呪術 | ナノ
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「ええー!?五条先生と苗字先生って本当に同級生なんですか!?」
「そうなのー。で、その反応はどういう意味?憂太」

ニコニコと笑いながら驚いている乙骨に詰め寄る五条。
前にパンダが言っていたが、何かの冗談だと思っていた乙骨。
五条が名前に絡み、「ね?ね?同期のよしみじゃん??なんなら高専からずーっと一緒の同級生じゃん?ね?ね??だめ??」とおねだりしているのを偶然聞いて、思わず叫ぶように聞いたのだ。
確かに乙骨から見ても2人の距離は長い付き合いのある友人のようだった。
やたら五条は名前に構うし、名前は名前でそれを躱すのが乙骨から見ても慣れている様子。他の呪術師はかなり困惑していたのを思えば、付き合いが長いのだから躱し方も慣れていて当然と言えば当然といえる。

「あ。苗字先生、これ課題です」
「はい。今度は期限内に提出できるようにしましょう」
「は、はい…」
「なに?憂太忘れてたの?」
「違う違う、急な任務で提出が遅れたの。前もってやりましょうねって言う話」
「課題なんてすぐ終わるっしょ?」
「やーねー。家系で呪術師の人は一般家庭出身の気持ちが分からなくて」
「ごめーん」

あははは。と笑う五条に辟易する名前。ついでに乙骨は2人を困ったようにちらちら見比べるようにして何かを言いたげにしている。
まさか「2人の関係は?」なんて聞いてくるわけではないが、同級生大好きな乙骨からすれば同級生で同期の担任副担は気になるところ、なのかもしれない。

「先生たち、同級生、だったんですか?」
「そうだよー!あと、医務室勤務の硝子も同期だよ」
「ショーコ…?家入さん?ですか?」
「そうそう」
「誰の前でも下の名前で呼ぶのは良くないと思いますよ、五条先生」
「僕だって一応先生してる時は名前の事はちゃんと苗字先生って言うようにしてるし」
「仲、いいんですね…」
「そうでしょ」
「違います。乙骨くんは何か用事あるの?それとも授業の質問?」
「あ、いえ…提出だけです」
「憂太、高専には慣れた?僕あんまり居れてないけど苗字先生怖くない?同級生とは仲良くやれてる?」
「個人面談がしたいなら教室で2人でしてください。私これから七海くんのヘルプ入るんで」
「任務ですか?」
「そう。ちょっと厄介なのがいるって事で呼ばれたの。五条先生のこと適当にあしらって戻っていいから」

じゃ。と名前は主に五条をあしらって去っていく。
急いでいるという風ではないが、まあ五条がウザかったからという理由でも驚きはしない。
乙骨自身はあまり五条をウザいとかは思ってはいないが、同級生たちからは思われているのを知っているからだ。今まで人とあまり関われていなかった乙骨からすると、五条に構ってもらえるのは悪い事ばかりではない。

「憂太、これから時間ある?」
「へえ?」
「名前が言ってた通り、個人面談しちゃう?」
「ええ!?」

まあまあまあまあ。と自分本位に乙骨の腕をつかみ、ずるずると1年の教室まで連行する。そして乙骨を席に座らせ、適当な席から椅子を引っ張ってきて対面形式に座る。
長い脚が窮屈そうにしていたが、「きっつ」という声を出したかと思うと長い脚は開脚するように広がった。

「で、乙骨憂太くん。高専に来てからまあまあ経ったけど、どう?授業でわからないところとか、同級生とかの人間関係で困ってない?」
「えっと…授業、は…難しくて、基礎が、ないので。でも、苗字先生が補習とか、してくれるのでなんとか。真希さんもパンダくんも狗巻くんもよくしてくれてます」
「そっかー」
「…………」
「…………」
「僕は?」
「へ!?」
「僕は?なんかないの」
「え…っと……?す、すごい先生、ですよね。特級、なんですよね」
「うん」
「…」
「それだけ?」
「えっと………」

ねえ。と突いてくる五条に乙骨は困惑する。
普段は出張だのと不在が多い担任。
それゆえに授業やその他の活動では名前が監督・補助を行っている。どちらかと言えば名前の方が学生との時間があり、副担とはいえ担任のような立場なのだ。
あまり顔を合わすことのない担任よりも時間がある分、あまりない五条にはどうもこうもない。

「あ!やっぱり連れ込んでる!」
「あれ?七海のとこ行ったんじゃないの?」
「心配になって教室一度見に来てみれば…乙骨くん、寮に戻っていいですよ」
「えー今憂太と個人面談中なのにー」
「伊地知くんから聞きましたけど、任務入ってますよね?伊地知くん待ってるから早く行って!」
「そーいやスマホがうるさかったな」
「はい立つ!」
「えー。」
「えー。じゃない!あ、乙骨くん。今日は補習できないけど、明日するからそのつもりで」
「は、はい」
「ほら!立つ!五条先生!!そんなに学長に告げ口してほしいの?」
「げー。なんだよオマエ、すぐ学長って子供かよ」
「五条先生が、でしょ。子供じゃないんだから任務にごちゃごちゃ言わずに行って。学生の前ですよ」
「憂太も僕に行ってほしくないよね?」
「え」
「学生を巻き込まない!」
「任務には、ちゃんと行った方が良いと思います…」
「えー憂太まで名前の味方するのー?」
「あ、もしもし学長?」
「うっわ。わかったよ、行くよ。行けばいいんでしょ。あとで伊地知マジビンタ」
「後輩いじめないの。乙骨くん、体力づくりと勉強しておいてね」
「じゃあねーバイバーイ憂太」

だるそうに立上り、グダグダ文句を言いながら名前に引っ張られて歩いて行く五条。
教室の影からこっそりと2人が歩いて行くのを見送り、そのままだった椅子を片付けてから寮に戻る乙骨。
その道すがら2人がどんな同級生だったのかと考えてみるが、どうにも想像できない。

「お、憂太戻ってきた」
「苗字先生見つからなかったのか?任務でも出てたとか?」
「すじこ」
「ちょうど五条先生も一緒で…苗字先生、任務に出るところで、ちょっと。皆は五条先生と苗字先生が同級生だったの、知ってた?」
「しゃけ」
「知ってた。てか前言わなかったっけ?俺」
「まあな。悟が同級生とか最悪だよな、苗字先生マジで可哀想」

知ったんだ。と少し驚く乙骨。
確かに外部から入ってきた乙骨と違い、内情には詳しい。
まして五条悟は御三家の人間で有名人とくれば、その同級生も必然的に名前はピックアップされることは多くなる。

「……こんぶ?」
「あ、ううん。あの2人が同級生って、どんな感じなんだろうって、思って」
「まさみち曰く、名前は大人しかったって話だぞ?真面目でいい子だったってさ」
「あー。苗字先生っぽいわ。悟にイジメられてそう」
「まあそんな感じに近かったみたいだわな」
「え…五条先生、苗字先生イジメてたの?」
「イジメっつーより、構いすぎ?猫飼ってる人間がするやつ的な?」
「うっざ」
「教師にしたのも悟の半分我儘っぽいし?」
「じゃ、じゃあ…五条先生って、苗字先生の事、す、す、すき、なの?」
「「それはない(おかか)」」

そ、そうですか…と小さくなった乙骨。
でも確かに五条と言えば御三家の当主で凄い人という認識の乙骨。
そういう人って奥さんになるのもいろんな条件があるだろうし、同じ一般家庭出身の名前がそれをクリアするとは思えない。
それは名前を馬鹿にしているわけでも軽んじているわけでもない。
基準があまりに違うのだから、そんな基準をわざわざクリアする必要がないという意味だ。
それに名前が苦労している姿を見ている分、五条の彼女かそういう関係というがかなりありえないと理解した。

「苗字先生に勉強と体力作りしておけって言われたんだけど」
「お!じゃあこれ終わったら走るか?」
「走る前に勉強しておけよ。あ!棘、今私の番だろ」
「明太子」
「何してるの?」
「トランプ。じゃあ1時間後に憂太は勉強切り上げて寮の前集合な」
「ええー…うん」
「呪術師の基礎さっさと覚えろよな。頭までモヤシのまんまじゃ笑えねーぞ」
「は、はいっ!」

苗字先生から課題でてんだろ、それだけ終わらせろよな。という真希の声に再度乙骨は大きな返事で返してから自室に戻った。

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