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「#幼馴染」のBL小説を読む
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※順平IF

「あと3年の名前が順平と同じ式神使いだよ」

ぴんと立てられた人差し指。年甲斐もなく可愛い子ぶる担任となった五条悟は吉野順平と同じタイプの術式を使う学生を教える。
同じ式神使いであれば同級生に伏黒恵がいて仲良くした方が良いよ、元ヤンだし。と忠告を受けたばかりである。

「その人も、元ヤンなんですか?」
「いや?名前は元ヤンじゃないよ。なんで?」
「いや…なんと、なく」
「あと3年の担任の夏油傑も式神使いだ。まあ名前と傑は式神使いというか、術式が呪霊操術なんだけど」
「は、はい…」

長い脚をこれでもかと見せる様に吉野を置いていく勢いで1年の教室に向かう五条。
少し息切れを起こしながらその後をおい、新しい教室へと向かう。
先日虎杖悠仁と知り合い、ここ呪術高専に編入という形となった吉野。多少の、いや、大きな不安を持ちながらも同じような世界が見える仲間がいるというここに入学する運びとなった。

「というわけで、吉野順平だよ。仲良くね!」
「よ、よろしくお願いします」
「よろしくな!順平!」
「ま、今悠仁しかいないんだけど。他にさっき話した恵と、釘崎野薔薇がいるから。どっちも恐いよー」
「先生、それ二人聞いたら先生が絞められるよ」
「僕最強だし!でも教え子とのコミュニケーションなら受けるよ!」

あははは!と笑いだす虎杖。
何がおかしいのかさっぱりわからない吉野。これからの不安の方が明らかに大きくなった瞬間である。
席は虎杖の他に空いている席が3つ。2つはその2人のもので、どれがどこかは吉野には検討が付かない。

「さあ順平の席はどーれだ!」
「え、クイズ形式?」
「間違えると大変な事になるからね!」
「順平、ここな、お前の席」
「悠仁ー教えたら面白くないじゃーん」
「先生、いきなりそれは難しいって。順平そういうキャラじゃないし」

そこそこ。と指された机に大人しく着く。
大きな体をぐにゃりぐにゃりと曲げて「あーもう!面白くないよ悠仁!ちょっとしたゲームじゃん!」と愚痴っていたと思ったら「じゃ、ホームルーム始めるね」と面白くなさそうに続ける。
あ、ホームルームまだだったんだとこの時二人の思いがシンクロしたが、口に出していなかったので誰も知らない。

「野薔薇と恵は昨日からの任務で午前中には戻る予定だよ。で、悠仁と順平は午前は座学、午後から悠仁は機能訓練で順平は3年の実習に見学」

以上。じゃ、座学始めるよー、順平は悠仁と教科書共有ね。と折角ついた席を早々に移動することになった。






「吉野順平、新しい僕の生徒だよ」
「夏油傑、3年の担任をしているよ、よろしくね吉野くん」
「3年の五条名前です。式神使いなんでしょ?よろくね」
「吉野、順平です…」
「ほらー恐がってるじゃん。優しくしてよ」
「どうせ午前中に悟に好き勝手やられて疲れてるんだよ」
「はあ?」

午後からの3年の実習見学だからと上級生とその担任の紹介をするよ。と連れてこられた3年の教室。
そこには五条と同じく高身長の男性と、席に座っている女学生が1人。他に姿はなく、吉野でもすぐに分かった。

「ごじょう、せんぱい?」
「名前はね、僕の妹なんだ」
「え!?」
「血は繋がってないけどね、義理の妹。五条先輩もいいけど、そうすると僕と名前が反応するよ」
「好きに呼んでいいからね。ただ皆が『悟と同じ苗字なんてかわいそうだろ!』ってキレてくるから名前と先輩が無難だよ」
「皆僕の妹が羨ましいんだよねー」
「吉野くん?どんな式神使うの?」
「綺麗にスルーするよね名前」

時間になるから行くよ。という夏油の声に名前が返事をして教室をでる。名前が「吉野くん、行くよ」と手招きをしてやっと吉野も教室をでた。その後ろで「じゃ、順平のことよろしくねー!」と手を振っているが、それに反応して手を振っていたのは夏油だけ。名前は名前で「吉野くん任務行くの初めてだよね?どこから行くか知ってる?」と無視して歩いていた。

「では今回の名前の任務の説明をするよ。吉野くんは見学とはいえ現場だから十分注意すること」
「は、はい」
「都内の廃ビルの一角に2級相当の呪霊を確認。速やかに祓う。以上」
「2級なんて珍しいですね」
「本当に。だから悟も吉野くんを入れたんだろうね」
「どういう意味ですか?」
「名前は1級の呪術師で、自分の等級より下の呪霊の任務が珍しいって事。吉野くんはどのくらいの知識があるのかな」
「ほぼ、ないです」
「悟から基礎知識は教わってない?」
「今日来たばかりなので…夏油先生と、名前先輩が式神使いって事は教えてもらいました」

車内、助手席に夏油、後部座席に名前と吉野が座って説明を受けていた。
その吉野の発言に思わず夏油は後部座席の吉野を見てから名前を見る。名前も同じく吉野を見てから夏油を見て二人で目で会話を始める。
名前は夏油ほど長い付き合いがあるわけではないが、五条となってから五条悟がどのような人間であるかは嫌というほど知っている。

「よし、吉野くん」
「はい」
「少し授業をしよう、現場に着くまで。現場では名前の任務を見ながら授業、帰りも授業だ」
「え、は、い」
「一般家庭出身の君はまず知識が必要だからね」
「そうそう。いきなり見学って言われても、ただ凄い事しかわからないからね」
「虎杖の時もそんなだったから、まあ予測はしてたけど」
「悠仁も?」
「悠仁くんも一般家庭出身だから。伊地知さんが教えてくれたってよく言ってた」
「は、はは…五条さんから聞いてないってよく言われましたよ」
「悟は家系だから気が付かないんだよ。向いてないんだよ、この仕事」
「今朝も本家からお見合いがあるから私からも言えって電話来ました」
「え、なに?名前にまで連絡来るの?」

ちょっとソレ詳しく。と授業少し待って。と夏油は名前に詳しい事を言えと迫った。

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