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※灰原生存if
※夏油Not離反高専教師


「野薔薇ちゃん、紹介します。私と同じ1級呪術師の灰原くんです」
「灰原雄です!五条さんと夏油さんの後輩で七海と同い年!あ、七海って知ってる?七三でスーツ着て変なサングラスかけてるの」
「うーん、灰原くん自己紹介で七海くんの紹介はしなくていいよ」

というのが最初の話。
今回は珍しく1級呪術師が2人の任務に同行することになった釘崎。
夏油名前は以前から知り合いではあったが、もう1人は初めて見る名前だった。
担任の五条の説明では「ひとつしたの後輩。あいつ元気だけが取り柄って感じだけど1級だから強いよ」という酷く抽象的な表現だった。
確かに元気。元気だ。と釘崎は思った。言えば高専のOBなのだからどこかしらネジが吹っ飛んでいるだろうとも思っていた。しかしこっち側にネジは飛んでいるとは思わなかった。
陽キャというやつだ。虎杖もかなりの陽キャであるが、こっちもかなりの陽キャである。
任務中も「釘崎は五条さんが担任なんでしょ?」だの「夏油さんと任務行ったことある?凄いよー本当」と話しかけ放題だった。
いい加減すると名前が「ほら、野薔薇ちゃん困ってるから」と窘められてはいたが、まあおさまらない。

「名前さん、灰原さんていつもああなんですか」
「んー…まあ、あんなだね。学生の時から変わらないかな」
「七海さんって、人も?」
「七海くんが真逆。冷静沈着。でも近接ゴリラなとこはそっくりだね」
「七海の話ですか?七海はね、学生時代は細かったんだよ、今じゃゴリゴリのゴリラでさ。一番変わったね」

帰りの車中でもこうである。
こっそり聞いたはずなのだが、こういうところは五条の後輩だと言ってもいいくらいの図太さである。
そして釘宮が少し七海という呪術師に興味がわいた瞬間でもある。




「姉さん」
「あれ、授業は?」
「これから実習訓練の監督だよ」
「今3年居ないのに?」
「私の、です」
「野薔薇ちゃんのか」
「姉さんは任務?」
「うん、今回は七海くんと」

実習訓練に担任ではなく3年担当の夏油が付くのはこれが初めてではない。今現在3年が不在だという事で特級でありながら良い様に使われている夏油傑特級呪術師。
伏黒も釘崎も何度か監督として同行されているし、虎杖は監督ではなく実践訓練で世話になっている。

「ななみ、さん」
「釘崎は会った事あった?」
「ないです。前回灰原さんがよく言ってたなって思って」
「あー…灰原は七海と仲良いからな…」
「この前なんて自己紹介のはずが七海くんの紹介始めちゃったんだから。笑っちゃったよ」
「灰原らしい」

二人で笑いだすあたり、灰原1級呪術師のよくある行動なのだろう。
しかしそこで釘崎が気になるのは名前が言っていた「七海くんは冷静沈着」という言葉である。
その冷静沈着な人間とあのような陽キャが一緒にいれるのだろうか、という疑問だ。
同級生であれば否応なしに同じ教室同じ任務はわかる。しかし今は呪術師として行動しているのだし、もしやその灰原1級呪術師の片思いだというなら理解できる。

「すみません、お待たせしました」
「やあ七海。今日は姉さんと一緒なんだって?」
「夏油さん、ええ……夏油さんは実習監督ですか?」
「1年の釘崎野薔薇だよ。悟が担任なんだけど悟出張でね」
「釘崎野薔薇です」
「七海建人です、よろしく」

確かに硬い。
聞いていた様にスーツ姿に七三の髪型。変なサングラス。近接ゴリラと言っても過言じゃない体型をしている。
そして何より、礼儀正しい。
頭を下げて挨拶されて急いで釘崎も頭を下げる。

「この前ね、灰原くんと野薔薇ちゃんと3人で任務だったんだけどね。灰原くん七海くんの紹介しているし七海くんの話ばっかりだったんだよ」
「またアイツは…」
「誰にでも灰原は七海の話するからな」
「どうせまた碌でもない事を言っていたのでしょう。灰原が迷惑をかけてすみませんでした」
「え、あ…いえ」

ふふふ。と夏油姉弟が笑う。
これもまた灰原と七海を知る人間であれば見慣れた光景なのだろう。戸惑う釘崎と謝る七海を見て2人は楽しそうにしている。

「灰原にも毎回言っているのですが」
「灰原くん七海くんの事大好きだから、七海くんの思う通りにはならないと思うよ」
「灰原は七海の事本当好きだからね」
「もうさ、七海くんが先に学生に会っちゃえばいいんだよ。虎杖くんみたいに」
「へんなあだ名付けられるけど」
「あ、ナナミンだっけ?」
「やめてください。そういう夏油さんだって新しい男性補助監督が来るたびに牽制するの止めた方がいいですよ」
「え、なにその話詳しく。行きの車で聞かせて七海くん」

すばやく七海の背中に手をまわしてパンと叩く名前。そしてすぐに駐車場に向かう二人。
「ちょっと待って!本当、待って!」と普段とは違って焦り始める夏油に釘崎は「やっぱ呪術師ろくなヤツいねえな」と再確認し、あの灰原はマシだったのだと思った。

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