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「寝たか、幸村」

「ええ、なんとか」


朔弥の腕に抱かれて、胸に顔を埋めるように眠る幸村。
先程までグズって手が着けられない程で、私用で城下に出ていた朔弥はねねの配下の忍により急ぎ呼び戻されたのだ。
何事かと朔弥が走って帰れば、昼寝をしていた幸村が目を覚まし、そこに朔弥がおらず、ぐずった。
そしてそれをあやそうと慣れない三成が話かけるが、泣き止まず、兼続もあやそうと試みるが、やはり駄目。
ねねも「こういうことは任せなさい」と意気込むも、手が着けられず朔弥に助けを求めるべく部下を走らせた。


「お前、本当に子供苦手なのか?」

「…なんですか、三成殿」

「よく幸村が懐いているからな」

「今回の事で子はいらないと思いました」

「答えになってない」

「ちょこまか動き回るし、すぐ鳴くし、いちいち私の後ろに付いて来るし気の休まる時がありゃしない」


子供への不満を三成につらつらと言い上げる朔弥。
言う割にしっかりと幸村を抱き、背中をポンポンと優しく叩いてやっている辺り、しっかりしている。
幸村が起きそうな気配がすると、起きないように優しく揺らしてやれば幸村は再び夢に足をつけている。


「…その割には母役をよくしているな」

「まあ、幸村殿にはお世話になってますからね。それに幸村殿、手がかかりませんから」

「そうか?」

「ええ、食事も自分でできるし、風呂と厠はお二人が面倒を見てくださいますから」

「お前を母上母上と追いかけるが、いいのか」


よくありません。と朔弥はぴしゃり。
確かに良くないだろう。
朔弥は婚姻していなければ子もいない。
それで母上と言われたのでは嫌だろう。
そもそも三成には朔弥が婚姻するというのも想像できないが。
しかしながら朔弥を気に入っている男がいるのも知っている。


「おお、幸村眠ったか」

「兼続、遅いぞ」

「すまん、幸村が泣いて中断していた仕事を終わらせてきた」

「なんていうか…私の子供じゃありませんがスミマセン」

「なに、私たちが面倒をみると言ったのに呼び戻してこちらこそスマン」

「しかし思いの外幸村の執着心が朔弥驚いた」

「…え?」


そうだな。と頷く二人に頭に「?」を浮かべる朔弥。
聞けば「ははうえ、ははうえ」とワンワン泣いたそうだ。

そうか、通りで胸に抱く小さな幸村殿の手が私の袖をしっかりと握り締めているわけだ。と朔弥は溜め息をついた。




ちなみに朔弥が出掛けときは幸村は兼続と三成と一緒に遊んで(子守)ご機嫌。
お昼寝したらグズってしまったよって話。
幸村喋ってない。←


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