呪術 | ナノ
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※スピネル
※0で副担してる

「五条先生っ」
「あ、苗字センセーじゃん」
「苗字先生?」
「憂太は初めて会うもんな、苗字名前。高専の教師で俺ら1年の副担」
「馬鹿目隠しより頼りになるぞ」
「しゃけ」

五条が1年と一緒に廊下を歩いていると後ろから女性の声で呼び止められた。
声の主は苗字名前。
五条が高専の時の同期で、今も同じく同期。しかも1年の担任である五条の相棒ともいえる副担をしている。
乙骨憂太が入学して1週間、気配がなかったので「そ、そうなんだ」と困ったように言えば真希が耳元で「出張行ってたんだよ、苗字先生」と教えてくれた。

「お疲れー出張土産は?」
「遊びに行ってたわけではないのでありません」
「なーんだ、今回なしか」
「苗字先生忙しいんだよ、パンダお前食わねえくせに強請るなよ」
「こんぶ」
「あ、そうだ苗字センセ、連絡行っていると思うけど乙骨憂太くん。よろしく」
「よ、よろしく、お願いします…乙骨憂太、です」
「え、ええ…苗字名前です。1年の副担任をしています。今まで出張で不在でしたがよろしく」
「んで?なーにー??」
「……ちょっと」

面貸せよ。と言わんばかりの迫力である。
やだー、こわーい。とフザケて学生から離れて2人で話す。
苗字が怖い顔をして何を詰め寄っている感じがするが、五条は「えー?」「だってー」とのらりくらり。

「苗字先生また怒ってんな」
「ま、名前が怒るの悟関係だからな」
「高菜」
「どういうこと?」
「悟は最強で上層部が手を焼いてるんだ。んで、副担である名前に嫌味が来るってわけ」
「ええ?だって五条先生のクレームが、的外れな苗字先生にって、こと?」
「どうせ今のも、憂太が里香だしたクレームが馬鹿目隠しに行ったけどスルーしたから苗字先生に来たんだろ」
「……なんで、苗字先生は先生なの?五条先生は悟とかなのに」
「あ?苗字先生は苗字先生だろ。馬鹿か」
「おかか」
「真希は同性の名前をリスペクトしてるってことだ。あと呪具も扱うしな。憂太も後で名前に見てもらえばいいぞ」

もう。という怒った声。呆れた声、にもよく似ている。
大きな溜息をついて女性教師は頭が痛いと言いたげにこめかみを押さえている。
それとは反対に五条はニヤニヤして反省の色は乙骨から見てもないのがわかる。

「話は終わり?」
「言っても意味ないじゃない。もういい、結構です」
「よーし。じゃあ交流も兼ねて名前と憂太で呪具の手合わせしてくれない?」
「え!?」
「五条先生」
「まあまあ、ほら、怒ってもいいことないよ?」
「それは悟が苗字先生に迷惑かけるからだろ」
「そうそう。名前だって大変なんだぞ?まず悟が我儘言って副担してるのがまず大変だし」
「しゃけしゃけ」
「えー?僕とタッグ組めるなんて凄くなーい?」
「苗字先生が、な。悟と組まされるなんて可哀想以外ないだろ」
「正道も人が悪いよな。こんな真面目な名前を悟と組ませるとか。ないわー」

乙骨から見て、この状況を整理すると五条派はおらず、苗字派がほぼ全員という事。
確かに転校して1週間で五条悟という担任を見るに、ほぼ全員が「悟」と呼んでいるのをなんとなく理解した。
それに対してこの苗字名前という副担における信頼は厚い、らしい。
まあ対象が五条悟なので結果的に厚く見えている、という可能性もあり得る。と自分で分析をする。

「ま、名前が戻ってきたことだし、午後は名前と組手れんしゅー!決定」
「残念だけど私午後から任務入ってるの」
「教師なのに?」
「それ五条先生が言う?」
「よし。七海に投げるよう伊地知に言っとく。名前は先生してね☆あと僕午後から任務だから副担の君こそ授業をしてよ」
「………」

お前も任務かよ。と学生全員が思ったし、勿論名前も思った。
しかし五条悟と言う人間はそういう人間で、言えば本来であれば教師なんてしているような人間ではない。日本各地に飛びまわって呪霊を祓うのが本来の特級の姿、といってもいい。




「と、いう事で私が見ることになった体術の授業ですが、普段どうしてる?」
「だいたい私と憂太が打ち合ってる」
「それでいい?」
「授業しろよ名前」
「しゃけ!」
「乙骨くん特級なんでしょ?私出来る事なくない?」
「えええー……」
「苗字先生、こいつモヤシだから全然なんだよ」
「特級なのに?」
「特級なのに。だから私が相手させられてんの。憂太より私を見てくれよ先生」
「真希さん?」
「真希は憂太が来る前名前に見てもらってたんだよ」
「じゃあ真希さんの先生?」
「ちげーよ。呪具の打ち合いができるのが苗字先生くらいなんだよ。2年の担任の日下部は逃げるしよ」

確かに呪具、というよりも得物を使った訓練となると乙骨は真希ばかり。
五条が先生らしく稽古をつけてくれるのかと思えば、あまりそうではない。
パンダ曰く「悟は規格外だからな」という事らしい。
2人の話では「先に私が苗字先生とするから、お前その後に苗字先生に教えてもらえよ」という事になった。

「ま、真希と名前の手合わせ見学も勉強になるから」
「しゃけ」
「そ、そう…なんだ」

2人が向き合い、礼をする。
するとパンダがすすすすす。と乙骨に近づいて来たと思えばひそひそと耳打ちをする。
名前はな、悟と同期なんだ。高専の時からの付き合いで、結構な腐れ縁。

「へ、へえ…」
「担任の悟より頼りになるし、悟より関わることが多いと思うから、一応な」
「担任の五条先生より?」
「悟は特級だからな。出張が多いんだよ」
「苗字先生も出張出てたけど…」
「今回のは憂太関係で悟がそっちに名前を飛ばしたんだよ、他の呪術師と一緒に」
「ええ!?そ、そうなの…?」
「ま、勘だけど」
「勘…かあ…」
「こんぶ、めんたいこ」
「そうだな」
「?」

そんな雑談をしつつ2人の手合わせを見ると、確かに真希が乙骨と稽古をしている時の動きとは全く違った。
言えば真希は乙骨に対して手を抜いていた、という事だ。
確かに今の真希の動きを呪術高専に来たばかりの乙骨にしたら大怪我をする、真希が。
里香が「憂太をイジメるなあ!!!」と顕現して真希が危ないのだ。そのギリギリを攻めるように、と思うと思い切りの手合わせもできないのが現状。乙骨の成長に合わせて真希も訓練するしかない。
しかし名前とであればその心配はなく、本気でしてもお互い怪我をしても程度がしれている。

「……っ、あっした」
「ありがとうございました。男子、うるさいぞ」
「てへ☆」
「こんぶ☆」
「おい憂太あ!!お前、先生にしごいてもらえよな…」
「え、えええ…?」
「うーん、でも折本さん?が出ると危険なんだよな……」
「す、すみません…」
「上手く手加減できるかな…貰った資料だと結構な確率のランダムみたいだし…。手を出さなきゃ、大丈夫?」
「わからない、です…」
「んー、じゃあ乙骨くん、立って。私に打ち込んできて」
「え」
「ばーか。お前が先生に打ち込めるわけねえだろ」
「名前が憂太がどのくらいかってのを見るんだろ。悟ほど無茶ブリはしてこないから安心しろ」
「ツナマヨ」

恐る恐る立上り、真希に引っ張られて名前の前に立つ乙骨。
まだ乙骨には重い竹刀を握り、名前に向き合う。

「い、いきます!」
「はい、どうぞ」

わ、わああ!!と真希と打ち合うように迎えば名前はスイスイとそれを避け、簡単に乙骨の後ろに回り込む。
それに対応しようとしてよろけて転ぶ。
それに名前は驚いたのだろう、「え、大丈夫?」と手を差し伸べてくれた。

「センセー!憂太駄目なんだよ、マジで!」
「だねー!びっくりした。あー、でも懐かしい。私もこんなだったなあ」
「…せ、せんせ、い、も?」
「私も一般家庭出身だから。体格は悪くないけど、体力と筋力がちょっと不安だね…基礎からばっちりしごいてもらわないとだね」
「ま、真希、さ…んに、みて、もらって、ます…」
「じゃあこれから、か。パンダ、乙骨くん回収して。その後パンダと真希手合わせ、そのあと狗巻くんと乙骨くん交えて鬼ごっこするよー」
「えー!先生、私先生ともう一回組手したいんだけど!」
「出張帰りだから勘弁して」
「こんぶこんぶ!」
「棘は名前が好きだなー」
「しゃけ〜」
「うっわ」

それから組手をして鬼ごっこ。高専に先にいた3人(仮)は息が上がることはなかったが乙骨は案の定いの一番にダウン。
真希ほどはなくても狗巻より少し下、程度かと思えば全くダメであった。
仕方がないので時間を切り上げて自販機コーナーに全員で行き、「五条先生から1枚貰ったから好きなの選びな!五条先生のおごりだよ!」と1000円札を取り出して全員でジュースを飲んだ。

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