呪術 | ナノ
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「おっはー名前」
「お、おはよう五条くん…?あれ?なんで?」
「悟の奴、名前が心配だからってね」
「任務は?」
「僕ってば最強だからさー。傑、朝飯なに?」
「悟の分はないよ。急にくるんだから」
「ひどくね?僕は同期の名前ちゃんが心配できたのにぃ」
「遊びにじゃなくて?」
「あ?可愛くないことを言うのはこの口かぁ?」
「あぐああああううあああ」
「やめろ悟!私もしたい!」
「名前、戻ったら傑に気を付けるんだよ」
「う。」

朝起きて顔を洗おうと用意された部屋を出るとすぐに五条と夏油が立っていた。
話の内容から任務終わりに来たのだろう、それも急に。朝ごはんを強請る当たり本当にいきなりの様子。
顔も洗っていない、まだ寝起きの名前をいじくり、「じゃあ顔洗って、また後でね」と頭をポンポンとされて2人は消えた。
それから名前は顔を洗って部屋に戻り、着替えを始めると一緒の部屋で寝ていた双子も起きて着替えを始める。
双子は「いつもはもう少し早く起きる」「今日は昨日は楽しくて寝るのが遅くなったから」と必死に言い訳をしてくるので名前は思わず笑ってしまった。

「げ!」
「なんで五条悟がいるの!?」
「おっはーみみなな」
「名前が心配で」
「「夏油様がいるから心配なんてない!」」
「おお、見事なステレオ…」
「「名前さんだってそう思うでしょ!?」」
「へ……あー…ん……ど、どう、かな…」
「「なんで!?」」
「ほら、みみなな。ごはん冷めるよ?名前も座りな、此処此処」
「「名前さんは夏油様の隣なの!!お前の隣じゃない!!」」
「美々子と菜々子、座りなさい」
「「夏油様!!」」
「はいはい。名前は私と悟の間でいいね」

面倒臭い。というのを隠しもしない表情の夏油に名前は黙って頷いた。
夏油、名前、五条。その正面に美々子と菜々子という形でとりあえず落ち着いた。落ち着いたのだが、まあ双子がそれを良しとしなかったのだろう。ぐるるるると五条を見て唸りながら食事をする。

「なーんかお前んとこで飯食うと実家思い出すんだよね」
「夏油くんの施設は五条くんの実家と関係があるの?」
「いや全く」
「こんなしっかりとしたご飯で実家思い出すなんて流石御三家だね」
「え?…あー、そっか」
「うん?」
「いや、なんでもない」
「ほら美々子も菜々子も。そんな悟を睨んでいても任務の時間は来るんだから早く食べなさい」
「…はーい」
「はい」
「昨日の?2人も?」
「そうだよ。今回は私は私、2人は2人で高専からの依頼でね」
「名前さんと買い物行きたかったのに」
「早く終わらせて出掛けよう。夏油様も」
「そうだね、それは良い案だ」
「じゃあ、その時間は名前見ててあげるよ」

お前はいいの!と双子が噛み付くように吠えた。

それから用意された車に乗り込むと五条もさも当然と言わんばかりに乗るので、これまた双子が噛み付くように文句を言う。しかし当の五条はどこ吹く風と言わんばかりに「うるさいなー」の一言。夏油も夏油でいつもの事のようにさらりと無視して車を出す様に運転手に命じていた。

「えっと、菅田さんは?」
「今日はお休みだよ」
「そ、そっか…五条くんは、任務は?」
「悠仁たちの特訓だね。まあ他にもあるけど、僕じゃなくてもいいのが大半だし?」
「……そっか」
「名前、名前は別に気にしなくていいんだよ。今の名前は10年前の高専生で、私たちは大人になって各々任務があるだけさ」
「あ、今の夏油くんって感じがする」
「え?」
「今傑アッパーな教祖様だもんね?」
「私こっちの方がしっくりくる。五条くんはもっと…なんていうか」
「「わがままなガキ」」

名前が言葉を選んでいると双子がズバリと言いあげた。
それには五条も夏油も名前も3人で大笑いをする。どうやらそう思っていたのは名前だけではなかったらしい。まあ当の五条に至っては「ここまではっきり言うともう笑っちゃう」という事なのだろう。
雑談をしつつ車に揺られ、やっと高専の門をくぐる。
車から降りれば夏油と双子はすぐに任務の事前打ち合わせのために分かれることになり、双子からは「名前さん、迎えにくるからね!」「五条悟に変なことされないようにね!」と言われる始末。五条は五条で「名前になにしちゃおっかなー!」と構うものだから双子はムキになる。見かねた夏油が2人をなだめてから分かれた。

「あんまり女の子イジメちゃ駄目だよ」
「イジメてないよ。あっちがつっかかってくんの」
「えー…もう28歳でしょ?相手はまだ10代なんだから」
「僕正論嫌ーい。これから悠仁と恵の体術見るけど名前も来るでしょ」
「へ?」
「真希も来ると思うし、鍛錬場行こうか。名前もやる?あ、でも着替え無いか。誰かから借りる?僕のデカいし」
「決定事項として扱うの止めてよ…硝子のところ」
「残念だけど硝子出張。遠方で呪霊被害でてその対処で出てるよ」
「え…ん−…じゃあ、五条くんの先生姿見る」
「おっけー!そうこなくっちゃ」

僕着替えてくるから名前は先に鍛錬場行ってな。と言われ、名前は1人で鍛錬場に向かう。
1人と言えど子供ではないので不自由も不便も感じない。ただ同級生である五条にどことなく子供扱いされるのが少し居心地が悪いだけで。
今の名前からみた五条は不自然である、というのもある。同級生である五条はあんな風ではなかったから。

「あ、苗字さんじゃん」
「え、あ、お、おはよう…ございます」
「おはよっす!ゲトーさんとこじゃないの?」
「えっと、五条くんが来て、あ、夏油くんと双子ちゃんがこっちので任務で。それで、五条くんが学生の体術を見るからって」
「そーなんだ。苗字さんはせんの?」
「服がなくて。五条くんが冗談半分に貸そうかっていうけど」
「俺の着る?」
「え」
「あ、苗字さん、おはようございます」
「お、おはようございます…」
「伏黒、苗字さん見学だって。真希さんか釘崎にいうと服貸してもらえっかもよ?」
「え、あ、ううん、いいよ…悪いし」
「そうなん?せっかく先生の体術なのに」
「虎杖…お前な……苗字さん五条先生の同期だぞ?嫌って程相手させられてるだろ」

ああ。と納得する虎杖。
五条悟の同期、また夏油傑とも同期で勿論家入硝子とも同期。それが名前を一生付いてくるし、逃げるには呪術師をやめるしかない。しかし辞めていないのだから今の名前はある意味諦めているのだろうとぼんやりと名前は思いながら曖昧に笑う。
学生である名前はそれで苦労という苦労はあまりしたことはないが、どこかでそう見られているという自覚はあった。ただ周りの補助監督や教師たちはあの問題児3人にくらべれば十分すぎるほど平凡である名前を可愛がってくれていた。呪術師としてというより、人間としてではあるが。

「うーっす、あ、苗字さんじゃん」
「あ、本当だ」
「あ、おはよう」
「夏油さんとこじゃないんだ」
「今日は双子ちゃんも任務で。高専に預けられたみたい、それで五条くんの先生姿見ることになっちゃった」
「ひどーい!名前ってばそんな風に思ってたの?さとる泣いちゃう!」
「おー泣け泣け。憂太呼んで皆でフルボッコにしようぜ」
「乙骨先輩は?」
「任務終わって寝てる。起こして来いよ恵」
「え、嫌ですよ…疲れてるだろうし」
「コラコラ、憂太特級とはいえ休ませてあげなさい」
「五条くんが人を気遣ってる…!?嘘…」
「名前ちゃーん?」
「うわあ!怖い!!」
「セクハラだぞ悟」
「ゲトーさん呼ぶ?」
「やめなさい、傑すぐ来ちゃうから。じゃあ順番にやるから名前はそこらへんで見学ね」
「はーい五条先生」
「あ、いいねそれ!もっと呼んで」
「五条先生」
「五条先生」
「おい恵、マジで憂太呼んで来いよ」

悠仁も恵も嬉しいんだけどさー!という声と真希のうんざりした声が重なった。

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