呪術 | ナノ
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名前のおうちに来て2週間だけど、そっちはどう?
こっちは名前の家族に色々良くしてもらっているよ。
仕事も大変だけど充実しているし、なにより猫の優に助けてもらってる。
名前の言う通り、優はとても賢いね。

そんなメールがきて3日ほどたってから名前が返信した。

ごめんね、返信遅くなって。
五条くんと一緒の任務で双子の女の子保護して大変だったんだ。
夏油くんと優が戻ったら紹介するね。大人の人がちょっと怖いみたいだから、
すぐに仲良くするのは難しいかもしれないけど良い子たちだよ。

大変だったね。
そんな時にメールしてゴメンね。
優は名前が居なくて少し寂しそうだよ。早く1ヶ月経たなないかな。


「だーってさ」
「何このメール。僕にはなんもないのに」
「半分ケンカしてたようなものでしょ?仕方ないよ」
「くっそー!」
「あ!ちょ」

ふふーん。と名前の携帯をポイと投げて名前に返す。
見れば五条が『夏油くんのお仕事着を着てお仕事してる写真送って。元気な姿が見たいな』と送っているではないか。
見たくない。といえばうそになる。
実際名前も元気に過ごしているか気になっていたし、文章だけでは様子は正直わからない。

「返信来るかな」
「来るんじゃない?あ、来た来た。ほら、写メ見せろよ」
「ちょっと…あ、優と一緒にとってある。誰かにとって貰ったんだね」
「決め顔しやがって…」
「優元気そう。よかった」
「傑はいいの?」
「だって、夏油くんの心配は五条くんがしてくれるし、優の心配は私がするの。早く優に会いたいなー!」
「僕も傑に会いたーい」
「一発殴られる覚悟した方が良いかもね」
「ええ…なんでそんなこと言うの…」

僕正論嫌い。笑う五条。
自分で正論だというあたり、心当たりがあって、そうなるだろう予想はしているらしい。
名前は五条には言っていないが家族から夏油の様子をメールや電話で教えてもらっている。両親からはすこぶる評判がいいのは彼の性格のなせる業だろう。
なんといっても10年後の彼は教祖にまでなっていたのだ。言葉は悪いが人を唆す才能はある。
父親に至っては「このまま夏油くんにはうちに就職してほしいくらいだ」とまで。
夏油の性格からして呪術師以外になるなら呪詛師くらいだろう。間違っても名前の家業に就職はない。

「で、なんて返信すんの」
「え?」
「だって、一応名前のアドレスから『写メが欲しい』って送ったんだよ。あ、僕とのツーショ送る?送っちゃう??」
「あー…じゃあ、私は元気そうな五条くんの写メを送ろうかな。はい、イキった顔してー舐めくさった顔でもいいよー元がいいからねー」
「それ馬鹿にしてんだろ、オイ」
「なにイチャついてんのお前ら」
「イチャついてない!やめて硝子!」
「つーか、最近マジでお前ら距離近くね?付き合っての??」
「えー?そう見える?」
「や め て !!本当嫌!冗談でもやめて!!硝子嫌い!!うそ、好き!!」
「ま、私から見ても距離近いから五条、お前本当気をつけろよ」
「あ?なんで俺」
「五条悟だからだよ。名前、夜蛾セン呼んでたぞ」
「え、うそ。すぐ行く」

えー、なにー?なんだろー…。と名前は五条から逃げるようにして離れて担任がいるだろう職員室に走っていく。

「あ」
「あ?」
「名前、携帯忘れてるじゃん。あ、硝子、傑の写真見る?」
「猫?」
「人間だっての。名前の携帯から自撮り送れって送ったら、来たんだよ」
「つーか人の携帯いじんなクズ」
「写真くらいいいだろ、ほら、傑案外元気そう」
「お、そうだな。顔色も悪くないが……猫迷惑そうだな」
「わかる」
「でも本当猫の方が世話してんのウケる。賢いな、名前の猫」
「だよな。」

名前の携帯をいじって夏油の写真を見て、猫を評価する。
確かに名前の猫、優(スグル)はとても賢い。
名前のいう事をちゃんと聞く。でも猫らしく気に食わない、気が乗らないときはそっぽを向く。しかし不思議と人間を馬鹿にした態度をとることはなかった。
まあだからと言って媚を売ることもない。
名前意外の誰かが呼べば、気分さえよければ返事をする程度だ。

「あ、私の携帯!」
「忘れてたよ。にしても夏油顔色いいじゃん、このまま名前の家に就職したりしてな」
「それはないでしょ」
「うん、ないない」
「あはは、私もないと思うけど。にしてもスグル夏油に抱っこされてんね」
「迷惑そうだけどね。私に送るからって言われたかな」
「で、夜蛾センなんだって?」
「ん?ああ、七海くんと任務だって。一般就職するのにね」
「ここにいる分は使うんだろ、ブラックだよな」
「どうにかしてくださいよ、五条くん」
「任せとけ」
「お?なんだ五条、お前に何か良い案でもあるわけ?」
「まあな。ま、今はいい子に任務に行けよ。あ、でも怪我とかすんなよ。傑迎えに行くんだから」
「うわ、最低。」
「え、私が迎えに行くの?五条くんも一緒じゃないの」
「夏油、五条が行ったら切れんじゃね?一悶着あったんだろ?ここは名前だろ」
「そうそう。つーことで、迎え行くから怪我すんなよ。しても硝子が治すけど」

うわ、クズ。と吐き捨てる家入。
そもそも五条がクズでなかった時がないので、通常である。
ケケケケと笑って携帯を名前に投げて返し、「俺任務」と長い脚で歩いて行ってしまった。

「おい名前」
「ん?あ、よかった変な写真無い」
「写真?」
「そ。夏油くんに五条くんの写真でも送る?って言ってたら硝子が来たの」
「あー、そういう。いや、そうじゃなくて」
「うん?」

名前が携帯をポケットにしまい、何とも言えない顔の家入を見る。
あー、だの、うー、だのと家入らしくない。
悩みがあるのかと名前が思ったが、家入の性格上名前に相談するような悩みはないだろう。

「五条と、本当付き合ってないよな」
「付き合ってないよ!?変なこと言わないで!?」
「なら、いいんだ」
「な、な、なんで!?」
「最近お前ら距離が近すぎんだよ。なんか弱みでも握られてるのか?クズに」
「弱みは握られてないけど…アレかな、夏油くん絡み。家にバイトさせろって言って来たの五条くんだから。それに夏油くんと一悶着って言ってたでしょ?そのせいで夏油くん、五条くんからのメール無視してるみたい」
「名前窓口かよ。納得」

気の迷いでも付き合ってたら歌姫先輩に相談してた。と真顔で言う家入。
名前とて五条と付き合うとか血迷ってもないつもりだ。
しかしまあ、頭がおかしくなったと言われかねないので未来の事がわかるとは口が裂けても言えない。
とりあえず名前は「あはは、硝子心配し過ぎだよ」と笑ってごまかすことにした。

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