呪術 | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

「やっほ!」
「…五条くん?」

九州への長期出張を受けた名前。
受けたというよりも、伊地知に言ってもらった任務。期間は約1ヶ月で、これが終わったらまた補助監督に言って長期の出張を入れてもらおうと思っていた。
高専の分校があるこの土地を中心に名前は任務を行っていたが、任務が終わって戻ったところに五条がひらひらと手を振っていたのだ。

「どうしたの?」
「名前がここにいるって聞いて。来ちゃった☆」
「授業は?」
「先生は僕だけじゃないからね。それに実際任務あるし?名前も新婚なのに長期出張なんて大変だね」
「んー?んー…、そうかな?」
「七海となんかあった?」
「んー…、なんでもないよ」
「そ?ケンカしたんじゃない?」
「してないよ」

ケンカはしてない。嘘ではない。と名前は自分を言い聞かせる。
こんな辺鄙なところにどうしたのかと聞けば、任務だという。
五条は特級だ、本来であれば教師というものではなく各地に飛びまわっているはずの人間だ。

「ご飯食べた?奢るよ?」
「本当?行く行く。でもその前に一度分校戻ってからね」
「補助監督は?」
「人手不足で。と言いたいところだけど、今ちょうど加茂家の人が来ててね、皆そっちなんだって」
「僕五条家当主の悟くん!」
「悟クン、一緒に分校戻ろうね〜」
「つーか、呪術師放置してるってやばくね?」
「まあまあ」
「どんな任務だったの」
「ん?2級が3体。調査書にはない1級が1体。ここ硝子いないからうかつに怪我できないし、案外大変だったよ」
「名前はどっちかというと攻撃タイプじゃないもんね」

そうそう。と話しながら補助監督らがいる部屋に入り、任務の終了と無事の報告をする。
電話の一本で済みそうであるが、この敷地内にある寮の一室をホテル代わりに使わせてもらっているのでついでである。
ここでホテルというと車で30分ほどの距離があり、まあ面倒だと思って寮を借りたのだ。
レンタカーを使うのも、時間も、いろんなものがもったいないと判断して。
少し前に述べた通り、普段であれば補助監督が付いてくれるが加茂の人間が来ていて一般呪術師の名前に構う暇がないのだ。ついでにここは加茂の力が強い。

「終わったよ五条くん」
「五条…?え、あ、も、もしかして、五条家の?」
「いえーい悟くんでーす!」
「あ、今回収しますね、すみません」
「ちょ、名前ちゃん!?」
「すみません、お騒がせしました。ご飯ご飯、五条くんの奢りご飯。お疲れ様でしたー、五条家当主回収していきます」

ご飯、ご飯、ご飯。と五条を急かして部屋を出て、「あ」と言ってから名前は戻ってからカギを持ってきた。
補助監督はいないが車はある。ということだろう。
事情が事情であるし、加茂だけではなく五条が来ているとなれば分校の方も車くらいは貸し出さねば後が怖い、というやつだ。
名前はそれにあやかって車のガキを手に入れた、というわけだ。
五条を連れて駐車場に行き、鍵についている車番を見ながら車を確認する。

「ちいさ」
「五条くんが大きいの」
「はい」
「ん?」
「鍵。僕が運転するよ、どこ行く?」
「ここの学生さんが、市の方に東京にあるカフェができたって言ってた」
「僕東京から来たんだけど」
「五条くんの好きなカフェだよ、こっち限定のパンケーキとパフェがあるんだって」
「そこ?」
「近くだと食堂あるけど、フレンドリーすぎて」
「あー、はいはい。了解、場所は?」
「教えてもらったからナビ入れる」

カギを投げて渡し、乗り込む。
大柄な五条は窮屈そうではあるが、まあ許容範囲内だろう。
慣れた手つきでエンジンをかけて、名前が入力した住所へと向かう。

「七海となんかあったでしょ」
「……う、ん。」
「素直じゃん」
「わかってきたんでしょ?開口一番それだったし。ケンカはしてないよ、それは本当」
「ふーん?で、どうしたの」
「ちょっと、変な雰囲気つくちゃった。それで居たたまれなくて…逃げました」
「七海心配してたよ」
「だよね……電話、あったんだけど……出るに出れないし、かけなおせなくて」
「でも何も言わずに出張とか、なしでしょ」
「五条くんが正論で攻めてくる……だって、顔合わせづらいんだもん」
「じゃあ離婚しちゃえ!」
「すぐに離婚てできるの?」
「僕に任せな」
「任せないよ。聞いてるの、質問」
「僕五条家当主の五条悟!どうせなら結婚理履歴だって抹消して五条家に嫁がせることも可能だよ」
「こわ!そんなの頼んでないし。絶対に嫌、やめて。歌姫さんとか硝子にもすんじゃねえぞ」
「そこまで怒る…?」

怒る!と助手席で大きな声をだす。
名前にとって同性である2人は別段である。また、その2人もそうだろう。
女性が少ない呪術師界、同性は貴重なのだと女性呪術は口をそろえる。

「ま、七海のあの焦り具合は面白かったよ」
「ぐっ……」
「なんで七海と結婚しちゃったかなー。僕というものがありながら!」
「なにそれ。まだそんな冗談言うんだね」
「冗談じゃないんだけどなー」
「あ、」
「どした?」
「限定品、プラス500円でマシュマロココア付くって」

甘そう!と名前は笑った。

/