呪術 | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

「……大所帯で来たね…」

新幹線には五条、双子、名前の他に伏黒姉弟が。
名前は五条に入れられた任務があっての事だが、子供が4人はかなり大変だ。
全員聞き分けの良い子供ではあるが、子供であることには変わりない。とりあえず五条が統率をとってくれていたので名前は楽ではあるが、子供がいるというだけで気は張ってしまう。

「悟から連絡が来たら、奥さんと社長に相談して大きい車で来てよかったよ」
「ごめんね…お仕事中なのに」
「いいよ、気にしないで名前。ご両親も心配してたし、ちょうどいい帰省だと思えば」
「ちょっとー!僕には?大親友の五条悟だよ」
「夏油おにいちゃん、こんにちは」
「大きくなったね、2人とも」
「うん!」
「あ、こっちは伏黒津美紀と弟の恵。恵はアレの、ほら」
「………ああ、アレの。よく来たね、遠いところ疲れただろ?車に乗ってもう少しだから頑張ろうね」
「よろしくお願いします」
「おや、礼儀正しい。どこかの誰かにも見習ってほしいね」
「誰だろ??名前、わかる??」
「心当たりはある」

名前に入った任務は正直1級の仕事ではない。下手をすれば学生ができる任務ではあるが、あの五条が無理矢理に名前に入れた任務。言えば名前とともに夏油傑の下に行くための手段だ。
無理矢理その任務の手配をさせらた補助監督には周りが当然のように同情していたし、決定した後で夜蛾にバレて五条は制裁を食らっていた。
滞在は3日。任務的にはそんな日数はいらないが、まあ仕方がない。五条のごり押しなのだ。これに文句が言えるのは現状夜蛾だけ。名前も言えることは言えるが、それは同期と共犯者という立場だけで変更を願い出れるほどの立場ではない。
夏油の乗ってきた車に子供と五条を押し込み、名前は助手席に座る。最初五条が助手席が良いと喚いたが、バランスを考えろと夏油が叱ったのだ。
五条家から見たら小さな家ではあるが、一般的に見れば大きい家に分類される名前の実家。子供が4人に夏油の親友の大柄の五条(名前の同期でもある)、それがいえるとさすがに手狭に感じるもの仕方がない。
名前の母親はその大所帯に「あらあらまあまあ」と困ったように笑い、仕事の合間を見てお茶やらお菓子を出してくれた。

「名前、あんたも手伝って」
「私ここ来たの仕事のついでなんだけど。これから仕事だから無理」
「女の子なのに仕事仕事って。いい加減東京で遊んでないでこっち戻っておいで」
「名前ちゃんお仕事してるよ?」
「最近いそがしいって言ってたよ、はんぼーき?だって」
「名前、近いなら私送るよ」
「いいよ、夏油くん仕事中でしょ?」
「じゃあ僕が車貸してくれたら送るよ」
「あのね悟、誰が子供見るんだよ」
「あ、それもそうか。恵」
「はい」
「名前に付いて行って。んで、名前の任務見学〜」

もう。と文句を言いたげにした名前の母親はいつの間にか姿を消していた。
夏油や五条の手前、あまり娘とはいえ強く言えないらしい。

「私も名前ちゃんのお仕事みたい!」
「君らは津美紀と一緒にここらで遊ぼうね。ここら何か見る所ある?」
「工場見学でもする?子供が見て楽しいものではないけど、名前と私の関係者だと聞けば職人さんたちも嫌な顔はしないと思うよ」
「傑まで?」
「私ここで結構可愛がられてるし、人望もあるし、お客さんからもモテるからね」
「カレンダーの話が出るくらいに?」
「な!?なんで悟知ってるんだ」
「名前が言ってた〜!僕も傑と一緒にカレンダー作る〜!」
「五条さんカレンダー作るの?」
「作りたいなーって思って。津美紀もいる?」
「いりません。カレンダーは書き込めるやつがいいんで」
「恵…おま、おまえ」
「恵くん、顔のいい男は金になるんだよ」
「金に?」
「そう、金になる」
「名前…そんな子供になんてことを…」
「五条くんの場合、お金と言うより楽しそうだからで、ついでに我が家に金が入るとなればこっちとしては有り難い」
「名前さんが助かるならやればいいと思います」
「良い子」

子供になんてことを言うんだ。と夏油は名前を窘める。
しかし名前と五条からしてみれば伏黒恵という人間がどういう子であるか十分わかった上での対応をしている。
五条より名前に懐いている恵は名前が助かると言えば大抵納得してくれるのだ。五条は「僕の方が恩人なんだけど!」と言うが、普通寄りである名前の方が感覚が近いこともあって基本的なことは名前に寄るのは仕方がない事だろう。そもそも五条が規格外すぎるのだ。

「でも距離があるからお母さんに車借りるか」
「送るのに」
「仕事中でしょ?夏油くん借りたら周りから何て言われるか」
「てことで、傑は僕らの案内役ってことで」
「えええー…」
「じゃあ私鍵借りてくる。恵くんは外で待ってて」
「護衛の呪霊貸そうか?」
「任務に支障があると困るかいらない」
「昔はそんな子じゃなかったのに…」
「わかる。でも名前って普段こんな感じよ?」
「やめろ、彼氏かよ」

名前が仕事に戻った母親のところに行けば「おや名前ちゃん」と色々と声をかけてもらった。
それを適当にかわしつつ、母親に車の鍵を借りて外に出ると、夏油を先頭に白い頭の成人男性と子供が歩いている。

「名前、気を付けてね」
「がんば〜。ま、名前なら余裕でしょ。恵の修行もよろしく」
「あとで請求するからね!」

いいよ〜。と呑気な声で答える五条。
確かに今回の呪霊の場合は名前でなくても余裕できる任務だ。しかし、高専生でもない子供を連れて行くとなると話は別だ。
禪院家の相伝持ちとはいえ、言えばまだ子供。そのまま成長すれば名前と同じ1級だって当然なるだろうし、同じ1級と言えど幅は広い。名前よりも優秀になるのは間違いない。御三家なのだ。

「お待たせ、恵くん。車出すから行こうか」
「はい」

車に乗り込み、ナビで現場の住所を検索して出発する。
いくら地元だとは言え、しばらく戻っていなければ道も変わるし風景も変わるし、お店だって変わっている。

「すみません」
「どうかした?」
「邪魔しないんで」
「あ、ああー…大丈夫。調査書ではかなり弱い呪霊だから。玉犬がいれば恵くん自身も大丈夫だと思うし」
「…はい」

案の定今回の任務は名前がほぼ瞬殺レベルのかなり簡単な任務で、恵さえ「これ、名前さん、いや1級の任務か…?」という目で瞬殺された呪霊を眺めていた。

/