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※前当主、大奥様捏造注意!
※結婚ネタ


「それなら僕が名前さんと結婚するし」
「え、それは嫌…」

五条家の本家。
今まで名前は色々と五条家の世話になり、今となっては現当主が唯一声を聞くとして本家からはある意味丁重な扱いを受けている。
最近では前当主とその奥方に呼び出されては現当主の見合い相手を共に次は誰が良いか、と相談していた。
そして今日も、休日と言う貴重な日を使って面倒ではあるが仕方なく渋々やってきた名前はその相談にやってきたのだ。
そして何を思ったのか、いつもであれば寄り付かない現当主が一緒にその相談に参加した。
参加するなら見合い破談させるなよ!というのが名前の本心ではあるが、言ったところでどこ吹く風になるのは長年の付き合いでわかってしまった。
現当主をまるっと無視して相談していると、不意に大奥様が「そうだ、名前さん、貴女五条家の分家にいい人がいるからそこの人とお見合いしない?そうしたら分家とはいえ五条家なんだし」と言った時だった。

「え、なんで…絶対僕の方が顔良いし当主だしお金あるし」
「そうね…名前さん、貴女悟と結婚してくださない?まあ弟さんの件はこの際見ないふりで。そうね、それがいいわ」
「確かに。名前くんであれば悟の性格もわかっているし付き合いも長い。悟もある程度言う事を聞くしな」
「え、ちょ…まって、待ってください。私、」
「じゃあこの話はこれでお終ーい。じゃあ名前さん連れて帰るから」
「待ちなさい悟。結婚となれば早急に決めないといけない事やら沢山あります」
「私結婚しませんけど!!」
「どうしてだ?君もいい年なんだから悟で手を打ちなさい」
「名前さん好きな人でも居た?彼氏居たっけ?」
「あ、いや…その…え、っていうか、五条くんと結婚が無理」
「えー。だって名前さんと結婚したらお見合いもしなくていいし本家行く回数減るし、名前さんだって本家に呼び出される回数減るし」
「いや、それ五条くんがしっかりしてくれればいいだけの話でしょ。結婚したらしたで次は子供の話がくるんだよ、知ってるんだよ!!」
「そうね、男の子をお願いね名前さん」
「話が早いです大奥様!」
「悟がいやなら分家のアレがいいだろ、確か若い。こちら的にも君が五条家に入ってくれれば安泰だ」
「話を!聞け!!」

名前を無視して五条家の前、現当主に大奥様が話を進める。
名前くんが嫌なら若い男、年上がいいのならあっちの家の二男なんてどうだと前当主。
術式的にはその分家よりもこっちの分家、若いと言っても20は過ぎていますからすぐにでも結婚できますよ、と大奥様。
いやいや、そんな分家に名前さん出すくらいなら僕が結婚するし、と現当主。

「名前くん、君の弟が起こした件で世話になったのは?」
「ご、五条家…の、大旦那様と、大奥様…」
「いや僕でしょ?」
「名前さん、じゃあ選びなさい。ここが貴女の恩返しの場です、悟と結婚するか分家の男か」
「選択肢が狭くありませんか!?」
「他に君相手が居るわけじゃないんだろう?あの夏油傑の姉が呪術師界で相手が居るとは思えんし、一般人だって居ないだろう」
「…………、じゃ、じゃあ…分家で」
「は!!??なんで!?僕でしょ!!って事で、名前さん僕のお嫁さん決定」
「いやだ!!」
「現当主は僕でーす!僕が一番決定権持ってまーす!嫁ぎ先は五条家本家!五条さんちの悟くん!」

いやあああ!!!という声が屋敷に響いた。
それからは名前が何を言おうとしようと既に話はとんとん拍子に進み、名前が諦めた方が早いよと言われて名前は気力を失って終わってしまった。
帰りは五条が運転する車に乗り、ぼけーっと名前は風景を眺める。
全部夢っていうオチだといいな。という一縷の望みを持って。

「明日高専で報告するからね」
「え、なにを」
「僕らの結婚」
「え」
「僕の事は今度から悟って呼んでね」
「………うそ…」
「ホントだよ。だって結婚するって話まとまったでしょ?」
「け、形式だけ、じゃなくて?」
「今度は式の日取りと入籍の日取り、新居に色々あるね」
「むり………」
「大丈夫!幸せにするから!!まあ暫くは子供は作らないとしても、夜の営みはしたいな。名前さんどの体位好き?あ、でもそれは今度身体に聞くね」
「酷いセクハラ…」
「名前さん誰とも付き合ってないでしょ?大丈夫、安心して!僕優しくするから!んで僕好みに開発するからさ!もっともって言わせるから!」
「誰かこの悪夢から起こして…」
「残念!現実。まあ僕もまさかこんな事になるなんて思ってなかったし。諦めてよ」
「なんで五条くんはそんなアッサリなの…結婚だよ結婚…人生のある意味一大イベントだよ…」
「まあ子供の時から色々あったし。でもその点名前さんだから不安はないかな、傑の姉さんだし付き合い長いし。名前さんのこと好きだったし」
「そっか…まあ傑と仲良かったもんね…」

あれ?という雰囲気が五条からするが、名前はそれどころではない。
面倒事はごめんだが、これだけ厄介な事もないだろう。
報告する両親も居ないが、相談できる相手に相談する時間さえ与えられずに、しかも自分で決める事さえできずに決まった結婚に名前はただただ溜息と吐き気しか出てこなかった。

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