呪術 | ナノ
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『前世の嫁、見つけたわ』
『え、そうなの?だから君ここのところ嬉しそうなんだ…興味ないアニメ観たりとか、その影響?』
『そうそう。そのアニメがお気に入りだっていってたから観た』
『この番組の聞いてるの?』
『聞いてってお願いしたけど、どうだろうな…忙しいみたいだし』
『社会人?』
『そこは秘密。あと、よく俺の匂わせってのをSNSでしてるやつ皆偽物な。俺の事知らなかったし』
『私たちもまだまだだね…頑張ろう。そして前世の嫁、ご愁傷様。こんなクズに見つかってしまってなんて可哀想なんだ』
『オープニングトークでするんじゃなかったこの話』
『君に後悔があることに私は驚いたよ』

一瞬にしてざわつく界隈。
SNSで自分が五条の嫁だと匂わせていた人間は全員黒判定をもらい、翌朝の五条リアコの稼働率はかなり少ないだろうと夏油はトークで笑っていた。
番組中にもハッシュタグやメールで番組に対しての『まじでいたんだ!』だの『嫁を探せ!じゃん』だの『逃げろ嫁』と様々だ。

『私に紹介は?』
『まだ見つけたばっかだからちょい待ち』
『相手覚えてた?女性?』
『思い出した。女の子。めっちゃ可愛い…絶対顔出しはさせない、するくらいなら俺辞める』
『前世の嫁、悟が本性出す前に逃げな』
『超優しいわ』
『コレ聞いて逃げない?』
『懐かしいって笑うと思う』
『さすが嫁、懐深いな…まあ悟顔だけはいいからね』
『同じこと言われた。顔はいいんだから意地悪なことしない方が良いって』
『い、意地悪…嫁優しすぎない?君はクズなのに』
『クズなの知ってるし』
『開き直るなよ』


ぽこん!と名前のスマホがメッセージの着信を告げる。
スマホを手に取ってみれば、「五条悟」の文字に「昨日のラジオ聞いてくれた?」と続いている。
五条の言うラジオは深夜の番組なので名前は生憎聞いていない。そもそもラジオ自体持っていないので聞いていないのだ。スマホでも聞けるから、と言われたが面倒でそのままにしてある。言えば不機嫌になるかラジオを買ってくると思ったからだ。

『聞いてないよ』
『アーカイブあるよ?有料配信もあるし、僕が支払うから聞いて』
『いらないよ、聞いてる暇ないし』
『聞いて』

「めんどくさ」

思わず画面を見て名前は呟いた。
確かに前もそうやって面倒な性格をしていたのは知っているが、今回もそうらしい。
本日は祝日、学校も休みだしバイトも本日はお休みだ。
今日は買い出しをしないといけない。と近くのスーパーのチラシをネットで見て、ホームセンターのチラシを見る。日用雑貨もそろそろ欲しい頃合いなのだ、トイレットペーパーとティシュ、歯ブラシに歯磨き粉。余裕はあっても病気の万が一がある。家族は遠方なので家族にSOSもできない。
友人はいるが、そこまで仲のいい人はまだ居ないのが現状だ。
こうして「前世」でかかわりのあった人に会ったのは初めてだが、自分同様に外見が代わっていないのは驚いた。

「……と、いうことは」

相方の傑も同じ、かも?と思ってメッセージが来ているのを無視しスマホで調べる。
出てきた「祓ったれ本舗」の画像。五条はもちろん相方の姿も名前の知る姿だった。
所属事務所のホームページに進んで所属芸能人を見れば、見知った面々。

「え、あ!!」

引っ越す前からファンだった七海建人がいるではないか。と。
持ってきた写真集は専用のコーナーに飾ってある。
思い出せば受験前に見ていた医療ドラマに家入硝子、冥冥、庵歌姫が出ていた。
それに若い女性に大人気!と言われている灰原もいるし、売り出し中だという若いアイドルはかつて五条が指導していた学生らがいる。

「………」
『電話しても大丈夫?』
『もちろん!10分くらいなら時間あるよ』

「もし、もし」
『やっほ!どうしたの?今日収録あるんだけど、これ放送が』
悟、ボリューム落として。うるさいよ。
「あ、ごめんなさい…忙しいよね…」
『全然平気だよ。どうしたの?』
「今ね、所属事務所のホームページ見たの」
『うん、す』
「七海建人さんいるの!?」
『ぐる……え?』
「私、ずっとファンなの!あと、硝子と歌姫さん!!灰原くんも!俳優さんもいる事務所なんだね、社長は学長の名前だけど…」
『傑は?』
「伊地知くんとか新田さんは?あ、もしかしてマネージャーさん?」
『傑は?』
私のネタを勝手にふるな。
「もしかして、ちょこちょこ入る声は、相方さん?」
『そうだよ!!なんで!?』

傑に代わるから!と少し怒った声の五条。
それには名前も困惑する。いや、代わられても…何を話せばいいのだろう。

『もしもし?お電話代わりました、祓ったれ本舗夏油傑です』
「え、あ…げ、夏油名前です。初めまして」
『ゲトウ?夏に油で夏油?』
「は、はい。サマーオイルの夏油です」
『私も同じ苗字だよ、奇遇だね。君悟の前世の嫁なんだろ?』
「へ、あ……ん、ま、あ、はい。色々、ご縁がありまして……」
『へえ、悟の嘘じゃないだ』
「うそ?」
『あれ?君ラジオ聞いてないの?悟よく前世の嫁探してるって言ってて、見つかったって言って結構沸いたんだよ』
「…へ?」
『それじゃあ私はこの辺で。さとるー』
『もしもし?どう?傑』
「私、もしかして有名人?」
『え?あー?まあ、あれだ。ラジオやら番組観てる奴なら知ってると思う。僕言ってたし』
僕!?今悟、僕って言った!?
「な、なんで…?」
『前世の嫁探してるって公言してるからー!あ、でも安心して』
「なんにも安心できないよ!馬鹿!!」

思わず電話を切ってしまった。
「あ」と思ったがそんな話は聞いてない!と名前はどこにもつながっていない電話に言い訳をした。


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