呪術 | ナノ
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※前回の続きではありません


「じゃあ私次あそこの通路通った男性、成人済み・未婚に結婚を前提に付き合ってください、さもないと私五条くんと結婚させられるって泣き付いてやる」

うるせー!と言わんばかりに名前は言いきった。
五条悟と結婚するくらいなら誰でもいいわ。と言わんばかりだ。
誰でもいいが五条悟だけは嫌だ。という名前の硬い意思表示でもある。
名前はまるで獣の様にグルグルと唸る勢いで通路を見つめる。

「あ」
「……ああ、どうも。お疲れ様です」
「ああああ!恵くん…」
「…なんですか、人の顔見て急に。五条さんじゃないんだから」
「恵それどういう意味さ」
「そのままです。どうせ名前さんに変な依頼して名前さんがオカシクなっているんでしょ。名前さんもいい加減こんな人と手を切った方が良いですよ」
「言うじゃん恵…ま、名前さん残念だったね。未成年だよ」
「未成年はノーカンだよ!次、次!!この際夜蛾学長でもいいさ」
「見境なさすぎ」
「見境を持ったら試合終了でしょ」

唸りながら伏黒の立っている通路を睨みつける名前。
普段であれば普通よりである名前がここまで豹変するのは五条に関係する時だけというのは伏黒は経験から十分わかっている。
たとえどんなに疲れていても唸らないし睨まない。
グルルルと唸る名前を横目に五条に近付き、どうしたのかと問う。

「僕が今度お見合いあるんだけど、面倒だから名前さんと結婚しようかなって言ったら名前さんが『次にそこ通る男と結婚を前提に付き合う!』って」
「あー…」
「名前さんて本当馬鹿だよねーウケる」

笑っている五条を呆れた顔で溜息をつく伏黒。
本人は冗談だと笑うが、五条にはそれをできるだけの権力があるから面倒なのだ。本人は無自覚なのか知らないが、言われた名前が怒るのも当然だ。
伏黒も相手が五条でなければ首を突っ込む気は起きないが相手が相手だ。
それに名前も一応は恩人である。
唸る名前の肩をチョイチョイと突いてこっちを向いてほしいと意思を示す。

「なに!?って、なんだ恵くんか。どうしたの」
「俺、いいですよ」
「…うん?なにが?」
「結婚を前提に付き合えばいいんですよね。未成年ですけど」
「え!!恵もしかして名前さんのことを!!??僕は認めないよ!!名前さんは恵にはまだ早い!!」
「あ、恵くん。いいの。気にしないで。マイルールに則りそれはルール違反だから」
「名前さん、名前さん」
「うん?」
「じゃあ俺と結婚を前提に付き合ってください」
「め、めぐみぃ!!??」
「ごめんねー。さすがに未成年はちょっと」
「じゃあ許嫁で」
「恵、許嫁は親同士がするもんだから君は出来ないし許嫁じゃないし僕は名前さんと付き合って結婚は認めないからね」
「嫉妬ですか五条くん、私と恵くんが仲が良いからって」
「違いますけど!?」

話が逸れているがそれでいいのだろうか。と伏黒は思ったが思い出してまた面倒な方向に行くのも後が疲れそうなので辞める。
言えば五条も名前も伏黒から見れば保護者の立ち位置である。勿論伏黒も名前と本気で結婚だとか付き合うと言っているわけではない。
伏黒も伏黒で二人の無駄に本気のおふざけに混ざっただけである。

「俺からしたら名前さんは小さい頃から知ってるし津美紀も反対しないだろうし」
「でも未成年じゃん!それなら僕の方が長い付き合いですけど!?」
「でも名前さん五条さんと結婚したくないって言っていますけど、それはいいんですか」
「名前さんと僕、結婚しないし!!」
「ですって」
「言質頂きました。」

さっと名前が出したスマホ。そこにはボイスレコーダーが起動されて今の会話、ちょど「名前さんと僕、結婚しないし」という文言が再生させる。
名前は名前で伏黒に顔を向けて親指を立てて「やったね」と言わんばかりの笑顔である。

「ひどい!」
「それは名前さんの台詞でしょう」
「ねー。ということで、五条くんはお見合いをしてもらいます。土曜迎えに行くから逃げんなよ?恵くんありがとうね、助かった」
「いえ、気にしないでください。また困ったことがあればいつでも」
「ありがとうね。本当いい子に育ったよ恵くん…中学の頃荒れた時期もあったけど、私が先生に呼び出された日もあったけど」
「なんで名前さんが?僕は?」
「……確かに。一応保護者五条くんなのに」

五条は確かに伏黒が中学の時荒れていた、というか不良たちとケンカしていたことは知っている。しかし学校に呼び出された事はない。しかし名前はあるというではないか。
不思議に思い二人で伏黒を見れば明らかに目線をそらしている。
見当はつくが、五条は今された仕返しだと言わんばかりに今度は伏黒に詰め寄り、「どういう事かな」と聞いてくる。
それに関して名前は名前で五条の都合が悪いからだと思っていた。
まあ粗方五条より名前の方がマシだという理由だろうとは思っている。

「……名前さん、の、方が」
「名前さんの方が」
「保護者っぽい、から…ですけど」
「保護者っぽい?」
「まあ五条くんに比べたら普通の外見ですおし?一般家庭育ちですので?通りですね」
「一般家庭の人は弟に家族殺されないよ…?」
「一般じゃないのは私と弟だけですけど何か問題でも?」
「あ、すみません…」

ああん?と睨みつける名前に萎縮する五条。勿論本気で恐がっているのではない。
それに名前が弟について言われて怒っているのでもない。
そもそも呪術師なんぞは一般人から見れば感覚がおかしいので、ここで一般的な話は鼻で笑われて終わるのだ。普通というものはこの呪術師界にはないのだ。

「んー、そう考えると私五条くんより保護者してない?入学式も運動会とか体育祭、文化祭に卒業式行っているし、二者と三者面談も行ったわ」
「なにそれ、僕何も聞いてない…」
「名前さんの方が適任じゃないですか。話もちゃんと聞いてくれて進路だって気にしてくれて。五条さん『どうせ呪術師になるんだから』って」
「だってそうじゃん」
「そうじゃん。じゃないと思うよ…これはもう…私が恵くんの保護者じゃん」
「俺もそう思ってます。五条さん、いえ五条先生はお飾りの保護者。なので俺と結婚しましょう」

それまだ続いてたの?と名前は思わず笑い出した。

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