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「本当に、申し訳ありませんでした」


朔弥に深々と頭を下げているのは幸村。
その幸村は今朝方元に戻り、ドタバタと様々な準備をして今にいたる。


「元に戻ってなによりです」

「朔弥殿にはご迷惑をおかけしてしまい、誠に申し訳ありませんでした」

「…いえ、私など後ろから付いてくる幸村殿を仕方なしに見ていただけですし」

「……本当に申し訳ありません…」

「いや、だから…」

「しかも母う「はい、それ以上言ったら許しません」…すみません」


ショボン。そんな擬音語がまさに当てはまる。
それに対して朔弥はいつものように淡々としている。
しかし、幸村が元に戻って面白くないものが数人。
ねねはそれこそガッカリするだろう。
子供になった幸村をたいそう可愛がっていたし、母上と呼ばれる朔弥をしきりに羨ましがっていた。
政宗と孫市は幸村と遊んでいたというより、幸村「で」遊んでいた。
もうこれで幸村を理由に仕事から逃げることはできないだろう。
くのいちは子供の幸村を見て、しきりに可愛い可愛いと言って世話をしていた。


「しかし子供になった時には記憶なかったのに、戻ったら子供の時の記憶が残っているというのも面白いですね」

「…妙に恥ずかしくて、身の置き所がありません」

「まあ、あれだけ朔弥にくっ付いてたら恥ずかしいよなぁ」
「ま、孫市殿…」

「朔弥どの、朔弥どのってな」

「孫市、イヤらしい」

「どこが」

「顔が」


確かに妙にニヤニヤというか、ニタニタしていたらイヤらしいを通り越して気色悪い。
そこをイヤらしいで終わらせたのは朔弥の優しさか。
しかし孫市はこの朔弥の態度はいつもの事なのでたいして気にはしていない。


「ま、よかったんじゃね?戻って。子守りも結構疲れるんでな」

「その節は大変お世話なりました」

「へえ…子守りだったんだ」


なんとも朔弥の冷たい呟きがこぼれた。



中途半端におしまい!


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