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「うわ、本当にちいさくなってる幸村様!」

「あ、くのいち」

「やっほー朔弥ちん。幸村様がお世話になってまーす」

「本当にね」


嫌味ったらしく笑顔で答えるが、くのいちには効果がなかった様だ。
ちょうど朔弥が銃の手入れをして、それを眺める幸村のところに着たくのいち。
その格好は忍のものではなく、町娘の様だ。


「ほら、挨拶」

「こ、こんにちは」

「あにゃーん?幸村様ったら人見知り?」

「さあ?慣れれば誰でもくっついてたから、緊張じゃない」


午前中は孫市と騒いで、昼過ぎから少しは政宗と遊んでいた。と朔弥が言えば、くのいちはニヤニヤ。
何かと聞けば「幸村様超可愛い」だそうだ。


「で、つれて帰るの?」

「ううん、お館様からは『幸村がそこに居たがったらくのいち、お前さんはそこで幸村の世話ね。ついでに、その雑賀の子に世話賃渡しといて』だって。はい、その世話賃」

「……、てことは、もしかして、居座るの?帰りたがらなかったら」

「うん。」


ニッコニコのくのいち。
開いた口が塞がらない朔弥とそれを不思議そうに見る幸村。
うっかり銃を落とさないようにしっかり握るあたり、自分はできていると誉めたかった。


「だってぇ、母上から離れたら可哀想じゃん?」

「!く、くのいち…」

「みーんな聞いたよ、朔弥ちん?幸村様朔弥ちんとサヨナラが嫌でグズったんでしょー?」


もう完全幸村様の母上じゃーん。と楽しそうにするくのいち。
とりあえずそれはここでもう言わないでくれと頼むと、くのいちは「仕方ないにゃー」とニヤニヤして約束した。


「じゃ、世話はくのいちがしてくれるんだよね」

「んーまあねー。よろしくねえ」

「その前に政宗の所には行ったの?」

「今取り次ぎ中ー」

「動いていいの、それ」

「大丈ー夫。ちゃんとここに案内してもらってたから」


もう彼女の元気にはため息しかでない朔弥。
こんなに人と会って疲れたのは久しぶりだ。


「てなわけで、幸村様。幸村様のお世話はこのくのいちめが勤めます!」

「…?」

「ああ…解放されるんだ、私」

ほっとしたのもつかの間、くのちが「なーにいってんの、母上」と言ったことに寒気がさした。


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