呪術 | ナノ
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※後日談

「名前の抱っこめちゃ良かった」
「うわキッショ」

昼頃に人間に戻った夏油。
寮の共同スペースで同級生同士でワイワイしていたときに五条が「猫どうだったよ」と任務に戻って思っていた事なのだろう。
他の同級生からは「良かったな」という位だったのだが、興味の方が強い五条はワクワクした目で聞いて来たのだ。

「そーいや名前、夏油だって気づかず抱いてたもんな」
「迷い猫だと思ってた。逃げなかったし」
「唯一猫を飼ってる名前の抱っこは心地よかったよ」
「現に猫寝てるもんな今」

ゴロゴロゴロと喉を小さく鳴らしている猫を見て笑う五条。
夏油が人間になり、警戒していた相手がいなくなったと判断して気が抜けたのだろう。猫の優は名前に甘えて抱っこしてもらっているのだ。
夏油が猫だった時は夏油が名前の近くに行けば低い唸り声をあげて威嚇をしていた。勿論名前は「駄目だよ」と猫を抱き上げていたが、それでも猫の優は夏油への警戒は緩めることはなかった。表立って最初ほど威嚇しなかったのは、まあアレだ。

「いや、あれだけ心地が良いんだから猫だって寝るよ」
「猫の抱っこ歴は長いのでっ」
「夏油、お前もしかしてまた抱っこしてもらおうと思って名前に近づいたか?」
「そういや猫、めっちゃ傑に唸ってたな」
「呪霊じゃない寄って言っても警戒してたね。だいたい話すとわかってくれてたんだけどな」
「夏油の邪なのがわかったんじゃね?飼い主守って偉いじゃん」
「そう!優は偉いんです。ねー?」
「もっと褒めて」
「そっちのスグルじゃねーよ傑」

ゲラゲラ笑う問題児。
確かに家入も名前も夏油を褒めたのではなく、名前に尽くしていた猫を褒めたのだ。
名前に抱かれている猫を突こうとする夏油。その気配を感じた猫は薄目を開けて抗議する。そう、目で抗議したのだ。

「凄く嫌な顔された…」
「傑猫だったじゃん。その猫の言ってる事とかわかんの?」
「わかるわけないだろ。私人間だよ?なんとなく、うっすら?ニュアンス的なものが分かるくらい」
「スグルに威嚇されてた時スグル何言ってたの」
「名前に近づくな的な事。とにかく近づくなの一点張りだったね」
「愛されてんじゃん」
「長いお付き合いですから。あ、ゴロゴロ大きくなった」
「いいな……」
「だ、抱っこ、したいの?」
「されたい」
「ヤガセンの呼んでやろうか?」
「結構です」
「五条くんなら抱っこできそうだね」
「オエエ!!キッショ!なんで俺が傑抱かなきゃいけねえんだよ」
「猫の時に名前にもっと抱っこしてもらいたかったな…」
「「「うっわ」」」

名前に「夏油から離れろ名前」という家入に、ゲラゲラ笑って「キッショ!!」と大声をあげる五条。名前は家入の近くに行って警戒の体勢だ。
猫になって逃げて、名前に抱っこされた本人がいうのもおかしな話ではあるが、猫を抱きなれている人間となれていない人間では抱かれ心地は違うのだ。
おっかなびっくり触られるのと、ツボを押さえている触り方では違うのと同じ。名前の抱っこには安定感と安心感がある。

「悟も猫になったら名前に抱っこしてもらうとわかるよ」
「ならねーよ。んな呪い受けてたまるか、五条家の恥だ恥」
「お、フラグか?」
「あ?」
「俺…この戦争が終わったらあいつにプロポーズするんだ。って、あれ?」
「それそれ」
「あー」
「なんだよソレ」
「悟知らないの?そういうお約束な台詞をいう奴は死ぬんだよ」
「俺まだ死なねーけど?」
「猫になる前振りだなって言ってんの五条家当主様は高専じゃなくて本家に帰還だろうけどな」
「五条くんが猫になったら…。真っ白で大きくて、青い目の猫になりそう」
「抱かせてやってもいいぜ」
「やめとく。制服に白い毛は目立つし」
「あ”!?」

何故か上から目線だった五条に名前がすかさず断れば何故か不機嫌を露わにする。
それには家入だけではなく夏油も腹を抱えてゲラゲラ笑い、膝やら何かしらを叩いて大声で笑う。
その姿に何かしら恥ずかしくなったのだろう、五条は「笑うな!!うるせーぞ!!」と怒り出し、名前が抱く猫が本当にうるさそうに片目だけ開けた。


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