呪術 | ナノ
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「あ、悟おかえり」
「ただいまララ」
「それ誰?」
「悠仁だよ。これから高専1年生、君の同級生の男の子」
「女の子、男の子になったの?」
「違うよ、その子とは別の子。だから、恵と悠仁とララと、もう1人いるの」

ふーん?とそれは五条の影から伺うように虎杖を見る。
それは多分女子、なのだろう。名前がララというらしい。

「せ、先生…?それ…」
「紹介しよう、君の同級生のララだよ」
「ララだよ!ユウジはユウジ?」
「…へ?」
「ララは学長が作った呪骸でね。精神が幼いけど学生として入学したんだ」
「……な、んで、虎?」
「学長曰く」
「可愛いから!ララ可愛いんだって、まさみち言ってた。ユウジは?」
「え?」
「ユウジは可愛い?」
「可愛いよ、悠仁」
「ユウジも可愛い!一緒」

僕は?
くず!!
ひど!!
となんというか、変なやり取りをしている2人、2人?を見て虎杖はもう笑うしかない。
非現実的なことが重なって、もう夢か現実かも曖昧だ。ついでに虎が喋る…いや、虎ではなく呪骸だというから厳密にいえば違うのだが、これもまたもしかしたら幻覚かもしれないと思うくらいには非現実的。
しかし精神が幼いという事もあってか、虎は確かに幼い子供のようにコロコロと可愛らしく笑ったり先生にじゃれついている。

「悟、恵のお部屋行っていい?」
「どうして」
「ララね、テレビで見たの。猫さんのゴロゴロ聞くと怪我とか病気早く治るって。ララ虎さんだけど、ゴロゴロでるから、恵早く治る?たくさんゴロゴロ言う!!」
「でも、男の子のお部屋行くの良くないと悟思うよ?」
「ララ虎さんだから強いから恵守れるから大丈夫!恵より大きいもん!」
「伏黒と、仲いいん?」
「フシグロ?なにそれ」
「恵の事だよ」
「恵は恵でしょ?フシグロってなーに?」
「伏黒は名字。僕は五条悟、五条さん家の悟くん。名字というのはまあ、血族集団の総称?生まれた時から所属している部署的な?」
「ララ、やがララ?」
「うーん、まあ、そうかも?夜蛾ララ」
「へんなの!」

伺うような様子だった虎、ララはゆっくりと虎杖に近づいてふんふんとにおいを嗅ぐ。
フスフスと当たる鼻息になんだかくすぐったい気分になり、持て余した手をララに頭に置いて撫でてみる。

「ララ、君匂い嗅いでなんかわかるの?」
「わかんない!猫さんとか犬さん匂い嗅ぐから、真似てみた!全然わかんない、あれで何分かるの?」
「わからんのかい!」
「あ!悟、お土産!お土産ちょうだい!食べたら恵のところ行くね、ゴロゴロ言うの」
「じゃあついでに悠仁の部屋にも案内するよ。学生寮があるんだ」

ひょいと投げられた虎杖地元の銘菓。器用にララは口でキャッチして、むぐむぐと食べる。
虎にやって大丈夫なん?と思ったが、これは虎ではなく呪骸。
そもそも呪骸が物を食べるのか?という疑問さえ今の虎杖には知識がないので出もしない。
五条が歩き出すとララも急いでその横に並んで歩き出す。まるで犬の様だと虎杖は思った。

「ここ、悠仁の部屋ね」
「隣が恵!恵ー!ララ来たよー入れてー」
「うるせえぞララ…って」

なんで隣なんだよ。という素直な感想が部屋から覗いた伏黒の顔が物語る。
ここまで来るまで空室らしいドアが並び、奥にも見える。
普通であれば1つ空けるなどしそうだが、この教師は違ったらしい。

「ねえ恵、恵はフシグロなの?」
「あ?」
「悟が教えてくれた!悟はゴジョーなんだって!ユウジはイタ…イタ…イタ?イタタ?」
「イタドリ、ね。虎杖悠仁」
「いたどり!ララね、恵が怪我してるの早く治るようにゴロゴロ言うの。猫さんと一緒」
「デカい猫だな」
「虎だよ!」
「伏黒とララは仲いいん?」
「僕の方が仲いいよ!」
「ララ恵好き!悟はまさみちが悪影響だって言ってた!悟悪い?」
「悪いから近づくなよ」
「わかった!」
「わからないで!!僕先生だよ!?」
「じゃ、俺寝るんで」
「バイバイ、ユウジ。また明日ね!」
「え、ああ、うん…また明日」
「お前ここで寝るのか?」
「うん!ゴロゴロ言うとね、人間の怪我とか病気、早く良くなるってテレビでやってた!ララ硝子みたいにできないけどララが治す!」
「恵わかってると思うけどララは女の子だからね」
「ララ女の子!真希と一緒!」

ベッドから落ちるなよ。と慣れた様子で伏黒と一緒に部屋に入っていく。
虎。女子?精神が幼い。呪骸。人懐っこい。
今わかるアレの情報はそれだけ。

「………」
「ララも同級生だからヨロシクね」
「う、うん…」
「可愛いでしょ。でも好きなったら駄目だよ」
「まあ、そういう好きには、ならん…かな。」
「うん、そうして。じゃ、僕も戻るからバイバーイ。また明日」

大きな手をひらりひらりと振って寮から出て行く五条。
まるで嵐だな、と思いながら荷物を抱えて部屋に入って虎杖は明日の準備とこれからの準備を開始した。

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