呪術 | ナノ
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「マジ?ウケんね」
「ウケない!」
「なーんにも面白くないんだけど!」
「ていうか、七海名前のこと好きだったわけ?!」
「なんで名前も名前で七海なんだよ!特級の僕らじゃダメなわけ!?」
「クズより100万倍七海が良いだろ」

結婚することになりました。相手は七海くんです。
名前の出張が終わり、話したいことがあると同期の3人にメッセージが来たので家入リクエストの居酒屋の個室でのこと。
名前がなんだか何かを言いたげだがもじもじとしていると、イラついた家入がつついた。すると名前は告白したのだ。

「あれだろ?この前の定例飲み会の時の」
「硝子なんで知ってんの?」
「クズ2人が言ってたから。しかし七海がな…」
「やだー!名前が結婚するのやだー!僕と結婚じゃないと認めない!」
「私がそれを認めない。名前は私と結婚するの!ラブラブえっちするんだ!」
「え、なにそれ…気持ち悪い」
「拗らせ男2人はキツイな」
「私の方が名前の事好きだもん!」
「僕の方が好きだから!」
「行動に起こしたのは七海だっただけだろ。まあ名前もクズより七海だわな、正解正解」

うわー!と年甲斐もなく喚く男2人。
正直言わなくても気持ち悪い。同期だといっても、言っていい事と悪い事がある。これは完全に悪い方だ。

「七海は」
「そうだ、七海は」
「七海来るの?」
「一応。3人に言うねって言ったら、任務が終わり次第って」
「ほう、良い旦那じゃないか」
「どうだろう、今まで散々塩対応だったじゃん七海くん。利害の一致では」
「まあそれもいいだろ、この2人より」

それな。と名前は家入と笑いながら「カンパーイ!」と数回目の乾杯をする。
呪術師に女性が少ないこともあって女性は基本的に仲はいい。職場がはなれてしまった庵歌姫とも仲が良く、女子学生もまた仲が良い。
とくに禪院真希に関しては女性呪術師と補助監督からは酷く評価の悪い禪院直哉に関しては最悪だよねと意気投合するくらいだ。御三家では五条がまだマシではあるが男尊女卑が根深い。

「すみません、遅れました」
「七海ぃ!お前、お前お前お前お前ー!」
「私たちの可愛い名前を奪う覚悟はあるか」
「来たな主役」
「あ、席どうする?私移動しよう?」
「七海が真ん中入れよ、名前と私の間」
「なに?硝子と名前の間に入るの七海」
「生意気じゃない?処す?処す?」
「大男3人だとそっちキツイがいいのか?物理的に」

あ。という2人の顔。
どうやら自分たちのサイズを考えていなかったらしい。正面に座る同期女性の体格を自分と錯覚していたのか分からないが、2人でもなかなかなところに七海が加わればキツイ。
あと視覚的にもキツイ。
家入が少し立ち上がって七海入るスペースを空け、七海は名前の隣に座る。

「おい七海、おま、おまえー!」
「この度苗字名前さんと結婚することになりました」
「許さない」
「ていうか、お前いつから名前の事狙ってたわけ!?んなそぶりなかったじゃん!」
「あ、すみませーん、一番高い酒ください」
「…自由だな」

がるるるる。と唸る特級2人にどこ吹く風と言わんばかりの七海。
まあ家入は通常運転なので気にすることはない。どうせ五条の金だし高い酒が飲みたいは飲み会での常套句。

「名前もなんで七海なの!」
「そうだよ、七海でいいなら私だっていいじゃないか!」
「五条くんは五条家当主、夏油くんは特級。まあ、七海くんとは利害の一致ということで」
「ドライだな」
「苗字さん…」
「……あ、ねえ七海くん。私と結婚じゃなくて硝子としなよ、美男美女」
「それはそれダメ!」
「私も反対」
「苗字さん、貴女仮にも私の婚約者ですよ」
「いやー、だってさ、こんな美しい顔には美しい顔で美しい顔の子供を残すべきじゃない?」

絶対二人の子供美形だもん。と酒を飲みながら言う名前。
同期の中で言えば普通の顔立ちの名前。今更疎外感や劣等感なんてものを持つほどの事はなく、学生の時に劣等感も疎外感も捨ててしまった。
しかしこうして美形である2人が並ぶとやはり綺麗なものと綺麗なものを掛け合わせて綺麗なものを残すべきなのでは?という考えが浮かんでしまう。
名前は美しいもの、綺麗なものが好きなのだ。だから五条の夏油も観ている分には好きである。

「仮に子供ができて私の遺伝子が混じって綺麗な七海くんの遺伝子に害しかなくない?」
「じゃあ、私なら大丈夫じゃない?髪色も近いし、顔だちも」
「僕なら絶対僕の遺伝子強めにでるから約束された美形が生まれる、絶対、きっと、たぶん」
「私は子供が欲しいんじゃない、綺麗な子供が見たいんだ」
「名前が産んだっていいじゃないか」
「旦那が綺麗だっていいじゃん」
「婚約報告ですよね」

焦る七海。
実際七海が押せ押せで名前が流される形になったのは否定しない。
名前自身「まあ利害の一致というやつだね!了解」と結婚という面倒な契約を手ごろなお互いで済ませてしまおう、そんな感覚だったのは七海も理解していた。
しかしまさかここで「家入と結婚した方が良いよ、美男美女」というとは思っていなかった。
当の家入に関しては高い酒を飲んで満足そうにしている。

「…名前」
「んー?」
「略奪婚、興味ない?」
「メリバか?」
「なんですか、めりば、とは」
「メリーバッドエンド。ストーリー的にはバッドエンドだけど本人たちにとってはハッピーエンドってやつ、確か」
「まあ婚約報告でクズにんなこと言われたらメリバというかバッドエンドの地獄行きってやつだろ」
「人の婚約者にアピールやめてください。苗字さんも私と婚約したんですから他の人を勧めない」
「おもしろくねー男。名前、僕の方がユーモアあるよ?」
「私の方がテクあるよ?いろんな」
「真面目が一番だろ、この場合」
「私も歌姫さんもこの3人なら断然七海を推すがな」
「わかるー!私も硝子か歌姫さんがこの3人の誰かと結婚って言ったら絶対七海くんを推す!」

婚約者であるという自覚が薄いのか無いのか分からないが、段々七海が可哀想になってきた特級は「名前、そのくらいにしなさい」「七海泣いちゃうから」と逆に名前を窘め始めた。

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