呪術 | ナノ
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「あー名前先輩。今戻りですか」
「硝子ちゃんお疲れー。今実習終わったとこ」
「誰とでした?」
「庵歌姫先輩。久しぶりに会ったよ」
「えーいいな、うらやましい。でもどうして今なんです?」
「こっち来てたのと、先輩後輩かつほぼ社会人だっていうので組まされたんだと思うよ。あとコレ硝子ちゃんにって」

庵歌姫は名前と家入硝子の先輩に当たる呪術師だ。
就職は教師で京都の高専に決まっている。今は京都の方で実習をしているが呪術師としての仕事もしているので出張でこちらに来た際に名前と組まされたのだ。

「元気でした?」
「うん元気だったよ。硝子ちゃんに会いたがってた、今回は時間が無いから駄目だけど次は絶対!って。京都きたらいいお店連れて行ってくれるって」
「楽しみっすね」

女性の呪術師は少ない。言えば男社会である。
とはいえ呪術師は基本常に人材不足である。女だからといって無下にできないのが現状である。現に名前と家入硝子、そして庵歌姫、冥冥も女性ではあるが呪術師としているわけである。
事実女性であるというだけで肩身が狭い部分はあるが、実力さえあれば問題はない。実力があれば、の話ではあるが。

「この土日三人で遊びに行こうって話になってるんですけど、名前先輩もどうですか」
「行きたいけど…報告書があるよう…」
「あー…先輩、私とお出かけしましょ」
「行きたいよ!!行きたいけど報告書があるんだよ!!何この報告書地獄!庵先輩も言ってたけどさ!3年の報告書多すぎ!!2年まで少なかったじゃん!!」
「名前先輩!これは、これはヤバい」
「え」
「私とデートしたらきっと解決します、財布は悟なんで」
「いやだから報告書!!」
「っち。名前先輩真面目過ぎ。こんなのひとつくらい忘れたって」
「駄目だよ、硝子ちゃん。駄目だからね、わかる?そんな事言ってると五条くんみたいになっちゃうよ」
「それは困る」

そうだ、これ私達で食べる様にって貰ったから部屋で食べよう。ともう一つ持たされたお土産を振る。
庵歌姫という先輩は五条悟をかなり嫌っているのは暗黙の了解である。その反面同性である名前や硝子には優しい良い先輩である。悩みや愚痴を聞いてもらうのも聞くのも慣れたもの。今は遠くで任務についたりしているが電話やメールでのやり取りは今でも少なくはない。
実際今回の実習も相手が名前が知れば名前と硝子の為にお土産を用意してくれていた。

「ああ、名前先輩。お疲れ様です」
「七海くんお疲れー。灰原くんは?」
「さっき先生に呼びだれていましたけど、何か用事ですか?」
「ううん、いつも一緒だから聞いただけ」
「はあ…」
「名前先輩、早く早く」
「はいはーい」

共同スペースに居た後輩の七海に挨拶をしていると硝子に背中をぐいぐい押されてそのまま女子寮に行く。
部屋の前につくとドアに張り紙がしてある。
『報告書手伝うから明日遊ぼう』と。

「傑だな」
「傑ですね。仲良いですね」
「ま、遊びに行く余裕はないから行かないけどねー」
「ちぇ。」
「でも終わったら!この報告書地獄は今年だけって先輩言ってたから!来年は今より楽になるよって!先輩を信じて!」
「名前先輩えらいえらい」
「へへへ!硝子ちゃんありがと、好き!」
「私も名前先輩好き」

鍵を開けて荷物を置いてもらったお土産を開ける。
京都といえば八つ橋でしょ!と渡されたので八つ橋であるのはわかるのだが、色々な味が入っているとまでは思わなかった。

「お茶持ってくる?」
「そうですね、それが良さそう」
「五条くんに見つかると面倒だから適当言って追い払おうね」
「賛成」

部屋をでて共同スペースの食器棚でマグカップを二つ。
備品の緑茶のティーパックを入れてお湯を注ぐ。急須もあるが正直どっちでも変わらんだろ。ということで二人で楽でいいしと適当に済ませる。

「あれ、姉さん戻ったんだ」
「うん、ただいま」
「で、明日の事聞いた?」
「うん、無理。報告書地獄!」
「だってさ。私も一生懸命誘ったんだけどフラれたよ。その代わりのお茶会を今からする」
「私も行っていい?」
「は?ふざけんな。今は私と名前先輩のデートなんだよ消えろ」
「ということで、今から私は硝子ちゃん成分を摂取するので男は消えな」
「辛辣…姉さんまで、私が何したっていうのさ」
「名前先輩の報告書手伝うという抜け駆け」
「あえ!?そこなの、硝子ちゃん」
「そうやって傑は名前先輩の部屋でゴロゴロする計算だったんですよ」
「傑…アンタがベッド乗るとぐしゃぐしゃになるから止めろな?」
「あ、これガチの説教じゃん…」
「よし!じゃあ行くよ硝子!」
「はい先輩」

マグカップの湯気を揺らしながら部屋へ向かい、貰ったお土産に手を付ける。
時計を見ればまだ夕食まで余裕がある。
今日は報告書しないで明日でいいかなと思いながら後輩と一緒に過ごすこの時間も案外悪くないと名前は思いながら笑った。

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