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3人で改まり自分たちにブラッシングやらそいういうのをしてほしいと名前に直接頼めば名前は色々と言い訳を並べた。
実際混ざっている人間のそういう部分に触れるのは基本的に家族恋人親しい関係というのが常識だったからだ。
名前からしたら3人は同級生であり、家入に関しては同性だし仲が良いので「そういうものだよ」と言われればそうなのかと言われるままにしていた。
中学にも混ざった子はいたが、それこそ名前とはグループが違ったので親しい混ざった子、それも思春期を迎えた子というのは家入が初めてた。
こういう時は口の上手い夏油がつらつらと「どんなに名前が素晴らしく、またその名前のブラッシング技術に、混ざっていない子の重要性」をそれらしく宣う。
すると名前は混乱しつつも「う、うん?」と頷き、この4人の関係が決定した。

「えっと、私が、3人のブラッシングしたり、凄いねーって褒めたりするの?」
「そういうこと。まあ私にはいつもの通りしてくれたらいいし、クズに変な事されたら即言いな」
「これ俺専用のブラシな。この中で俺だけしてもらってなんだから今しろ、今!」
「…ブラシは、するときに持って来てね。私人のブラシまで管理できないし…」
「あ?ブラシ1本じゃん」
「3本になるだろ」
「5本だろ?名前自身のと、猫のスグルの分。そこまで管理してほしいなら他当たんな」
「あ、あとね…」
「どうしたの?」
「すぐ…私の猫、私といる時、猫優先したいんだけど…あ、任務の話じゃないよ」
「わかってるよ。名前が猫のスグルを優先したい時は猫が優先でしょ」
「うん、ありがとう硝子」
「私もわかったよ。名前には猫が一番だもんね」
「うん」
「悟?」
「わーったよ、猫が優先だろ」

黒い猫を抱いた名前がニコニコと笑う。
友人も大切だが、長い時間一緒に居た老猫も大切な家族なのだ。それが理解してもらえてうれしいのだろう。
それからというもの、夏油も今まで名前が猫に構っていたところに割り込んでいたが約束通りにそれを邪魔をすることはなくった。まあ猫に構っていると割り込みはしないが圧をかけてくるところはある。
それを家入に相談すると「ブラッシングしてやらんぞと脅せ」と言われたので言われるままに言えば、夏油は大人しくなった。
名前にはわからないが、それだけブラッシングというものは混ざっている人にとって大きいらしい。

「あれ?名前は?」
「名前なら任務行ってる」
「なんだよ、ブラッシングしてもらおうと思ったのに」
「そうか…名前任務か…いつ戻るの?」
「知らない。サポだって話だけど」

大男2人がブラシを各自持って共同スペースに顔を覗かせる。
しかし目当ての名前は不在で同級生の家入がアイスを片手に雑誌を読んでいるだけ。ついでに名前の可愛がっている黒猫の姿もない。猫はいつものごとく名前が不在の間はどこかに行ってしまっている。

「んだよ」
「つーかお前ら戻ってたんだな」
「うん、さっきね。あ、そうだお菓子買って来たけど食べる?」
「何買ってきたの」
「コンビニの新作のポテチ。悟はいつもの通り自分だけ甘いの買ってきてる」
「お、いいじゃん。そういや名前も新しいのテレビでやってて気になってるって言ってたな」
「本当?気に入ってくれるといいけど」
「今任務終わって帰ってるってよ名前」
「連絡したの?五条」
「おう」
「君は欲に忠実だね…」
「ブラッシング!もう2週間くらいしてもらってねえんだもん」
「うっわ」
「まあ私もそれくらいしてもらってないけど…硝子は?」
「昨日してもらった」
「はあ!?ズリぃ!!」
「女子同士だし?お前らに比べたら私名前と一緒の時間多いし?怪我したら治すの私だし」

反転術式の特権だよ。と言われればもう2人はぐうの音も出ない。
名前は弱くて五条から見れば雑魚といえるし、でも雑魚であっても任務はある。怪我をしないのが一番だが、呪術師という職柄難しい。家入の様にサポートの全振り、あるいは補助監督を目指すというのであれば事情は変わるが、名前はそうではない。
まして男尊女卑が強い呪術師と組まされれば名前は間違いなく怪我を負う。
五条家当主と交流がある、と言えど、一般家庭出身の名前の肩身は狭い。名前自身自覚はあまりないが、扱いはあまりいいものとは言えない。

「あとどのくらいで戻るの?」
「30分くらいじゃね?現場からの距離考えると」
「怪我してないと良いね」
「硝子がいるじゃん」
「言っとくけど、名前が怪我して帰ってきたらブラッシングなしだから。怪我して戻ってきたんだから当たり前だろ」
「げー!!電話かけて聞いた方が早いな」
「やめろよ。名前が迷惑じゃん」
「うっせ!俺が電話かけて迷惑なわけないだろ。あ、もしもし名前?」
「うわ…」
「オマエ怪我してねえ?おう、おう。じゃ、戻ったらブラッシングしろよ。俺を」
「名前ー、私もお願いー」
「ホントクズだなお前ら」

夏油が持ってきたコンビニの袋からスナック菓子を取り出して1人バリバリと食べ始めた家入。それも言えばいつもの事なので気にはしない。家入は男子2人とは違って食が細いので全部食べるという暴虐はしない。ついでに名前が買って来た物であれば手は出さない。名前はクズではないからだ。
それから暫くテレビや漫画雑誌を眺めていれば名前の足音が聞こえる。どうやら戻ってきたらしい。
それを聞きつけた五条が急いで出入口に向かってしまっていたドアを勢いよく開ける。

「た、ただい、ま?」
「お!戻った…な…」
「おかえり」
「おかえり名前。どうしたの悟?あ、名前、私もブラッシング…」
「?あ、猫」
「うん、お出迎えしてくれたの」

にい。と可愛く一鳴きする名前の猫。名前の愛猫だ。
3人の、いや4人での約束で名前は猫を優先すると決まっている。
名前が戻った、猫がいる。という事は五条も夏油も名前の猫には敵わない、という事だ。名前は戻ったら絶対に猫を可愛がる。そう、絶対に。

「ス、スグル……」
「お腹空いたのかな?今日は甘えただね」
「お、俺…今日、名前に、ブラ…ブラッシング、して」
「悟?」
「オマエばっかズリーんだよ!!なんだよ!名前に飼われるからって!!これ見よがしに!!」
「ご、五条くん?え、ど、どうしたの?」
「あー…悟、ほら、しばらく忙しくてブラッシングしてもらえなくて。今日やっと名前と時間が被るから、楽しみにしてたんだよ。私も」
「な、なんで、そんな…」
「ガキかよ」
「うるせー!硝子は名前にブラッシングしてもらってんだろ!!」
「おうよ。私もストレス溜まるからね」
「優」
「なに?」
「夏油くんじゃなくて。今日は五条くんと夏油くんのブラッシングしてあげてもいい?」

「えー、本気?」と言いそうな不満そうな顔。
ちらっと騒いでいた五条を見上げ、「あーあ、仕方がない。譲ってやるよ」と言わんばかりにニャアと一鳴き。
名前が猫の頭を撫でつけるように撫でてから「報告書終わってからでもいい?」と言えば男子2人は「うん!!」と声をそろえた。
それから報告書が終わった名前は2人を順番にブラッシングし、終われば「後で優におやつあげてね、優も我慢してたから」と言われたので翌日の任務の合間にホームセンターのペットコーナーに立ち寄り、「あの猫何が良いんだよ」「名前がおやつあげてるのは見たことあるけど、種類までは…」と相談して「極上」「超高級」「本格派」と付いている物を買ってきていた。

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