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夏油not離反if
夏油が五条と一緒に先生してる


校内に「ぎゃあああああ!!!」という男の叫び声が響いた。
当たりのガラス窓はビリビリと震え、何事かと立ち上がる釘崎に警戒しだす伏黒。様々である。
その叫びが終わるとダダダダと地響きが聞こえ、1年の教室に虎杖悠仁が人を一人抱えて飛び込んできた。

「やばい!!夏油、夏油先生が!!!」
「どうしたの悠仁」
「女の人になっちゃった!!!」
「あれ、名前さんじゃん。なにしてんの」
「……なに、してるんだろう、ね…」
「え?」
「その人は夏油名前さん。傑のお姉さんだよ、似てるから驚いた?」
「え、夏油先生じゃ、ない?」
「先生は、してないかな、私」
「え!!!」
「おい虎杖、その人は本当に夏油先生じゃねえよ」
「マジか!!ごめんなさい…」

ゆっくり抱きかかえて来た夏油傑によく似た女性を降ろして改めて再度謝る。
確かに見れば夏油傑に似ているが女性なのだから、まず男性が女性になるという感覚がわからない。
釘崎が「馬鹿じゃないの」と言えば何も言えない虎杖は黙って俯いた。

「五条先生、姉さんしらな…って、いた。なんで1年の教室に?」
「ごめん夏油先生。俺が驚いて連れてきちゃった」
「驚いて?さっきのアレかな?」
「そ。悠仁が名前さん見て傑が女の人になっちゃった!!って連れてきた」
「………は?」
「私が傑に似てたから驚いたんだって。そんな似てるかな…」

うーん。と顎に手を当てて頭を傾げる名前。
それと同じく「どうだろうね」と頭を傾げる傑。
確かに仕草は似ている。
顔の系統は確かに血縁なだけあって似てはいるが、そんな勘違いするほどそっくりではない。幼い頃から夏油姉弟を知る伏黒であっても間違えたことはない。
横の釘崎でさえ「間違えるとかありえないんだけど」と言っている。

「で、名前さんはなんで高専に?報告書か学長に呼ばれた?」
「そんなところ。傑と会って話してて、傑が職員室に行ってる間に、こう、ね」
「ごめんなさい…夏油先生の声がするなって思ったら、女の人で、先生に似てるし…」
「それで勘違いしたのか!名前さん声だって女なのに不思議だったんだよね」
「てかないわ、女性と男性、しかも性転換とか馬鹿すぎ」
「ぐうの音もでねえ…。本当すみません…」
「いいよ、気にしないで。そうそう無い体験させてもらったし」
「勘違いされるなんてないもんね」
「傑、多分違うよ。名前さん悠仁にお姫様抱っこされてきたから多分それ」
「五条くん!」
「え、なにそれ聞いてない。私だってできるし」
「しなくていいです、やめてください。では私は帰ります。皆さんお勉強頑張ってください!」

じゃあね。と軽く手を振って教室をでる名前。
その後を「姉さん、話まだ終わってないよ」と大きな図体の弟がそれを追いかける様に出て行った。
それを見送る形になった1年の教室。伏黒と五条は比較的見慣れている光景ではあるが他二人は初めて見たので目を丸くして出口を見たままだ。

「夏油センセって…」
「もしかしてシスコン?」
「いや、シスコンって程では…ない、と思うが…」
「いやシスコンでしょ傑のアレ。学生の時からだもん」
「夏油先生シスコンなんだ…へえ」
「ま。高専の時に両親と妹が交通事故で他界してるから仕方ないのかもね」
「え……」
「ま、その前からだけど」
「おい!変な空気にして面白いか!!」
「なんで怒るのさ野薔薇…僕なんか変な事言った?」
「タイミングが最悪です」
「空気読んだ方がいいよ先生」

冷静に突っ込む男子二人にガルルルと唸る女子が一人。
五条にしてみれば付き合いはそれこそ10年。あの二人の事だって近くで見てきたし、仲の良さも知っている。
二人がこの程度の事で腹を立てる事がないのを知っているが故に3人が怒る理由も心当たりがないのだ。
「えー?」と年甲斐もないく可愛い子ぶってみるも冷たい眼だけは変わらない。

「姉さんに逃げられた」
「なんで傑はまたここ来てるの?一応補習中なんだけど」
「……なんでだろう、姉さんがここに居たから?」
「じゃ、出てって」
「虎杖悠仁くん」
「え、あ、はい」
「私と姉さんは似てるかな」
「おーい傑、出てけって」
「あー…色々勘違いしてたから…」
「似てるかな」
「え、あ、…はい、俺は似てると思います」
「そうか……」
「え、なに?え?」

座るタイミングをの出した虎杖が高身長の夏油傑に詰め寄られている。
背が高いというだけで無駄に威圧感があるその男性。また黒を基調にしているその服がまた圧を掛ける様に来る姿は外野から見ていても無駄に恐い部分がある。

「傑、だから補習中なんだってば。出て行けよ」
「ああ、ごめん。失礼するよ」

少し背を丸めて1年の教室をでる傑。
ドアが閉まり、大きな人影が廊下を移動していくのを全員が目で追う。
五条に「ほら、悠仁座って」と言われて虎杖ば思い出したように席に着く。

「びっくりした…」
「別に傑怒ってたわけじゃないから安心しな」
「え、そうなん?」
「じゃあ続きするからね、教科書」
「その名前さんて、1級の夏油名前さんでしょ?」
「ああ」
「なに伏黒知ってんの?」
「小さい時から世話になってる」
「ちょっと雑談始めないで。補習なんだけど」
「真希さんから聞いた事あってさ。去年?乙骨センパイ?とパンダ先輩?が稽古付けてもらったって」
「無視しないで!!僕泣いちゃうよ!!」
「え、先輩たち強いのに?」
「悠仁まで!」

ちらっと虎杖が五条を見たが、どうも夏油名前という人物が気になるのか二人の方に向き直る。
他二人は既に補習という名の授業時間の消費を雑談に切り替えている。

「真希さんは素が強いじゃない。乙骨センパイが言えば素人でその指導らしい」
「でも名前さんが武器使ってるところ見たことないぞ」
「そうなの?」
「名前さん基本的に遠距離だから武器は使わないよ。だからって接近戦がまるっきり駄目ってわけじゃないけど」
「なに?授業しないで雑談に切り替えたわけ?」
「君たちが無視するからでしょ!!まあ、他の術師を知るのも授業の一環と考えて」
「今確か一般教養だったんじゃ?」
「切り替え切り替え。名前さんの場合は恵と同じで手を使う事がメインだと思われがちけど」
「俺と違うのは視覚が本来の武器」
「でもそんなホイホイ教えていいわけ?呪術師の本質じゃない」
「ま、名前さん自身というより、弟が傑でしょ?周りは特級の弟の方が恐いってワケだ」

勿論名前さんが弱いってわけじゃない、一応1級だしね。と続ける。
なにせ名前という人間は呪術高専にまあまあ関係がある、それゆえにこうして例としてあげらてしまった。
弟が高専で教員をしていると言う事もあり、何かと授業に駆り出される事がある。
高専に所属はしていても教員でも職員でも、まして補助監督でもないのに、だ。
1級という立ち位置ながら教師でもないので現場にはでるから現場の話だって出来る。特級までいけばそうそう出る事は少ないが、反面1級は特級よりも出る場面が多い。
では1級の呪術師のお話を聞いてみましょう!ではないが、そんな事でいきなり呼び出されていきなり話をさせることもある。他にも訓練の相手であったり、学生がサポートの練習として付き合わされることも。

「……もしかして名前さん、苦労人?」
「主に夏油先生と五条先生に迷惑を掛けられているな」
「へー!じゃあ名前さんて強いんだ!」
「僕には及ばないけどね」
「先生最強じゃん、先生基準にしちゃダメでしょ」
「実際名前さんと任務行った事あるが名前さん気を使ってくれてかなりいい人だぞ。ちゃんと強い」
「恵は名前さんと行った事あったね。次は野薔薇か悠仁あたりをお願いしようかなー」
「ちゃんと連絡してからにしてください、名前さん毎回聞いてないって言ってましたから」
「え、別にいいじゃん?仕事だし」
「いきなり学生が来たら驚くだろ」

確かに。と頷く二人に五条だけが「刺激的じゃん?」と素知らぬ顔をしていた。

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