呪術 | ナノ
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「名前さん見っけ!!」

え?という間もなく虎杖が名前に突っ込んできて肩で担ぐ。
思わず名前が「ぐえ」と受け身がとれていない声を出せば虎杖は「あ、ごめ」と謝るも降ろす気配はない。

「悠仁ナイス!」
「何のつもりだい悟」
「授業の一環だよ、傑から名前さん引き離して逃げ切れるかって。悠仁走って傑に捕まらないようにね!」
「応!」
「………で、ルールは?」
「高くても3級レベルの呪霊を3体まで使用可、時間はお昼まで。傑が名前さん取り返せば傑の勝ち、出来なければ1年の勝ち。最終的にね」
「呪霊の補充は?」
「なし!」

時計を見れば9時。およそ3時間のゲームだ。
できれば前もって言っておいてほしいが、暇をしていたのも事実である。
1年という括りがあるから五条は手を出さないのだろうし、その代りに3級までという制限があるのだろう。

「姉さんが逃げるのは有り?」
「あり!3人にも言ってあるから、変な知恵を付けてなければ名前さんには伝わるよ」
「肉弾戦は?」
「あり!」
「じゃあ呪霊なくても問題ないか、気をつけるのは虎杖かな」
「野薔薇も恵も甘く見ないでほしいな」
「特級の実力を見せてあげるよ」





「……じゃあ、私逃げた方が良いの?」
「馬鹿、何正直に話してんだよ。名前さんに協力してもらうのだって作戦なのに」
「打ち合わせしないで走らせたこっちの落ち度だな」
「えー…俺が悪いの?これ」

同じく説明を受けた名前。
とりあえずは夏油姉弟対高専生1年という図が理解できた。
今は1年の3人に捕まっている状態で、このまま昼まで行くとどうやら傑の負けになるということも。

「でも、私が逃げないと訓練にならないと思うんだけど」
「なんで?」
「私を捕獲、傑から逃げる。でしょ?そこに私の逃走という課題も加わって3人の連帯を高めるってことじゃないかと思うんだけど」

確かに名前が言うのもわかる。しかし特級相手にしてさらにまた手間が増えると思うと気が重いのも確かである。
特級と言えど一応は教師でなので命の危険はない。しかし、だ。
あの最強の親友である特級が普通の感覚で来るだろうか。いや、ないだろう。ましてシスコンの気があるのだ。全力まではなくともそれなりの勢いをつけてくるだろう。

「あとね」
「うん」
「一か所に固まっていると危険だと思うよ。傑もう呪霊使って私探してると思うし」

あ。という声が三人分重なる。
悠長に相談をしている場合ではないと名前が忠告すれば呪霊が遠目にゆらりとこちらを伺っているのがわかる。
相手は教師と言えど特級の呪術師。操る呪霊のランクだってピンキリだ、五条からのルールでは3級程度とは言われているが、3級でも能力の差があるわけだ。
まして持っている呪霊を把握しているわけがない1年があれがどれだなどとは判別するには難易度が高い。

「玉犬!」
「私は名前さん連れて逃げる!」
「こっちは式神で呪霊の方に行く」
「え、じゃあ俺夏油先生なわけ!?」
「傑は近接もかなり出来るから頑張ってね」
「あ!」

ばいばーい。と名前は名前で釘崎の手から離れて走っている。向かう先は呪霊、訓練に協力する形をとる事にしたのだ。
1年に協力するのもいいが、訓練となれば人質や保護対象が協力的であるとは限らない。一般人であれば呪術師に分があるが呪詛師や一般的ではない人間はそうもならないだろう。

「虎杖!名前さんを呪霊と合流させるな!」
「応!」
「上ががら空きだよ、君たち」
「うわ」

突如上から降ってきた声。嫌でもわかる。夏油傑だ。
いまだ使っている呪霊が1体だけしかわかっていない。索敵を得意とする低級をつかっていたのか、もしくはアレがソレに該当するのか。
五条と引けを取らない巨体が上から降りてきた。

「駄目じゃないか、こんな固まっていたら」
「名前さんからも忠告貰いました」
「私まだ1体だけしか使ってないのに見つけてしまったじゃないか」
「必死だったの間違いじゃないの?先生」
「うーん。そう、なるかな。いきなり悟に言われたからね」
「ルールは夏油先生と名前さんをお昼に引き離して俺らの誰かと一緒にいれば勝ち!」
「あれ?私が奪還したら終わりじゃないの?」
「それじゃ早く終わるだろ?」

同じく上から声が降る。
五条が目隠しをしてニヤリと笑っているのがわかるが、何故かそれが学生たちの神経を逆なでる。

「……あの含みのある言い方はソレか」
「じゃあ、私傑と一緒にいたらいいの?」
「そーゆーこと。じゃあ僕の可愛い生徒たち、頑張って傑から名前さんを捕まえてね!あ、ちなみに名前さんは逃げるだけだからね」
「傑と一緒にいたらいいんですか?」
「まあ、そんな感じかな。攻撃は無しだよ」

分かりました、傑と逃げます。と名前は小さく手をあげて返事をした。
名前と学生の間に傑。言えば学生の方が不利な状態、いや、今がフラットなのかもしれない。
これからどう特級から引き離し、時間まで名前という人間を学生が捕縛して逃げ切れるか。


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