呪術 | ナノ
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「私カウンセラーじゃないんだけど」
「知ってる。でも、そういう伝手あるかなって。私よりも知ってるでしょ?どんなところがいいとか、こういう先生とか相談できるところがあるとか」

はあ。と大きな家入の溜息。
翌朝、家入とちょうど部屋を出るのが一緒になったので夏油の件を相談してみる。本人の承諾は得ていないが、家入の性格と夏油の性格を考えて名前が勝手に判断した。
家入は他に言わないだろうし、夏油も何も言わないだろうと。

「ま、専門医がいいんじゃない?こっちの方は私知らない」
「硝子はそっち系統じゃないもんね…」
「夜蛾センに相談の方が早いんじゃね?任務の割り振りとかあるし」
「そうだよね…」
「ま、あの夏油がねえ…名前も厄介なことに巻き込まれたね」
「…どういうこと?」
「あの2人に挟まれたんでしょ?面倒じゃん」
「挟まれては、なくない?」
「その場に居合わせたのが運の尽きだね、これから夏油は名前にすがるよ」
「す、すが?」
「弱さを見られたんだ、当たり前だろ?なんて言っても最強コンビの片割れだぞ?」

がんばんな。と他人事のように、いや、他人事だと家入はひらひらと手をふる。
えー。と不満を声に出すが、けけけと家入は笑うばかり。
2人でそのまま教室に行けば五条が1人背丈と合わない席にちんまりと居た。

「おはよ」
「おー」
「おはよう。1人?」
「おう」
「具合悪いんでしょ?休みじゃね?」
「多分な。昨日あれからどうだった」
「部屋に送って、ベッド入って寝たと思うよ。携帯も何も来てないし、隣五条くんだし」
「俺もなんもきてない…」
「双子は?」
「昨日は夜蛾先生の家にお泊りだって。先生のところ呪骸沢山あるしね」
「じゃ、夜蛾センが夏油と直接話して休むなら休むんじゃない?子供の相手も呪骸である程度できるし、施設も一応あるしな」
「………俺だけなんも知らない」
「え」
「あ?」

ガキ2人の行方も傑の具合も知らない…。と大きな図体を頑張って丸めている姿は滑稽ではあるが、当の本人からすれば面白くない。
名前が知っているのは昨日聞いたからで、その前に会話していたはずの五条が知らないのは聞いてないからだ。
まあ夏油が逃走する前にも親友でありながら変化に気が付かなかったあたり、その程度の人間なので誰も何も言わないが。せめてもう少し関心持てよ、というのが家入と名前の心情でもある。
少しばかり空気の悪い状態が続いていると夜蛾入ってきて「本日傑は体調不良のため欠席だ」と短く事実だけを言って本日の予定を読み上げた。

「以上、悟以外の2人は予定通り座学だ。遅れない様に」
「せんせー」
「どうした」
「傑熱あんの?風邪?」
「体調がすぐれないと言っていた。しばらく安静にさせてやれ」
「双子は?」
「呪術師の系列の施設だが…どうした?」
「……別に?気になっただけ」
「そうか。では怪我のないように」

おっえー!といつものように態度が悪い、というよりも、なんだか不機嫌であるのはわかったが同級生女子2人は何も言わない。
言ったところで何かになるわけでもなし、また八つ当たりに当たっては面倒だ。

「おい名前」
「…なに?」
「傑、昨日どうだった?」
「具合?部屋に戻るまでには戻さなかったよ」
「夏油吐いたの?」
「少しね。腹痛も頭痛も熱もないって言ってたから、疲れがでたのかな」
「ま、子供2人いれば疲れるよな。聞き分けが良いって言っても、な」
「良い子なんだけどね。隣は五条くんだし」
「な。マジで私なら無理」
「どういう意味だよ」
「まんまだよ。早く任務行けよクズ」

っち。と大きな舌打ちをして雑に立ち上がって足で椅子を蹴り飛ばす様にして教室を出て行く。
大きな音に驚いたが、まああれ五条だし。という無駄な共通意識があるので非難する気も起きない。
教科書やノートを準備して、教科担当が入ってきて授業が行われているとガラリと後ろの教室の戸が開き、夏油が「遅れました」と入ってきた。
教科担当も「では席について」というだけで不思議がる様子もない。まあ夜蛾が体調がよくなって授業に出る気分になったら出ればいいくらいのことを言われていたのかもしれないし、教科担当も特級というクラスにはあまり強く出ることができないのかもしれない。
授業が終わって教科担当が出て行き、夏油は小さく2人に「おはよう」と挨拶をしたので2人も同じように挨拶を返す。

「体調良くなったんだ。昨日吐いたんだってな」
「少しね。名前に世話になったんだ」
「顔色昨日より良いね」
「……うん」
「ちなみに五条は任務に出てる、安心しな」
「…名前?」
「んー?」
「ま、五条は知らないだろうけど、気づいているかもな。私は名前から」
「ふーん、そう。まあ、いいけど。硝子的におすすめってある?私特級だし、このままじゃいられないでしょ?」
「専門外だよ。まだ夜蛾センの方が知ってんじゃない?」
「先生が?」
「視野と伝手の問題。学生がそんな伝手ないだろ?医療系に知り合い居ても。夜蛾センは大人だし知り合いの知り合いくらい沢山いるだろ」
「それは言えてる」
「夜蛾先生に相談したの?」
「一応ね。だからこの時間に来たんだよ」
「美々子ちゃんと菜々子ちゃん大丈夫だった?」
「心配そうにはしていたけど、大丈夫だったよ」

子供が大丈夫そうならいいか。
そうだね、2人が大丈夫ならいいね。と2人に夏油は思わず「私は?」と聞いた。

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