呪術 | ナノ
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「なあ名前と硝子。お前らどっちか傑と付き合ってんの?」

その五条の言葉に2人で食べているのに使っていたスプーンを2人して仲良く落とした。

「最悪」
「スプーン落としちゃったじゃん…どうする?」
「多めに貰って来たからある、ほら」
「さすが硝子さん、やりますね」
「で、付き合ってんの?」
「「馬鹿も休み休み言え」」

共同スペースのソファで2人で同じように悪態をつく。
まあどちらかと言えば名前が家入に合わせたに近い。2人の声が重なってさぞ五条もビビったことだろう。
一瞬だけだけだが言葉に詰まったのが分かった。

「何食ってんの」
「アイス。見てわかるだろ、ゼリーに見えるか?」
「味だよ味」
「名前はミルク、私はモカ」
「美味そうじゃん」
「お前の分はない。で?なんだそんな考えになったんだよ」
「………最近、傑が、避けてる感じがして。でもお前らと喋ってるのは見るし、どっちかと、付き合って、アレかと思った」
「そんな繊細じゃないだろ夏油」
「どっちかというと、そんなこと思う五条くんに驚いた」
「俺、傑に避けられてる?」

知らない。と2人は声をそろえる。
嘘。知っている。しかし五条に「夏油は今君と合うと具合が悪くなる病気なんだ」とは面と向かっているようなタフな精神は持っていない。
一応五条も年相応の男子、いや、下手をしたらそれ以下の男だ。厄介なことに特級でお坊ちゃん、何があるかわからないのも事実。
周りが夏油の変化を察していたにもかかわらず、五条はそれほど気にするそぶりもなかった。まあ、そうなるまで放置していた人間が五条を責める立場にもないことは自覚しているので何も言わないが、そういうことだ。

「顔合わせづらいだけじゃね?」
「それあるね、ありえる」
「なんでだよ」
「わからないんだら、まあお前はずーとわからないままだな」
「…名前、お前わかるか?」
「んー、多分でもいい?」
「正解なんてないだろ、お前の考えを言え」
「うわ、横暴だな……まあ私の考えね。2人で最強だったのに、ここのところ別個任務で、相棒だけ強くなって、焦って辛くて、爆発して、逃走して、戻ったけど身の置き場がない自責でストレスマッハで、五条くんと顔合わせられないとか?」
「馬鹿じゃねえの」
「馬鹿はお前だよ」
「なんで傑が、んな無意味なことで俺避けるんだよ」
「夏油にとっては無意味じゃないんだろ」
「はあ!?」
「まあまあ、落ち着きなよ五条くん。私たちに怒鳴ったところで解決しないんだし。時間が解決することもあるよ」
「あ!?」
「動物だってさ、時間をかけて警戒心解いてくれるんだから。時間だよ」
「傑は犬とか猫じゃねーぞ」
「人間動物じゃん」
「大きく囲えばな。ま、時間だわな。私も名前の考えに賛成。時間が欲しいよ、私も」

わかるー。と名前と家入はケラケラと笑いながらアイスを食べる。
2人の答えでは不満である、と顔に書いてある五条はムスーっとして2人を睨むように見るが2人は慣れたものなので物怖じもしない。
むしろ慣れているので「また五条が不機嫌だな」程度。大きな体も、青い目ももう2人にとってはただの同級生の装備でしかない。
そんなむくれた五条を眺めつつアイスを食べていれば寮の玄関の方から子供の声が聞こえる。出ていた双子が戻ってきたらしい。きゃあきゃあいう声と夏油の声がする。
瞬時に2人は目を合わせ、「どうする」「どうしよう」と相談をするが時間がない。

「あー!おねえちゃん、なにたべてるの?」
「あいすだ!」
「ほら2人とも、挨拶して。それから手を洗って、うがい、を…」
「よう傑」
「さ、とる…いたんだね、任務は?」
「キャンセル食らった」
「特級キャンセルってヤバイね。どんなの」
「知らねーよ、俺じゃなくて良かったんだろ、どうせ2級かそこらだろうしな」
「ほら、ちび共手を洗ってきな。パパのアイスやるよ」
「ファミリーパック買ってたもんね夏油くん」

ほれほれ、と子供を誘導する家入。
残された名前は「ここで私を置いて行かないでよ」と訴えるが家入は「知らね」と言わんばかりに子供を手洗い場まで連れて行ってしまった。

「傑、お前俺避けてるだろ」
「そ、そんな、ことは…」
「なんだよ、俺が嫌いになったのかよ。俺なんかしたか?」
「い、いや……な、にも…ない」
「ケンカやめてよね」
「ケンカじゃねえよ」
「その言い方ケンカが始める前のヤツだよ。声が怖いよ」
「あ?」
「夏油くんも手洗ってきたら?」
「え、ああ…うん、そう、だね…」
「おい、話は」
「ごめん、さとる……」

足音が戻った時とは違って弱弱しい。追いかける気にもならないのか、五条は夏油が逃げるように出て行った方向を眺めてから名前を睨みつけるように見始める。
黙って、じーっと、威圧するかのように。
居たたまれないと思い名前はごみを捨てて逃げようとすると肩に五条の手がある。
捕まった。名前はそう思った。あの五条である、肩に手を置かれたのは初めてだが、これは「逃がさねえぞ」という意思の表れだろう。

「な、なにかなー?」
「お前、なんか知ってるだろ、知ってるな、知ってるよな」
「断定はよくないと思います」
「その反応が知ってるんだよ」

まあ知っていますけど。とは言えない状況。
名前は小さく「うー」「あー」「んーっと」「んあー…」と唸って見せたり逃げようと画策するがしっかりと五条の手は名前の肩を掴んでいる。痛くはないので力加減はしてくれているのはわかるが、その威圧は自覚がないのか分からないが名前にとってひどく重い。

「あ!おねえちゃんいじめてる!」
「だめー!」
「うわー、本当だーサイテー」
「んな!?い、イジメてねえよ!!」
「げとうさま、いない?」
「ほんとだ!げとうさまは?」
「夏油くんちょっと疲れたみたい。アイス持ってお部屋戻る?」
「げとうさまのぶんも!」

はいよ、こっちにおいで。と家入が冷凍庫の前に立って「げとう」と書かれたファミリーパックのアイスの箱をだして双子は自分と夏油の分をもってパタパタと足音を立てて「げとーさーまー!」と部屋に向かっていく。

「おい五条、名前をはなせ」
「あ、ああ…硝子もなんか知ってんだろ」
「私、も?名前なんか言ったの?」
「言ってない」
「言ってないけど態度がそうだった。知ってる態度!」
「五条、良いこと教えてやるよ」

誰かに聞いても欲しい答えが来るとは限らんぞ。と名前の肩を掴む五条の手を叩いた。

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