呪術 | ナノ
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「呪霊倒さないの?」
「そんな余裕ないの!!」

うわああああああ!!と名前を抱えて走る虎杖。
体力と力が規格外の虎杖が名前を捕縛して逃走という形をとったらしい。
夏油から名前を奪って、物理的な距離をとる。
夏油の対策に当たった二人だが、相手が相手だ。祓うという事は出来ても本体のポテンシャルが違う。
とりあえず無事だと良いよね、名前は思ってはいるが。
残った虎杖を追いかけてくる呪霊が1体。恐らくこれが名前を見張る役なのだろう。ただ単純に追いかけてきている。

「倒さないと傑に居場所ばれちゃうよ?」
「なんでそんな名前さん余裕なの!?」
「んー、多分、自分にあんまり関わらないからかな」
「こんなになってんのに!?」
「私危害加えられないから」

でもちょっとこれは苦しいな、と思うが言わない。言ったところで今必死な虎杖は「え、あ、うん!」で終わってしまいそうだからだ。
名前が逃げようにもしっかりとホールドされている。抵抗してもこれは名前自身が苦しい思いをする事になりそうだ。

「仕方ないな、手伝ってあげるから降ろして」
「え、まじ!?」
「うん」
「よっしゃ!」
「じゃあねー」
「あー!!!」

単純というのか、騙されやすいというか、なんというか。
名前の申し出にいとも簡単に騙され、名前は逃走を図る。というより逃走できてしまった。あまりの簡単さに名前も拍子抜けではあるが、それ以上に虎杖が心配になるレベルだ。
確かに普段であれば敵味方の構図にはならないが、今現在その構図になっているのだ。そう簡単に騙されてはいけないだろう。
アレは傑の呪霊である。ならば名前の存在を無視して虎杖を追いかけるか名前を回収して傑の元に行くか。
どちらにせよ今は虎杖と距離を置いて逃走する方が先決。単純な体力勝負であれば名前には勝ち目がない。
勢いがついた虎杖が簡単に方向を変えることが難しいことと同じように、名前もその腕から逃れてすぐに移動するのは難しい。しかし呪霊が追ってきているのと追われていないのでは違いが大きい。
虎杖が持ち直す前に名前は体勢を整えて今まで走ってきた方向に逃げる。

「名前さんのうそつきー!」

騙される方が悪い。と名前は心の中でつぶやく。
そう簡単に人を信じるものじゃないよ、と注意したいが今は無理だ。賞品はでないが勝敗があるので一応は勝ちたい気持ちがある名前は今はどうやって虎杖を撒くか、そしてどうやって傑と合流するかである。
呪霊はコミュニケーションが取れない、取れたらそれはかなり高い等級になっていまこうして遊ぶ事はできない。今そこの呪霊は低級で、多くの指示はできないはず。
ここはひとまずアレが虎杖を追いかける方に賭ける。



「傑!」
「嘘!なんで…」
「虎杖しくったな」

虎杖から距離をとって撒いてしまえばこちらのものだ。
いくら虎杖といっても犬の様に匂いで追ってきたり索敵が出来るわけではない。
呪霊を祓っている間に逃げて距離を取り、上手くいけば傑と合流できると踏んだ名前。案の上、いや、思った通りにすんなり合流できたわけだ。

「はい!五条先生!」
「はい!名前さん!」
「私傑から逃げても独り勝ちになりますか!」
「いいよ!しよう!!」
「ということで!傑もバイバイ!」
「は!?」
「じゃあルール変更で名前さん捕まえたチームの勝ちね。傑はチームじゃないけど。ちなみに共闘は無し。悠仁今いないからそれは駄目ね」
「自由が過ぎる!」
「俺は式神で名前さん追うがいいか釘崎」
「駄目だってもそれが最善だろ!時間稼ぎになるかわかんないけど、やってやろうじゃないの!!」

踵の返しが尋常ではないが、名前は素早く提案して受け入れられたとわかると体勢を立て直して逃走を図る。
接近戦は苦手なんだ。と普段言ってはいるが、一応は1級の呪術師である。そこらへんの一般人より体力もあれば体術の心得だってあるだろう。あの特級二人が身近にいるから錯覚しやすいが、名前が弱いのではなく周りが強すぎるのだ。
体力バカではない分、この追いかけっこも幾分かは1年にも勝ち目はある。あの特級の弟からも逃げるという、かなり1年が有利となる提案だったからだ。
現に今3級までという縛りがある中、1年だけではなく名前の確保というものまで追加されている。それでも夏油傑という人間には大きな問題ではないが、名前が逃走するという予測していなかった事態には少々焦っている様子だ。

「また姉さんも変な事考えて…」
「名前さんらしいじゃん。1年の為に負担減らしてくれてさ」
「悟」
「あん?」
「攻撃はどこまで良いんだい?姉さんの確保も追加されたからちょっと真面目にやるよ」
「げえ!今まで手抜いてたってこと!?おい伏黒!早く名前さん確保!!」
「追いかけてる恵に届いているといいね。とりあえず生徒自身が負けを認めるか戦闘不可能当たりだな」
「じゃあ釘崎さん、ちょっとリタイアしてもらおうか」
「うげ!!」

ぎゃあ!!という釘崎の声が響き、1年釘崎野薔薇はリタイアという名の戦闘不能状態にさせられた。

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