呪術 | ナノ
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上の奴らが来るぞ!というパンダのタレコミにより、名前は虎杖と一緒に隠れることとなった。
名前は肝心の理由は知らないが、まあ1人にはできない。とかいうそういう理由だろうと名前は1人で勝手に納得する。それか面倒見がいいとか、馬鹿みたいに良い人なのかもしれない、あの五条を先生と慕っているのだから。

「上の人、よく来るの?」
「え?あ…いや?俺ここきて初めてかも」
「私も初めて」
「まあ最近五条先生だけじゃなくて夏油さんも来てるからなんか感じて来たのかも」
「…夏油くん、高専所属じゃないんだもんね、確かに頻繁に来てない特級が来たら変だもんね」

夏油くん問題児だからなあ、五条くんに負けないくらい。と困ったように笑う名前。
それを見た虎杖が「学生のころからそうなん?」と聞けば名前は頷いた。
今、というのか現代というのか、名前から見た未来の五条は名前が知る五条とは違う。
学生時代の五条はそれこそイキリ散らしている、というのだろうか。名前から見たら出来るだけ近寄りたくない存在だった。同級生ということ、人数が名前を含め4人しかない学年ということもあってそれは叶わなかったが、同じ時間を過ごすうちに苦手意識は薄れていったが、それでも苦手な部類であった。

「まず一人称は俺」
「俺」
「口は悪いし素行だって良くなかったかな」
「へー…」
「夏油くんは…落ち着いていたかな。どちらかと言えば夏油くんの方が話しやすかったし」
「マジで?意外」
「まああの体格の2人だから、苦手は苦手だけど」
「でっかいもんな、あの2人。俺だって小さくはないけど、五条先生といるとなんか小さく感じるもんな」

わかるー。と頷く虎杖。
灰原とは違った感じの男子で人懐っこい。同じ学年の伏黒恵はクールで少し七海に近い感じがあるので、もしかしたら2人の相性はいいのかもしれない。いなくなってしまった灰原と、呪術師にはならない七海を思っていると隠れていた教室のドアがコツコツと叩かれて「もういいよ」という五条の声。
まるでかくれんぼの様である。

「もう行った?」
「行ったよ。黙らせてやったよ、傑が何しに来てるかなんて勝手にでっち上げたさ」
「あ、悪い大人だ。あんなになっちゃ駄目だよ、虎杖くん」
「なんで?先生おっぱらってくれたのに?」
「そういうのを私たちの前で言うからだよ」
「あ、そっちね」
「ちょっと名前、悠仁に変なこと言わないの」
「後輩のためを思った事だよ」
「悪いお口はちゅーするぞ」
「夜蛾先生からのブザー使うぞ」
「あ…それは…ご勘弁…」
「五条先生と苗字さん仲いいよな。苦手ってマジ?」

あ。という名前の顔。そして「うん?」という五条の顔。
ゆっくり名前に向き直り。良い声で「名前ちゃーん?なに?名前って僕の事苦手なの?」と迫るではないか。
体格、男女、歳の差。どれをとっても虎杖でもわかる。アウトだと。

「わー!先生、それはヤバイ、やばいって」
「なにが?」
「今、苗字さん俺らと同じくらい、女の子!絵面がマジやばい!女の子に関係迫る悪い男って感じだよ!」
「……それは、やばいな。傑にバレたら面倒だし」
「……大丈夫?」
「う、うん……怖かった…」
「苦手ってなに?名前ってば僕の事苦手なわけ?」
「先生…そりゃデカい男の人があんな風に威圧的にきたら怖いっしょ」
「えー?悠仁、名前の味方なの?」
「絵面がマジやばいんだって…写真撮ろうか?これ全員満場一致でアウトだって」

証拠として出されたら一発アウト!と虎杖言えば、五条も納得した、いや、あまりの必死さに勘弁してやったと言わんばかりに「はいはい、わかったよ」と名前から離れる。

「名前」
「へ、あ、なに?」
「苦手って話、後で詳しく聞かせてもらうよ」
「夜蛾先生を召喚するぜ!」
「うーん、それは駄目。まあ戻ろうか」
「うっす!」

先生!と五条にまとわりつくように歩き出す虎杖。
名前はここの事情はよくわからないし、家入や夜蛾から「あまり深入りはしない様に」と軽い注意を受けているので聞かないようにはしているので2人の関係はたぶん、おそらく普通に教師と学生なのだろう。ついでに言えば虎杖にとっては五条はいい先生らしい。
学生時代が名前にとって五条を知る全てで、あの五条がこんな風になっているとは思ってもみなかった。

「なに?」
「へ?」
「名前、僕の事見てるから。視線を感じる〜」
「いや…なんか、私が知ってる五条くんとはかけ離れてるなって…思って」
「先生前、自分の事“俺”って言ってたんだろ?」
「やだ!そんなこと教えたの?」
「もっとオラついてたって聞いた」
「若気の至りだよ。名前、あんまり変なこと教えないで」
「……うん」
「苗字さん?」
「いや、なんか…五条くんが、ちょっとだけ大人っぽい」
「ちょっとだけかよ。早くしないと傑が来て名前連れて行っちゃうから行こうね、僕の先生っぷり見てもらわなきゃ」
「先生苗字さんのこと好きなのな」
「ふふーん、僕の成長っぷりを見てもらわないとね☆あんなガキくさい時の僕と比べられたら僕の沽券に関わる、覚えておけよ名前」
「えっ」
「そして戻った時に僕に『大人の五条くんあんなに格好よかったのに、今の五条くん……』ってしてやんな!」

なにそれ。と虎杖と名前の声が重なった。

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