呪術 | ナノ
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『祓本五条なんで伏黒くん応援してんの?』
『同じ事務所愛かと思ったけど、それなら相方応援しろ』
『祓本相変わらず軽々クリアしてるな』
『夏油の本気』
『今回珍しく五条やる気だしてんじゃん』
『虎杖くん!頑張って!!』

沸くSNSにテレビの視聴率もゆっくりと上昇するだろう。
今の時代視聴率と言うものはあまりとれるものではないが、こういう一体感があってSNSで気持ちを共有できるもの今の時代である。
人気の俳優、タレント、アイドル、芸人。体に自信のある者から番宣だから、と割り切ってスターと早々脱落するもの。一般参加では「子供が生まれるんです」や「クリアできたら告白します!」というほのぼのしたものから「家電の買い替えの費用」と現実的なもの。
テレビとしては芸能人を重点的に写し、面白い一般人や元格闘家の伏黒甚爾。
ちなみに伏黒甚爾と伏黒恵が親子関係であるのは公表済みであり、恵が挑戦している時は父親らしく「ほれ頑張れ頑張れ、家電買い替えの費用を稼げ」と野次のような応援をしている。
一部のファンから「親子愛w」と言われているのが息子の方は面白くないらしい。

「なんで坊は恵応援してんだ?」
「お前にゃ関係ねえだろ。同じ事務所だし悪いか」
「いや?お前同じ事務所だからって応援する質じゃねだろ。相方応援してやれよ」
「伏黒くんが居ないと困りますからね、五条さん」
「おう七海じゃねえか」
「お久しぶりです」
「で?」
「彼の担当スタッフに五条さんのお気に入りがいるんですよ」
「ほー、春か。お前もついにそういう相手できたのか」
「うるせえな!お前んとこの恵がひょろいから心配してやってんだろ。なんで父親の遺伝子薄いんだよ」
「あー?母親に似て可愛いだろ」
「母親に似てるのは羨ましいがっ」
「?」

番組スタッフが「一般参加の方、お集まりください」という声に伏黒甚爾はそちらに向かっていく。
ガタイがいいので一般人に混じっても一般人ではなく、元格闘家というカテゴリーを作るべきであると五条は思う。ほぼ一人用の枠になるが。

「母親似を自慢しやがって…」
「前は全員五条さん似でしたからね、お子さんたち」
「外見は全員僕似だったからね、末っ子の性格が名前さんに似てたかな。母親と過ごした時間一番少ないのにね」
「まさかあの子が夏油の姓を継ぎたいというとは思いませんでしたけどね」
「そこしか母親感じられなかったんだろ、反対する理由もないから許したさ」

気が遠くなるほど昔の事だが、七海は三男坊に「おかあさんのこと、しってる?」と聞かれたことがあったのを思い出した。
確か五条家に用事があって出向いた時の事だった。七海が「ええ」と頷けばどこからから写真を持ってきて「これ、これ。おかあさん」と結婚式の時の作った笑顔の名前がそこにいた。当時は確か、結婚に不満しかなかった名前で、周りも同情してたわけだが、子供を3人もなしたのだから凄いとしか言いようがないだろう。

「ま、今となってはどうなったかは知らないし?元気に子孫がいればいいんじゃね?」
「意外と夏油さんのひいひいお爺さんくらいだったりするかもしれませんよ」
「いいね、夢がある。俺も自分の子孫になるとは思ってなかったからな」

ってことは、俺名前さんの血を受け継いでるってこと?ヤバ。とニヤニヤするから気持ちが悪い。と一歩物理的に距離を置く。
そんなこんなをしていると一般参加が始まり、一応カメラは回っているもののテレビで使われるの何てほんの一握りの一瞬、伏黒(親)と消防士やそいういう人間以外はそんなものだ。ついでに次のステージに行けるのも芸能人含めそこからが言えば本番だ。
アナウンスでセカンドステージを開始します、参加される方はスタッフの誘導に従いお集まりください。と案内され、七海とともに五条の歩き出す。相方の夏油が一緒ではないのは、彼はいつもこの企画にはかなり力を入れているので筋トレやらなにやらで忙しいのだ。

「げ」
「げって言うな坊」
「恵も一緒になんているんだよ」
「一緒に居たと思いますか?来たんですよ、親父」
「んなつれない事言うなよ恵。パパだぞ」
「キッショ」
「夏油さんは?」
「夏油さんならスタッフに連れていかれましたよ」
「なんで?」
「企画かなんかじゃねえか?あいつ熱量毎回違うだろ」
「企画側も夏油さんには熱い何かを持っていますからね…WIN-WINなんでしょうね、おそらく」

順番としては芸能人から一般人、という順番なのはこの企画ではいつもの事。特にセカンドステージではメインとなる人間しかいないので、言えばここからが本番だ。
一般参加の脱落者はここからは観客になる。むしろこちらが本命だ、という参加者も何割かいるだろう。

「挑戦者、祓ったれ本舗五条悟!ここで祓ったれ本舗五条さんにお手紙を預かっています」
「あ?手紙い?」
「相方の夏油さんにお読みいただきたいと思います」

控えのブースで関係者が「このために夏油(さん)いなかったのか」と思いを同じくして画面を見ている。
一番バッターは言えばステージ挑戦としては不利ではあるが、五条悟と言う人間からすればそれは不利にもならない。言えばいつもやる気はないがヒョイヒョイ終わらせてみたり、わざと落ちて終わらせたりと企画側ももっと盛り上げたいのだろう。
ニコニコと司会者2人に挟まって夏油が手紙を渡され、マイクを持ったアナウンサーに高さの微調整をしてもらい軽く会釈をする。

「では、預かったお手紙を読ませていただきます。悟、そんなだらしない恰好で聞くんじゃないよ」
「おめーは俺のかーちゃんかよ」
「まったく…」

はあ。と大げさな溜息をついて封筒から紙を取り出して読み始める。

五条悟様
貴方が私を見つけてから年月が速足のごとく過ぎ去り、今ではいるのが普通になりました。
前世からの関係をここまで長く続くとは思っても居ませんでした。

「…名前さん?」

きらりと目が輝く五条。それを察した控えのブース。
これ、夏油さんというオチでは?
私も思っていたところです。
と知っている人間たちはアイコンタクトを取ってげんなりとしている。
伏黒甚爾が息子に「どうした」と聞いて来たので「オチを想像してた」と素直に答える。
いちいち隠すことではないが、説明も面倒だというのも事実だ。
きっとブチ切れて最速をたたきだすのだろう。

「…だから、最終ステージまで頑張ってください。」
「………(名前さん…)」
「夏油傑」
「お前かよ!!!!」
「ちなみに君が欲しがっていた物は私が預かっているからね。最終ステージクリアで渡すよー」
「なんだよ!」
「差し入れクッキーと労いの可愛いお手紙」
「!」
「本物だよ、勿論。ついでに苦戦して作っていた証拠動画もある」
「別人のヤツだったらお前マジ『ほにゃにゃにゃ』すからな!!」

「強制伏字じゃないですけど音入りましたね」
「時間帯が時間帯ですからね…教育に悪いというクレームもありますから」
「ならあれ2人出すなよ」
「ドル箱ですし、一応」

最終ステージまでクリアしてもらったクッキーと手紙は「家入硝子と庵歌姫からの」というのが頭に付いていたもので、「ここまできてこれかよ!!!」と悔しがる姿が放映されて暫くSNSで「五条可哀想」「さすがに五条可哀想」と同情されていた。

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