呪術 | ナノ
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「おぎゃああああん!」
「おめでとうございます、元気な五条くんです」
「ふざけている場合ですか」

外を見ていたら「あ、名前さんが乗って行った車じゃん」と思って出迎えようと駐車場に向かった五条。
補助監督は急いで車を飛びおるし一緒だった七海はいったん降りてすぐ反対側のドアを開けて何かを降ろす仕草をしている。
ん?と思って様子を見ていると七海に抱きかかえられて頭から血を流す名前が出てきたではないか。

「な、なに!?その怪我!」
「見てわかりませんか、怪我してるんです。どいてください」
「見た目酷いけど、たいしたことないよ、多分」
「多分!!」

当てている布、おそらく七海が使えと押しつけたハンカチはすでに赤く染まって血の容量を超えているのだろう。端から血が滴りそうになっている。
確かに頭の怪我は血が大げさの割に小さい事があるが、それにしても酷く安心はできない。
あの飛び降りた補助監督は家入の所に走ったのだろう。電話で連絡済にしても様態は悪化しかねない。
足早に運ぶ七海の後を追って「名前さーん!死なないでー!」と言えば「縁起でもない事を言わないでください!」とぴしゃりと七海は叱る。

「七海くんごめんね、スーツ汚しちゃって。クリーニング代は請求して」
「そんな事言っている場合ですか」
「だって自分で歩かなくていい分することなくて…」
「名前さんは自分の心配しようよ!」
「そうです。そして五条さん邪魔です、付いてこないでください」
「僕だって名前さん心配してんだよ!」

ぴちゃん。とハンカチの端から血が滴る。
出血量が多い。と五条は判断して傷口を抑える名前の手の上から自分も抑える。多少は抑える力が加わって圧迫になるだろう。ないよりはマシという程度だが。

「名前さん、眠くない?」
「ちょっと眠い」
「寝ないで。硝子の所までもうすぐだから。七海スピードあげろ」
「これ以上は揺れて名前さんに負担がかかります」
「もう高専だし、大丈夫だよ」

大きな音を立てて医務室の扉を蹴破る様に開ける。
七海が名前を連れてくると思っていたのだろう、五条の姿を見た家入は酷く驚いた顔をしていたが名前の姿を見て指示を飛ばす。

「結構血出てるね、痛みは」
「あんまり」
「はいはいいつもの。ハンカチ外すから名前さん手どけて」

ベッドの上に横にされ、家入の言うとおり押さえていた手をどける。
ハンカチを外せは血がまた溢れている。

「あーちょっと深いね。今反転術式使うから大人しくしてて」
「はーい」
「悟は手を洗え、七海もな。名前さんは終わったら身体拭いて暫く待機。貧血で倒れられたら元も子もないから」
「あーい…」

シャワーは貧血起きた時困るから今は無し。と再度言われた名前は「家入先生きびしい」と余裕がある。
施術が終わると血で汚れてはいるが傷は塞がった様子。
名前が起きていいかと言えば「まだ」と家入に即答されている。

「七海は怪我はないか」
「ええ」
「名前さん、どうしてそんな怪我したの」
「ちょっとヘマしただけだよ」
「おい七海」
「ヘマしただけです」
「硝子、頭気持ち悪いから拭きたい…」
「今するからちょっと待って」
「あ、僕したい」
「却下だ。相手は怪我人だぞ、元とはいえ」
「あ、七海くん。ハンカチ駄目にしてゴメンね、今度何か代わりのハンカチ用意するから」
「そんなこと気にしなくていいんです」
「そうそう!」

なんで五条くんが答えるの。と名前が笑う。
名前の血を落とす作業に入った家入が「まったくだ」とそれに賛同する。
べたべたとした血液を綺麗に拭うその手つきは流石というくらいだ。あれだけ血まみれだった頭もなんとか元に戻り始めている。

「私初めてだよ、抱っこしてもらったの」
「抱っこって…名前さん可愛いね」
「五条くんは前から大きかったけど、やっぱり大きいね」
「図体ばかりですけどね」
「硝子も医療従事者って感じの、手つき、だし…」
「名前さん?」
「みんな、大きく、なってよね………」
「寝た」
「寝ましたね」
「寝たよ」

すー…と寝息が名前から漏れる。
血を大量に流したからだろう、今まで気を張っていたが今は傷は塞がり不安になる要素がなくなって気が緩んだのだろう。
安心しきった顔で寝てしまった。

「名前さん、何目線なんだ…」
「僕らとひとつしか違わないじゃん」
「私はふたつです」
「なに?若いアピール?」
「違います」
「まあ何でもいいが静かにしろよ。寝てるから」

家入が名前の手に触れ、「少し冷たいな」と言って毛布を掛ける。
怪我人じゃないお前らは出て行け。と追い出された二人。


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