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「「ぶふー!!」」

※祓本2人が笑いましたが、このままお楽しみください。

とテロップが流れるだろう。
今2人は年末恒例の企画に参加し、笑うことを禁じられている。笑えばペナルティ。
そしてそのコーナーに後輩である七海建人とそのマネージャーが祓本に扮して持ちネタを披露したのだ。いや、披露する前に登場した時点で2人が噴出した。
※夏油役の女性は七海建人のマネージャー。ときっとこれもテロップに出るに違いない。

「どうもー祓ったれ本舗の五条です」
「同じく祓ったれ本舗の夏油です」


そのネタは言えば伝説、というには少々過言で春がJ-1でグランプリを取った時のネタの完コピ。
普段あのテンションの低い俳優七海が祓い本の五条になりきっている。これにはお茶の間だってSNSだって沸く事だろう。現に今祓本以外のお笑い芸人もゲラゲラと下品に腹を抱えて笑っているのだ。
繰り出されるネタ、息遣い。まさに祓本!と言っていいだろう。
完璧、完璧である。俳優七海建人の本気にマネージャーも負けていない。
黒い髪をピシッと夏油傑に寄せたお団子にして、立ち振る舞いまで寄せている。
『やばい、あのマネさん』『女性版夏油じゃん』『七海さんのサングラスやばい!』『七海の五条やば!』『完全に輩』と話題に上るだろう。
ネタが終わり、袖に掃ける。普通であれば袖なんで見えないがこれは全部がネタである。
裏方まで全部が。

「んだよ、キレがねえんだよ」
「はあ?そっちが先走ったんだろ、こっちは客席を見た上でのテンポだよ」

「反省会再現してんの?」
「やばい、やってるこれ」
「え、なんで?なんで知ってるの?」

「うっせー。つうかなんだよ、今回ウケねーじゃん」
「だから私はそれじゃなくて、あっちの方が良いんじゃなかって言っただろ」
「うっぜー」
「君のそのごり押しのネタが滑ったんだろ、わかってる?」

「やめて…」
「どうした」
「これ……つい最近二人で本当にした……」

「はあ?僕が悪いって言うわけ?自分はこんな写真週刊誌に撮られてるくせに?」

バン!と叩きつけれた雑誌。
それは去年末夏油傑がお泊り愛!だなんてネタにされた雑誌である。それに気づいた祓い本はもう倒れ込んだ。
ネタの作り込みからなりきり、再現度。どれをとっても七海は流石俳優である。と褒めていくらいだ。
そして最後の雑誌で全員が撃沈した。

『デデーン!全員アウトー!!』


コーナーは変わり、アスリートがゲストに出てきたコーナーでは灰原雄選手が出てきて笑っても良いが叫んではいけないと少しルール変更が起きている。

「まって、あれ七海さんのマネさんじゃん」
「え、あ!!」
「まって、まだあの格好してる!わらかしにきてるやん!」
「七海さんもおる!なに?御宅の事務所総出でかかっとるの?」

気が付いた七海がアシスタントからスケッチブックを借りて「灰原早く終わらせろ」と出演者に見せるものだから

「七海!駄目だよそんな事かいたら!」

と普通に怒る灰原。
これにはもうネタなのか素なのか分からない現場は大笑いになる。

「なに?灰原くん七海さんと知り合いなん?」
「同級生です!祓本さんとは先輩後輩で!」

『まじで!?』『と言う事は七海さん素!?』『七海さんと灰原選手超可愛い…』とまたSNSをにぎわせるのだろう。
ついでに『え、七海さんと灰原選手タメ!?』という事も。


という年末恒例番組を終え、翌日にはもう新春番組が放送される。
バコバコに叩かれまくった身体は綺麗な着物に着替えて新年の挨拶。まああの番組自体が録画放送なのはご愛嬌だろう。他局は生放送なのにね、という出演者の自虐が毎年あるくらいだ。
それから祓本ネタをした七海はバラエティに引っ張りだことなる。
流石俳優七海建人!と言われ、それとセットにマネージャーにも話題がいくのだが。

「七海さんのマネージャーさんすごいですね、演技」
「ええ。私の練習に付き合ってもらっているうちに上達されて、祓本のおふたりともなかよくさせていただいているので、様子もわかりますし」
「へえ。ほら、カメラさん、あそこの女性ね」

とカメラが向くと当の名前は恥ずかしそうに顔を隠してお辞儀をする。
まあマネージャーとしては普通の反応だろう。あの出演さえかなり渋っていたのだ。

「やめてください、彼女恥ずかしがり屋なんですから」
「それなのにあの番組でたの?」
「ええ。私が必死に誘いました、彼女私には弱いので」
「へえ…まあこんないい男がお願いしたら女性全員弱いですよ」
「ふふ、そうだといいですね」


「なーにが『私に弱いんです』だ七海」
「実際弱いじゃん名前さん七海に。高校時から可愛がってたし」

七海が出た番組が控室で調度やっていたのでなんとなく眺めていた。
まだその話題は熱く、祓本よりも七海で、ではあるが必ず七海が出ると出る話題である。
それが出る度に「姉さんなんか七海と付き合ってるみたいじゃないか」と不機嫌になる夏油にウンザリする五条。
まあ実際あの番組のあのコント?漫才では実に息が合っていたし、再現度も高かった。
演技なんてしたことがない名前ではあるが、それでも夏油傑という人間をよく表現出来ていたと五条も思う。SNSにあった『女版夏油』というのもうなづける。まあ名前は夏油名前なので女版ではなくそのものなのだが。

「もうどっかの番組で名前さんと一緒にネタしたらいいんじゃね?今七海とセットで名前さん話題になるならもうこっちからネタにしたらいいじゃん」
「…私と姉さんで?」
「そー。深夜の番組あたりで。」
「それより悟と姉さんのほうがインパクト的に大きな…SNSで女性版の私なんていわれるんだから、まあ姉さんも夏油だからね」
「じゃあ、僕の代わりに七海と傑。傑の代わりに名前さんでやってみる?」
「……、でもそれ、お笑いとしてどうなの。私たちそれなりに立場ってものがあるんじゃない?」
「だから、深夜でやるんだろ。とりあえずのネタ、時間つぶし。ほら、深夜だけと冠あんじゃん?そこなら名前さんだってその番組キャラクター的なもんで出してもまあ大丈夫じゃね?」
「うーん、姉さん本人に聞いてみないとだけど」
「なんでお前のほうが悩むんだよ……」
「芸人じゃないからだよ」

あくまで姉さんの本業はマネージャーだろ。と正論をついてくるが、もとはといえばお前がごねたんじゃん。と五条は思った。


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