呪術 | ナノ
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※1年生が4人の夏油が離反せずに教師しているVer


「………」
「傑?」
「……ねえ、さん?」
「傑大きくなったね、首が痛いよ」

へらりと笑う名前の顔はまさに幼い。
だってまだ15歳だ、呪術高専に入学して間もないのだから幼い、そう、幼いのだ。
呪術師としての経験なんてまだで、大きな怪我だってしていない。
家には両親と弟と妹がいて、携帯の無料通話で毎晩のように話をしていた。

「子供に、なっちゃったね」
「よくわからないど、そうみたい。家入先生が言ってた」
「硝子が?」
「うん。傑にすぐ電話するからここで待っててって言われて」
「他にこの事知ってるのは?」
「えっと、いじち、さん?と虎杖くん」
「悟は?」
「さとる?」

知らないならいいよ。と傑は続ける。
電話が来たのは小一時間ほど前。普段電話のディスプレイには出ない名前が出てどうしたのかと思えば「お前の姉さん呪われたから早く来い。悟にオモチャにされるぞ」とまるで面白い死刑判決を聞かされた気分だった。
急いで医務室に向かえば家入硝子が「名前さん呪われて今15歳に体も精神もなってる。期間としては長くて一週間。その間はこっちで名前さんの任務どうにかするからあとは傑に任せる」と肩を叩かれた。

「荷物は?」
「ある。私どうするの?寮に戻る?」
「いや、硝子には家で預かるからって言ってあるから家に行こう」
「実家?」
「違うよ、私の。家には美々子と菜々子もいるからね」
「…誰?」
「私が引き取った子供だよ。姉さんとも仲良しなんだよ」
「傑…お父さんなんだね…じゃあ私、おばさん?」
「お父さん…では、ないかな。でも家族だよ」
「迷惑じゃない?奥さんいるでしょ?」
「いないよ、結婚してないからね」
「………ふーん?」

少し肩のラインが合わない服を着て、名前は頭を傾げる。
名前には結婚していなくて子供を引き取って、しかも二人もいるのに。と不思議に思ったらしい。
今の名前は15歳なのだから、あの二人が来た経由を知らないのだから当然といえば当然である。
当時は名前もよく二人の面倒をみたりしていたわけで、当然仲が良いのではあるが、今の名前はその記憶がない。

「帰ろうか」
「傑の家?」
「うん、そうだよ」
「……寮じゃ、駄目なの?」
「私の家は嫌かい?」
「んー…だって、なんか…悪い気がして」
「悪くないよ、姉さんなら二人も喜ぶよ」
「……うん」

少しだけ気が乗らなそうな名前。不安の方が大きいのだろう。
何しろ今の状況を頭ではわかってはいるが理解は難しい。
名前からしてみれば突然自分だけが未来にいて、知っているのは弟だけ。その弟も知っているよりも随分大人になって特級になっている。
それに名前からしたら名前の知らない家族がいるのだ。気おくれもするだろう。
それを理解してくれているのか、それよりも心配の方が上を行っているのか。

「おーい傑ー」
「げ」
「ゲッてなんだよ。あれ?名前さんもいるの?ちょうどいいや、明日の件なんだけど………ん?なに、どうしたのこれ」

医務室のドアをガラッと開けて、ノックなんて知りませんと言う態度の男性が一人。
遠慮もなしにズカズカと来て、名前を見て目隠しをクイっとあげる。

「………、まあ、任務でのトラブルだよ」
「もしかして悠仁?今日確か悠仁のお願いしてたし」
「ああ、だから虎杖の名前が。まあ、そんなところ。硝子から呼びだされて迎えに来たんだよ」
「へー、可愛い事になってんね。明日の任務はどうすんのさ」
「伊地知と硝子が手をまわしてくれてる。私達が考える事じゃない」
「ふーん?」

じーっと見つめてくる大男。髪は白く、目隠しから出てきた目はキラキラと宝石の様に輝いている。
なんだか居心地が悪くなって名前が目線を下にそらせば「ぷ」と吹き出すような音が聞こえる。

「姉さんが困ってるから止めるんだ」
「こーんなグットルッキングガイが見つめて困る人いるの?」
「悟の場合は圧があるからね、ほら」
「さとる…」
「ん?」
「さっき、傑が言ってた人?」
「あ、うん…まあ、そうだね。彼は五条悟。姉さんも先生から聞いた事ない?御三家のひとつの五条家。あの家の人間だよ」
「六眼持ってるっていう?」
「そ、僕は五条悟。グットルッキングガイで最強で名前さんの弟の傑の親友で、この高専の先生をしているんだよ」
「先生…?」

へ、へー…。という名前の声が聞こえてきそうな顔である。
ちらりと傑を見た名前の目は「助けて」と言っている以外にはないというほどの困った目線である。
そもそも初対面での態度ではないし、15歳の名前にはテンションが高すぎる。まして御三家という意味を理解しているのかどうかも怪しい。知識としてあっても遠すぎるだろう。

「もういいかい?私は姉さんと帰るところなんだ」
「え、お前仕事はいいの?」
「終わらせたよ。このまま姉さんを一人にしておけないだろ」
「寮に置けばいいじゃん」
「姉さんはもう学生じゃないんだ。それに居て何させるんだ、授業でも受けさせる?」
「あ、それいい。名前さん、今何歳?」
「15、です」
「お!15歳!じゃあ僕のクラス入ーれよ!明日から名前さんは僕の生徒だよ!」
「は!?おま、なに勝手に…」
「じゃ、手続きしてくるー!また明日ね、名前さん」
「え、あ…は、い?」
「姉さんも返事しないの!」
「あ、ご、ごめん…」

バタバタと来て、好きな事言って決めてバタバタと行ってしまった。
名前が思うに嵐のような人だ。傑を見ればひどく疲れたような顔をしているのは気のせいではないだろう。
額に手を当てて苦虫を潰したような、そんな難しい顔をしている。

「ごめんね、傑」
「え?」
「私が迷惑かけてるんでしょ?わからなくて、ごめんね」
「こうなったのは姉さんが悪いんじゃない。私は悟に困っていたんだよ」
「さっきの先生?」
「先生…まあ、先生か。姉さんを自分のクラスに入れるなんて…」
「困るの?」
「羨ましいの!!私1年の担任じゃないから!」
「え、傑も先生なの」
「あれ?言ってなかった?私も先生なんだよ」
「……、あの傑が、先生…おわ…」

そうなんだ………と何かを警戒している名前。
それが何かはわからないが、とりあえず伊地知に車の手配をさせて名前を連れて帰る事にした。

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