呪術 | ナノ
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「五条くん、先生とかそういう前にね」
「うん?」
「女子の制服のスカート穿くなんて言語道断だと、思うよ?」
「え?」
「げぇ!?まじ?人間として風上にも置けないじゃん!」
「名前さん、危ないから夏油様のところ行こう…」
「悟、君ってやつは…」

夏油様!名前さん!と高専の敷地に入ってきた双子。
その双子が来た頃には休憩時間に近く、体力があるものだけが騒いでいた。
そして双子と夏油ががっちりと名前を囲み、「あ」という名前の言葉に反応して五条に近寄っていくのについて行き、冒頭。

「名前、やっぱりうちのところにおいでよ…」
「そうだよ…」
「というより、教育者としてない」
「まって!まって!誤解じゃないけど!」
「誤解じゃないから駄目なんだろ…」
「それは!悠仁のために」
「うわ…学生さんを巻き込むの?駄目だよ…」

「そうだそうだ」
「しゃけしゃけ」
「憂太ばっかり任務ふるなー!俺も任務でたいぞー」
「………」
「………」

「悠仁ー」
「巻き込まないで先生!俺無実!!」
「え、ひどい」
「酷いのは五条くんだよ…」

酷く冷静な突っ込みに夏油が珍しく吹き出して笑った。
それは盛大に「ぶふっ」という笑い声つきで。
それに驚いた双子が「夏油様…?」とおろおろしだすし、高専女子2人はそのおろおろした双子を見て笑う。
男子に関しては何をしても裏目に出ることはわかったという顔をして黙っているあたり、悟っているようだった。

「えええ…待って、待って…本当待って…」
「あ。そういえば名前戻った時悟に『女子の制服のスカート間違っても穿いちゃ駄目だからね』って言ってたのか」
「ああ!それ、そういう!?…でも、僕似合うよ?」
「名前、もう諦めな?悟に何言っても通じないから」
「でも…だって、私はいいけど、野薔薇が…」
「もっと言ってやって!!」
「夏油様、矯正できなくても名前さん近づかない様にしたらいいんですよ」
「そうそれ!受持ちの女子のスカート穿く変態なんて私たちの教育にも悪いし!」
「でも、結果としてアレだろ?どっちにしろやるぞ、あのクズ」
「あ、なら名前が先生になって生徒まもればいいんじゃない?」

無駄だからやめろ、むしろ周り守ったほうがいいぞ。という圧。最後には根源である本人が責任転嫁するのだから厄介なのである。
「僕にそうさせたくないなら、お前が守れよ」と言わんばかりの提案に今度は周りが「悟のおもりなんて可哀想だろ名前が」「手前のケツは手前で拭け」「ちゃっかり仲間に引き入れようとか最低」「やっぱり名前さん、教団に入ろうよ」と勧誘まで始めているので油断ならない。

「おい、名前いるか」
「あ、硝子」
「まだいたな、間に合った」
「……その荷物、なに?」
「名前が気にすることじゃない」
「間に合ったね」
「まあな」

大人は大人同士、ではないが自然と大人が集まって何やら雑談を始める。
そこに名前は加わっていいのかもわからず、とりあえず双子と高専女子2人と「五条くんやばいね」と率直な感想を言う。まあやばいのは今に始まったことではないが、それでもこちらの意味でヤバイとは思った事はなかった。
もっとも五条のやばさは常人離れをしている点が一番大きいので、まあそれも含めてやばいことを理解してしまったといえるだろう。

「さっさと高専なんてやめればいいのに…」
「苗字さんならフリーでもいいと思うけど。卒業したら真希さんもフリーになって3人で事務所作りましょ!」
「だーめー!施設で一緒に暮らすの!ていうか、私たちの方が名前さんと付き合い長いし?」

確かに夢があるかもしれない。と名前は思う。
ここ、現代、いや名前から見て10年後の未来には同性である女子の呪術師のたまごがいて、それと同じく男子もいる。
それに任務だって全く違う。あれだけ怪我が絶えなかったのに、家入がいるからというよりも、任務の質が違うだと名前は理解している。危険なものを遠ざけているのだ、五条が。

「名前」
「…ん?なに?」
「おいで」
「……え、な、なんだろう…」
「警戒しなくていい、ちょっとこっちで話があるだけだから。ほら、女子らはちょっとあっち行ってな」
「私らも?」
「僕ら大人のお話があるんだよん」
「うわキッショ」
「硝子さん?」

家入がちょいちょいと手招きをするので名前は少し警戒しながら近寄る。
別に警戒する必要は全くないのだが、言えば顔が酷く良い3人に近寄るのはなんだか勇気が必要な気がしただけなのだ。明るい日中に見る3人は同級生とはいえ、大人で気圧されてしまう。

「なに?どうしたの?」
「腕貸しな」
「う、うで?」
「脈測るから」
「え、なんで?」
「健康診断」

健康診断?腕?なんで?と疑問に思った単語を繰り返しながらも名前は素直に腕をまくる。脈測るのに腕?手首じゃなくて?と聞くが3人は無視をしている。

「うあ…っ」
「おかえり名前」
「おっかりー!」
「おかえり名前、私の事助けてくれた?」

何と音も、光もなく名前が戻った。風が吹くでもなく、雷も落ちず、大きな地震だって起きずに。
ただ日常の一部だったように10年前の名前が消えて名前が戻ってきたのだ。

「酷い顔色、医務室に運べクズども」
「傑に酷くやられたもんねー」
「ただいまー……」

ふらりとバランスを崩した名前の背後に夏油。名前の体を支えて名前が倒れるのを防いだ。
手当はしてあるものの、具合が良くないのだろう。顔色は悪いし歯切れも悪い。

「僕の可愛い生徒ちゃん達!名前ちょっと医務室運ぶから自習してて」
「え、苗字さん具合悪いの?」
「あ、大人になってる!」
「ゲトーさんセクハラしてる」
「夏油様そんなことしないし!」
「夏油様、」
「美々子と菜々子は待機してなさい、あとで連絡するから」
「やっほー…のばら、ま、き…」
「阿呆、自分の状態考えな」

軽々名前を抱きかかえ、それに不満を漏らす元気もないのだろう。
名前は黙って手を振るが、それさえも家入に「馬鹿」と辞めさせられた。
近づこうとする学生らに五条は「はいはい、自習してね」と遠回しに「近寄るな」と警告する。まあ誰も誰かに危害を加えるようなことはないが、一番具合の悪い名前が危ない状態である。
過去で夏油との殴り合いでの怪我の具合が良くない。学生である家入に治させるには程度は酷く、家入の手を待っている人間が多い時代なので名前は無理をさせないためにその手を断った。

「いたーい……」
「傑ってば酷ーい」
「彼氏にしたくない男だな。おい五条、お前名前運べよ、DV男じゃ名前も可哀想だろう」
「な!?こ、これは私が原因なんだし…私が名前を運ぶよ」
「なんでもいいから早くして…」
「私運ぼうか」
「真希、いいから。ほら傑」
「い や だ」
「オイお前らいい加減にしろ。さっさと医務室運べ。こいつらは名前に触りたいだけだから気にするな」
「クズだな」
「ああクズだ」

真希が見かねて近づいて申し出るも、家入がバッサリと「クズがしたいだけ」と言い捨ててればクズ2人は何とも言えない顔をする。
早くしろ。という家入の言葉に夏油はそのまま名前を抱いて医務室に脚を向けるし五条は五条で「あ、ずるい」なんて子供のようなことを言い始めている。
やいのやいのうるさくしていると家入が何かを言ったのだろう、ピタリと男性の声が聞こえなくなった。
その姿を見送る学生と、高専外の双子。

「…あんたたちも苦労してるわね」
「別に」
「夏油様が幸せならそれでいい」
「あっそ」
「あの様子だと戻ってこないだろうしどうするよ」
「自習って先生言ってたけど?」
「任務までの時間は自習という名の自由時間だろ」
「棘、組手やろうぜ組手」
「しゃけ」
「お、いいな、私も混ぜろよ」
「えーじゃあ私もしたい」
「俺も!伏黒は?」
「パス」
「えー?夏油さんに負けて悔しくないん?」
「………わかったよ、やればいいんだな」

訓練とかマジだる。という菜々子の声に美々子だけが頷いた。

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