呪術 | ナノ
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※スピネル
※夏油生存IF教祖
※Not離反
※五条Not教師IF

「真奈美さん、高専の苗字名前指名して。依頼は私から」
「高専に、ですか?」
「そう。これは少し厄介だから名前の帳がいい」
「お知り合い、なんですか?」
「高専の時の同期なんだ。結界術がずば抜けていてね、補助監督や私以上にいい帳を降ろすんだよ」

承知いたしました。と菅田真奈美はすぐに手配を開始した。
呪術高専、この呪術師、呪詛師がいる世界において知らないものは居ない。一番大きな呪術師の機関だろう。
呪術師の卵を育て、己の機関において働かせているのだ。

「やあ名前久しぶり。なんか私が頼んでいないものが多くない?」
「久しぶり夏油くん。今年の1年生諸君です、折角特級のご指名頂いたので特級の呪術を見せてあげようと思いまして」
「…まあ名前の頼みだからいいけど。私猿嫌いなんだよね」
「伏黒くんは知ってるよね、釘崎野薔薇さん、虎杖悠仁くん」
「……そ。」
「先日話した夏油傑特級呪術師です、術式は呪霊操術。五条先生の親友、私と五条先生、家入硝子の同期。伏黒くんは同じ式神使いとして、他2人は特級の呪術師を見て勉強するように。後日レポート提出を課題とします」
「先生してるね。悟は?」
「本日出張です。よろしくってさ。で、そちらの美人さんは?」
「私夏油様の秘書を務めております、菅田真奈美と申します」
「苗字名前です」
「お話は夏油様から伺っております。依頼のほう、よろしいでしょうか」

咳払いをひとつ。
前もって依頼内容は伝えてあるが再度間違いなない様に菅田はタブレットを片手に読み上げていく。
名前達に付いてきた補助監督の伊地知も併せてタブレットをもって確認をする。
教祖をしている夏油の元に信者の1人が助けを求めてきたことに始まる。
信者の実家の大田舎、地主であった親が死んだことの始まったそうだ。
地主といっても言葉だけの地主でだた大きな土地を持っていただけ。持っていても、と商業施設にするかと話があがり、その工事の際に小さな祠を壊してから良くないことが起こる。言えばよくある話である。
呪いの吹き溜まり、呪霊をたまたま封じていたものを壊した、という事だろう。そう夏油も思っていた。
その信者、猿は金払いがいい。大枚吹っ掛けてやろうと思ってわざわざ夏油が赴いたのだが、これは大物だった。という事だ。

「夏油くんからご指名いただく日がくるとはね」
「見るとわかるけど、大きいとうか強固な結界のが必要なんだよ。ボクちゃん達、君たちの担任の結界術の凄さはわかる?」
「五条先生が術式なしだとかなり手間取ると言っていました」
「確かに強度だけ、ならね。じゃあ今日は私という特級だけじゃなく苗字名前という1級呪術師を勉強しなさい」
「わ、夏油くん先生みたい」
「悟はちゃんと先生してる?」
「副担してるけど、非常勤みたいなものだし。乙骨くんから始まり虎杖くんに関してはもう好きなようにしてるからな…まあ、うん…それなり、に?」
「夏油様、お時間が」
「おっと。じゃあ現場に行こうか」

こちらです。と菅田を先頭に敷地内を歩く。
ある程度までは車でも移動可能なのだが、半径1キロ程度になると車や重機類が動かないらしい。
補助監督の伊地知を車に待機させ、他は現場まで移動してその場から少し離れたところで様子を伺う。

「あれ」
「あー……」
「苗字先生、あれあんな小さいのに大変なの?」
「馬鹿ね、大きさじゃないのよ」
「変異するタイプじゃないか?特級が依頼するんだ、それだけ面倒なはずだろ」
「正解。今の見た目はああだけど、帳を降ろす大きさに対応して大きくなって動き始めるんだよ。小さければ素早いし、大きくすればそれに比例して大きくなるけど素早さは落ちる。でも力も大きくなって面倒なんだ」
「へえ……」
「まあ元とはいえ猿には難しいかな」
「…え?」
「夏油くん」
「ふふ」
「で、帳の大きさはどのくらい?」
「半径1キロでとりあえず様子みようか。駄目なら次5キロ」
「ご、ごきろ!?」
「人払いはもうできているし、ついでにあれの動きも止めてほしい」
「わかった。学生諸君、自分の身は自分で守ることを主軸に動いて。私も一応アナタ方の安全には気を配りますが、万が一もあるので」
「真奈美さんはどうする?」
「お気になさらず、私は2度目ですので」

学生は退避体勢になったのを名前が確認し、今度は夏油と名前がアイコンタクトを取ると一瞬にして帳が降りて夜が訪れる。
それと同時になんと形容していいのかわからない叫び声、うめき声が轟いた。

「名前!」
「はいさ!」

大きな躯体がゆったりと持ち上がり、持ち上がりきる前に体半分が名前の結界術で封じられ、再び大きなうめき声が再度響き渡る。

「…っち!想定外!結界増やす!」
「了解!こっちはこっちでやるから動きとめるの頼んだよ!」

なになになになに!?と虎杖がその光景にただただ戸惑う。
大きな躯体は轟音を叫びながら半分を封じられたのち、新たに結界で動きを封じられては大きくなる轟音。
バキバキとヒビが入る結界は壊れる度に新たに結界が生まれて動きを鈍らせていく。

「苗字先生の結界術だ。あの呪霊特級なみじゃねえか…」
「先生大丈夫なわけ?」
「夏油特級呪術師が一緒だし大丈夫なんだろ」
「先生すげえ…」

夏油の背後からは呪霊ばわらわらと湧き出し、どこに隠し持っていたのか三節昆を持って大きな躯体に駆け上がり、所々打ち込んではダメージを与えて体勢を崩しにかかる。
普通では聞こえてはいけない打ち込みの音。酷く重く、鈍く、そして何かが折れている音だ。

「結界解いて!」
「了解!足場は任せて!」
「任せた!!」

ダン!と結界を足場に、その呪霊に向かって手をかざすと呪霊はゆっくりと渦を巻いて夏油の手の中に黒い玉となっていく。
いつの間にか学生3人の近くにいた菅田が「お疲れさまでした」というので、終わったのだと学生たちはお互いの顔を見る。
あの巨大な躯体を封じる名前も、その動きを封じて三節昆で叩いていく夏油も、学生にとっては規格外だ。
終わって玉を片手に持ち、名前が待っているところまできた夏油は「お疲れー」とハイタッチをする。仲が良いのだろう。

「腕上げたね」
「まあね。あー、しんどい。こんなだって聞いてないんだけど」
「名前の結界が強固だからあっちも力上げたんじゃない?おかげで私は強いの調伏できたし。今度ご飯でもおごってあげるよ」
「言ったな?硝子と歌姫さん連れて行くから」
「げ。硝子はまだしも…」

雑談をしつつ学生と秘書がいるところまで歩き、とりあえず己の無事と各個の無事の確認をする。
名前が見るに誰も怪我の類はなさそうだ。

「先生すっげー!えっと、ゲトーさん?もすっげーね」
「ははは、猿が喚いているね」
「夏油くん…おっと、帳あげなきゃ。伊地知くん居て助かった…帰りは寝よう。伏黒くん、参考になった?同じ式神使い」
「凄すぎて…」
「釘崎さん、虎杖くんは呪具の扱いも勉強になったかな?」
「「まったく」」
「夏油様、お疲れさまでした。本日は以上です」
「うん。じゃあ名前、お店指定してよ」
「そうだ、菅田さんも一緒にご飯行きませんか?」
「私、ですか…?」
「実は私夏油くんの高専時代の写真持っているんですが、来てくれたら1枚差し上げようかと」
「是非、ご一緒させてください」
「ま、真奈美さん…?」
「ってことで、ご飯は菅田さんも一緒で。菅田さんに予約取らせないでね」

夏油くんがご馳走してくれるって言ったんだから。と学生の前でも友人であることを隠すことなくプライベートな話をする。

「仲がよろしいのですね」
「うん?まあ同期だしね。そろそろ高専辞めてうちに来ない?待遇は高専より良くするよ?」
「結構でーす。では皆、レポートは来週月曜朝のホームルーム後に提出、任務が入った場合は任務後に速やかに提出すること。成績に反映させるので未提出は減点とします、また遅れる場合は前もって報告すること。それでは夏油特級呪術師、および菅田真奈美さんに挨拶をして本日の授業を終了とします」
「「「ありがとうございましたー」」」
「私結界術が上手い名前が欲しいんだよ」
「はい撤収ー!」
「ねえ名前ってばー、うちの教団おいでよー、損はさせないから」
「しつこい!」

言うや否や名前に付きまとっていた夏油と名前の間に一枚の結界が表れてごちんと言う音がする。ぶつかったのだろう、夏油が額を押さえている。

「夏油様…!」
「あ、大丈夫…いつもの事だから」
「い、いつもの?」
「ねーえー名前ってば、私のなにが不満なの?私悟より優しいでしょ?」
「はい撤収撤収、あの特級の言葉に耳を貸さない、口を開かず伊地知くんの車にダッシュ」

よーい、ドン。と名前は手を叩くと虎杖がいの一番に駆け出し、釘崎が負けじと追いかけ、面倒くさそうに伏黒が続く。
振り返って名前は菅田に「それでは」と一礼し、次に夏油に「じゃ、お店よろしくー」と手を振った。


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