやるのはできない相談だ」

「もう朔弥は一人前なんだから、朔弥を雑賀に縛り付けなくてもいいだろうに」

「一人前かどうかは俺が判断する、だいたい旅にだしてそんな数ヶ月で一人前になれるわけないだろう」

「この前朔弥は一人で熊を穫ってきたよ」

「大殿、大殿。あれは私一人じゃありませんよ、地元の猟師からの要請で出向いただけです」


あれ、そうだっけ。と元就はトボケて見せた。
そもそも孫市は朔弥が熊を穫ったとしてもさほど驚きはしない。
二人で旅していたころは、二人でよく色々と穫っていた。
最初こそ朔弥は可哀想だの綺麗事を言っていたが、回数をかさねる事に捌けるようになっていった。
しかし、トドメと血抜きがやはり出来ないのでそれだけは孫市が請け負っていたが。


「うーん、そうだ、それなら朔弥、私の息子の誰かと結婚しなさい」

「話が飛びすぎです、大殿」

「勝手に朔弥を結婚させようとするな!」

「息子、嫌かい?じゃあ私は?」

「「いやいやいやいや」」


そのコントのような展開に猫がまたにゃあと鳴いた。


意味分からん/(^o^)\


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