呪術 | ナノ
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「へー!夏油くん先生になるんだ」
「僕もだよ」
「五条くんも?意外…」
「なにそれ。僕が先生ってなんかおかしいワケ?」
「五条くんは先生って感じじゃないから」

任務帰りに寄ったコンビニの大きなカフェラテを片手に名前が笑う。
学年が1つあがり、名前は卒業をして呪術師として高専に属している。報告書であったり、任務であったりと高専には頻繁に通うので学生と実はあまり変わらない生活である。
変わったのは双子を引き取って、寮をでて生活をしている事だろう。
未成年である名前が双子を引き取ったというには少し弊害があるが、あまり関係の良くない両親を説得したのだ。もう名前が両親に関わらない代わりに双子を養子にしてくれと。それに関して絶対に迷惑はかけないし遺産だって放棄する、と。10代の子供が言うには重いが、実の子である名前を快く思っていなかった両親から了解を得て今の暮らしになってる。

「ねえ先輩」
「なに?その気持ち悪い猫なで声」
「うわ、ひど。そっちの双子とさ、会わせたい子供いるんだけど」
「えー…なに?恐い」
「先輩。実は悟も子供引き取ったんですよ、先輩と同じく2人。上の子が双子と同じだったかで」
「え、ご、五条くんが!?」

うっそぉ…。と驚いた様子で名前は一口カフェラテを飲む。
名前のひとつ下の学年は3人そろっているが、ふたつ下の学年は1人かけ、そして残った一人は呪術師にはならないという事だ。
呪術師が生きる道ではないし、残った七海とはそれなりに任務を一緒にこなしたり助け合ってきた。寂しくないと言えば嘘になるが、それも仕方のない事だろう。

「禪院って先輩だって知ってるっしょ」
「まあ、御三家っていう知識だけなら」
「あの家の相伝の子供買ったんだよ」
「うわあ!!クズ!このっクズっ!!」

人の子を買うなんて!と名前が言えば「星漿体の一件で関わったヤツの子供だよ!」と雑に説明された。
聞けばその人間が禪院の出身で、その子供が相伝だったという事らしい。禪院に買われるところを五条が手をあげて奪った、という。奪ったは言い過ぎではあるが、まあ禪院にしてみれば奪われたと言っていいだろう。その子供が相伝なのだから。

「美々と菜々に会わせてどうするの?」
「今まで一般人の中に居たわけだ、仲間に会わせてやろうと思って」
「ふーん。でも私暫く忙しいんだけど」
「ガキどうすんだよ」
「私が面倒見るから大丈夫。だから先輩は許可を出してくれたらいいよ」
「……なんで傑が見るんだよ」
「だって私と先輩は共犯だからね」
「夏油くんの特級効果に頼りました!まあ、ならいいよ。ついでにごはん食べさせてあげてよ、あと学校のプリントとかあったら連絡してほしいし、宿題も見てあげて。それと」
「えーなにその所帯じみた会話」
「ある意味所帯だね」
「この齢で子育てをするとはね!」

はっははー!と笑う名前。
大変なのはあの時からである。夏油は名前に「共犯だよ」と言われてから積極的に双子に関わり、時には補助監督や教師に頼ってあたふたしながら生活をしている。
楽ではない。ただ赤ちゃんではないからその分の心配は少ないが、でも年相応の心配事は沢山あるし、見なくていい呪霊の存在を感じているのだから一般ではない悩みもある。
それをお金である程度解決できるくらいには高専の時から給料は出ていたのでそれは助かったのだが。

「じゃ、今週の土曜でいい?日曜本家呼ばれてんの僕」
「わかった。じゃあ土曜日準備しておく、夏油くんお願いね」
「はい」
「てか、二人でんなことしてんの初めて知ったわ」
「五条くん一人の任務多かったしね」
「私も単独任務多かったし、知らなくても仕方ないね。作り置きしておきましょうか」
「あー助かる。レンチンで食べられるやつお願いします」
「はい」
「…………なにこの、アレ。僕理解できない」
「それなら私はここ最近五条くんが一人称を俺から僕にしたことの方が違和感ありまくりよ。っと、そろそろ帰るね、二人が帰ってくるから」

おつかれー。とカフェラテ片手に急いで走り去る名前の後ろ姿を二人は見追った。

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