呪術 | ナノ
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あれから数年後、名前は無事高専を卒業して1級の呪術師として働いている。
五条は学生の時から特級で、周りの困惑をよそに教師をしている。
家入は予定通りに医師になって高専で働いている。
双子ちゃんは高専の保護のもと、一般的な生活をしている。ついで、というのだろうか。
禪院に関係している伏黒恵も五条がしっかりと保護という名の弟子の様な扱いをしている。
そして夏油は、というと。
何故か呪術師から離れて名前の実家で働いている。
これには夜蛾だけではなく、上層部も大いに反対したが本人の意思は固かった。
実際特級にまで行くと上層部だからと好きに出来る大きさではないもの事実。いざとなれば夏油1人で上層部を全部綺麗に抹殺できるのだから最終的には夏油の好きにさせる他なかった、というのが本当のところだ。
時折夏油からメールで自分の仕事姿の写メが送られてくるので同期3人で見て笑ったりしている。

「しょーうっこさーん。あ、五条くんもいる」
「どうした、怪我したか」
「してないよ。実家から酒が来たから渡しに来た。あと、夏油くんの写真が入ってた」
「まっじで?僕もみたーい。お菓子はないの?」
「ちょっとある」

ドンと家入の机に酒瓶を1本置き、持っていた封筒から写真を取り出す。
相変わらず体格がいいし外面もいいのだろう。
写真には名前の実家に勤めているガタイのいい男たちに混じった集合写真と、事務方や営業をしている全員が映る写真にも写っている。
他に夏油単品だったり、女性従業員に囲まれるもの、なぜか上半身裸だったり、祭りにはっぴを着ていたり。写真集か?というような写真も。
同期で見てゲラゲラと笑う。

「なんかね、この前お母さんから電話来たって思ったらさ…夏油くんのカレンダーを年末に配ろうかって話になったんだって」
「うっわ」
「普通の文字の大きいカレンダーにしてほしいよね、使う方としては。夏油くんのは有料にしたらいいよと思う」
「え、傑のカレンダー僕欲しい。名前、僕欲しい」
「自分で電話しろよ五条。案外うまくやって行けるもんだな、夏油外面はいいから」
「お客さんのお嬢さんとのお見合いとか来てるらしいよ」
「傑お見合いすんの?あれ面倒じゃね?僕あれ嫌い」
「断ってるらしいよ。好きな人が居るんだって言って。誰だよ好きな人」
「体のいい断り文句だな」
「ね、名前っていつ実家戻るの?」
「えー?今のところ予定はないかな、忙しいし?用事ないし?夏油くんに会いに行きたいなら私なしで会いに行きなよ」
「そうだそうだ。ついでにいい酒買ってこい五条。そのためにお前の金はあるんだ」

実家になど帰る気はさらさらない!と言わんばかりの名前に便乗して行った先で酒を買ってこいとのたまう家入。
実際五条が夏油に会いに行くのは悪い事ではないが、まあ夏油が居るのが名前の実家だという事だ。
同期の実家に勤める親友に同期がその家の娘なしに行くという変な構図になるのもわかる。しかしそんなことは気にしないのが五条であるが、今回は少し気にしているらしい。

「名前の実家に行って僕が『名前の彼氏のGLGこと五条悟だよ!』ってしてもいい?」
「夏油くんとバトルになる思うよ?事業主の娘の彼氏がチャラ男など許さぬって。実際高専の卒アル夏油くんがうちの両親に見せて、五条くん見てお母さんがイケメンね、名前の彼氏だったらどうしましょうって言ったら丁寧な口調で切れたらしい」
「ウケんね」
「ウケんな」
「てか、それだと傑の好きな子って名前じゃね?」
「冗談はよしこさん」
「ウケる」
「ウケんな」

名前が持ってきたお菓子を開け、各々好きに手を出して食べる。
名前の地元企業のお菓子がメインに入っていたのだろう、ここに来たからしょっぱいお菓子だ。
夏油の写真を囲みながらお菓子を食べ、「今年の新入生はどうだ」だの「最近七海くんと連絡とってるけどお疲れモード」だの「五条の同期だってだけで風当たりが強い」と話していた。

「名前ちゃん」
「あれ、美々子ちゃんと菜々子ちゃん」
「「こんにちは!」」
「こら、ノックしろ」
「あ、ごめんなさい」
「どうしたの」
「あのね、夜蛾おじさんに聞いたら、ここにいるって!」
「宿題、みて…あ、おかし!」
「手を洗いな美々菜々」
「うわ、ごじょーさとるが」
「せいろんを!」
「誰のマネだ…クソガキども」
「まあまあ。ここだと急患がくるとアレだからあっちで食べようか」
「名前ちゃんはいいの?」
「すぐ動けるからね。甘いのがいいかな、しょっぱいのがいいかな」
「僕甘いの!」
「五条くんには聞いてない」

写真を回収して2人の手を引いて医務室から出ようとすると五条も一緒に出てきた。
忙しい身の上なのでこれから任務と言うこともあり得る。
高専のこの双子も使える一室に行かせ、名前は一度自室に戻って子供の好きそうなお菓子を持ってまたその部屋に行く。

「あれ、五条くんもいる」
「だめ?」
「いいけど…五条くんのジュース持って来てないや。ごめんね?」
「あとで名前の部屋に取りに行くね?」
「やめて?はい、菜々子ちゃん、美々子ちゃん」
「ありがとう」
「ありがとう、その封筒、なーに?」
「これ?前に居た夏油くん…黒い髪の、背の高いお兄ちゃんの写真だよ」
「ちょっと子供に刺激的じゃない?」
「こどもじゃないもん!」
「そういう反応がもう子供」
「子供相手に何言ってんの。五条くんの方がよっぽど子供だよ」

子供にジュースを渡し、お菓子を置く。
ついでに持っていた写真で社員の集合写真を見せる。これであれば五条の言う刺激的なものはないはず。

「本当だ、おにいちゃんいるね」
「名前ちゃんのお家にいるの?」
「名前のお家の会社で働いているんだよ」
「なんで五条くんが言うんだよ」
「ねえねえ、2人は名前のお家行きたくない?新幹線に乗ってさ」
「新幹線!」
「だめだめ、優が居るから」
「ペットホテルあるじゃん」
「ご高齢なの」
「人間より猫とるの?」
「私にとって猫の方が付き合い長いですし。五条くんが2人連れて会いに行けば?」
「…それもアリか」

うーん。と悩む五条を無視して子供2人はジュースを飲み、お菓子を食べる。
あまり子供向けというお菓子ではないが、だからと言って名前が好むお菓子でもない。誰の趣味かはわからないが、無駄にはできない。最悪補助監督たちに配ればいいかと思っていたが、ここで食べてくれるなら面倒がない。

「あ、これあのかりんとうじゃん」
「あまーい」
「うまーい」
「ごじょーさとる、甘いの好きなの?」
「ごじょーさとる、甘いの好きなの。てかなんで僕はフルネームなのさ。悟お兄さんとか言わないの君ら」
「手がべたべたするから洗いに行こ美々子」
「行く」
「無視されてやんの」
「ま、このGLGの魅力はガキにはわからないか。あ!!!」
「な、なに?」
「カレンダー、それ僕も参加しようかな」
「は、はい?」
「絶対売れる…!よし、名前、名前の実家に行こう!そんで傑と一緒にカレンダーを売る!!」
「ば、馬鹿でしょ!?」
「名前は用事がないと実家に帰らないつもりらしいから、僕任務入れてあげるね!」
「やめろ!!」

名前がぎゃあぎゃあ騒ぐので、双子は五条が名前をイジメていると思って急いで夜蛾を呼びに走った。


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