呪術 | ナノ
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「…は!?」
「残念だったね、愛しの名前ちゃんは俳優部か。アイドルの担当だった伏黒がユニット解散して俳優転向。虎杖はタレント、釘崎はモデル兼俳優だもんね」
「…俺も俳優になろうかな…」
「君が?悪くはないけど名前ちゃんの担当にはならなそうだね」

はははは。と椅子に座ってスタッフの配置変更の一覧を見て夏油は笑う。
五条のお気に入りという前世の嫁たる夏油名前はアイドル部から俳優部に移動となった。移動と言っても担当していた伏黒が俳優転向したので一緒にという形だろう。
あのユニット自体が仲が良く、名前も釘崎や虎杖とも仲が良かったが伏黒が一番名前に懐いたから、と言うのが大きいだろう。
気難しくはないがあまり愛想が良い方ではない伏黒。前世の事もあり名前には再度懐いたのだと五条は言っていたが夏油にはそんなこと知る理由もない。五条が勝手にそうだと夏油に愚痴ったのだ。

「…ま、最近私達のライブもしないしテレビでも披露しないしね。2人で俳優に転向っていうのも悪くないかもね」
「お前もドロドロドラマとか任侠とか出るとすげーもんな」
「表出る?」
「嫌だよ、こんな天気悪い時に」
「まあ悟の場合俳優兼モデルの方がよさそうだけど」
「なんで恵なんだよー」
「そりゃ年が近い方がいいんじゃない?10こ違うんだろ、君ら」
「………僕の方が愛してるもん、結婚したじゃん」
「結婚はしたかもしれないし子供も産んだかもしれないけど、愛がなくても結婚は出来るしすることしたら子供ができる可能性はあるわけだ」
「お前意地が悪いな」

そもそもスタッフの移動なんて自分には関係がない、伊地知の担当が変るなら自分にはあるが。という精神のもと、興味を無くした一覧はもう手元から離れて備品の雑誌をめくっていた。
事務所所属の人間が載っている雑誌だ。アイドル誌から女性誌に男性向けのグラビアまで様々だ。最近では七海が趣味の料理のレシピが載った女性誌が人気なのだと家入が笑って言っていた。言われた雑誌のもくじでそのページを見つけ、開けば営業スマイルを決めた七海が美しい食材を片手に持った写真が載っている。

「これ名前ちゃん持ってるの?」
「あ?知らねえよ」
「名前ちゃんの大好きな七海じゃないか」
「俺だって料理出来るし!伊地知にこういうの取って来いって言おうかな…」
「七海の二番煎じじゃインパクトないだろ」
「あ!?」
「強気に攻めなよ、君五条悟だろ?」
「せめても全然効果ないんだよ!ご飯だってプレゼントだって甘えたって!ダメなんだよ……」
「じゃあ好きじゃないんじゃない?」
「!?」
「記憶があって前世の嫁だって、今生じゃ違うんだし。他の人間を好きになってもおかしくないだろ。現に名前ちゃんは七海のファンで写真集とか買ってるし、年の近い伏黒の方が好きかもだろ?まあ名前ちゃんの性格からして公私混同はなさそうだけど」
「…確かに半ば無理矢理だったけどさー………ちゃんと、僕、好きだったし…」
「君“は”ね。名前ちゃんは違う人が好きだったのかもよ、それこそ七海も前世からの付き合いだったんだろ?年が近かったなら尚更?かもね」
「お前俺に怨みでもあんの?」
「可能性の話をしただけさ」

七海のページが終わってしまえば夏油が見ようと思うものがない雑誌。ポイと投げて家入が表紙を飾るコスメ雑誌を手に取れば、まあ広告の多い事。
やっと家入のページに着くころにはやたらとキラキラしたページを何枚はぐった事か。普段のメイクとは違って華やかで、それでいて男性目線からしたら派手だな。でしかない。
いつだったか聞いた女性向けのメイクと男性誌に出てくる女性のメイクは違うというのは間違いではなさそうだ。

「でさ」
「あ?」
「君、名前ちゃんに告白したの?」
「……こくはく?」
「そう、告白。それもしないでウジウジしてるわけ……嘘だろ、してないの?」
「し、してない…」
「なんで!?」
「だ、だって…今まで、そんなことしなくても女寄って来たし…前は、してない、し…」
「うっわ、クズクズどクズ。ラジオであれだけ愛を語っておいて本人には言ってないとか無い。無いわー」
「こ、告白って、どうすんの?」
「……少女漫画か恋愛ドラマでも観れば?そういえば伏黒が今度主演で恋愛ドラマやるじゃないか。それ参考にしてみれば?」
「上手くいくか?」
「さあ?ドラマは現実的じゃないからドラマだし。まあでもそういうの見て育ってれば少なからず憧れはあるんじゃない?実際には白馬に乗った王子様はいないしセレブと庶民の恋は9割9分9厘ないからファンタジーだ」
「…白馬に乗ればいいのか?乗馬久しぶりだからな…」
「乗馬出来るんだ」

はははは。と乾いた笑いを出す夏油。
実際五条悟はお坊ちゃんなのである。
五条家と言えば地元じゃ負け知らず、いや知らない人間はいない。お金持ちに頭脳明晰、スタイルも顔もいいとなれば周りが放っておかなかった。まあそれも今ではお笑いという世界にいるのだから親はさぞ悲しいだろうな、と夏油は思う。実際は親はそれほど気にしてはいないのも夏油は知らないが。

「まず食事に誘うのに成功してからしなよ悟」
「…なんで?」
「当たり前だろ?食事も一緒にできない人間と付き合うなんてまずありえないから」
「…事務所の飲み会は?」
「それをカウントするな馬鹿。1対1でする食事だよ」
「どこが良いと思う?」
「名前ちゃんが好きなところリサーチしなよ、あんまり警戒されない程度にカフェとか?」
「カフェ」
「でもまあ悟が目立つから名前ちゃん断りそうだよね」
「…個室とか?」
「ハードル上げるなよ。あ、でもこのくらいの付き合いなら個室の居酒屋くらいなら付き合ってくれるかもね、かも、だけど。でも私が思うにそれも断ると思う」
「どうしろっての!?」
「……そうだね、私なら好きなお菓子でもプレゼントするかな。高いやつは駄目だよ、コンビニくらいの手ごろなもの。高いと気を遣わせるからね、ポケットに入れられるくらいの気兼ねないやつ。ほら、ここにバイト来てた時に悟に飴をくれただろ?あんな感じの」
「おお。でもそれプレゼントか?」
「プレゼントって思わせないくらいがちょうどいいんだよ。会話のきっかけになるだろ?あれ美味しかったとか、自分も買ったからあげる。とか」
「お前もクズだな」
「今の話全部名前ちゃんにバラすぞ」
「ごめーん!嘘嘘、傑先生、続けてください」
「ちょっとしたことを続けて、何が食べたいとか聞きだして、じゃあ一緒に行ってみない?と持って行けば?」
「俺が思うに」
「思うに?」
「名前さんの性格からしてお菓子交換はしてくれるけど、そういうのはしてくれなさそう!」

それは…難攻不落だな。と言えば「本当だよ!!」と五条は半ギレした。

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