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「#エロ」のBL小説を読む
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※スピネル
※夏油Not離反

「名前、僕と傑どっちがいい?」
「私だよね名前」
「……な、にが?」

七海がくれたパンをかじりつつ、スマホを見ていた名前。
言えば次の任務は七海と一緒で時間調整かつ休憩でソファに座っていた時に急に元同級生の特級2人が聞いてきたのだ。

「付き合うなら」
「いや、この際だ結婚までいこう」
「今さ、女性職員に聞いて回ってんの」
「セクハラじゃありませんか」
「セクハラだと私も思います」

また程度の低い争いをしているな。と七海と名前は口にはしないが同じ事を持っていた。
どちらもタイプは違うが顔はいいし、見た目だけで言えば高身長で何も知らなければモテるタイプだろう。特に夏油に関しては素を知らなければモテるだろう。対して五条のほうはしゃべると残念なのはもう誰しも知っている、28歳児なんて言われるくらいには残念だ。まあ残念という表現もかなり可愛くしてあるのだが。

「結婚…?いや、2人は無理でしょ」
「はあ!?僕五条家当主だよ?」
「私まで?なんで、悟よりマシでしょ?」
「……そうだな、結婚するなら伊地知くんがいいな」

まさかまさかの飛び火だろう。ここに伊地知がいなくていいのか悪いのか。
しかし特級2人は信じられないものを見るように名前を見る。
なんでこの見た目が特級である自分たちのどちらかではないのか、今はそれが一番の疑問である。

「え、名前ってB専…?ちょ、まじ?」
「目を覚ますんだ名前……」
「それ苗字さんにも伊地知くんにも失礼ですよ」
「いやー、正直七海くんも候補には入るんだけど」
「入れないでください、迷惑です」
「七海くんは、観賞用」

観賞用。と今度は3人の声が重なる。
誰も人間相手に「観賞用」という言葉がでるとは思っていなかったのだろう、名前自身もそんなことをいう日が来るとは思ってなかった。まあでも観賞用というのが名前にとって七海は存在なのかもしれない。

「高身長」
「僕のほうが高い」
「整った顔」
「私だって整っている方だけど」
「気配りができる」
「………」
「でも、その横にいるにはちょっとね…やっぱり良い男は見るに限る」
「それ全部伊地知くんにはないって言っているようなものですよ、大丈夫ですか」
「その代わり伊地知くんは気配りできる。パッとはしないけど、安心感があるっていうか。守ってあげたい、というか」

呪術師だからね。という突っ込み待ちなのだろうか、名前は指を折々伊地知を選ぶ理由をあげていく。

「何より、3人にはない、いやある部分がないんだよ」
「何そのクイズ」
「3人は背が高いでしょ?それに比べて伊地知くんは身長が近い」
「それ利点?」
「高いほうがよくない?」
「甘い、甘いよ。甘党の五条くんらしからぬ、いや、身長高いからこそわからないかー」
「苗字さん五条さんに似てきましたね」
「あ、ひどい」
「で、なんで伊地知がいいの名前」
「……背が高い人声が遠いんだよね」

はぐ。と持っていたパンに再度かぶりつく。みずみずしいトマトが飛び出そうになったので名前上を向いてむぐむぐと食べ進める。
一応は今休憩かつ時間調整、食べられるときに食べておきたい名前はごくりと飲み込んでから続ける。

「声が」
「遠い…」
「ん?んー、そうそう。3人は身長近いからわからないと思うけど、会話してると遠いんだよね」
「あまり感じたことはありませんでしたが、不便を感じさせて申し訳ありません」
「いやいや、私個人が思うことであって、聞こえないわけじゃないし」
「へえ、じゃあこうしたら僕らは伊地知と同じラインなわけか」
「気色悪!!」

名前の耳元を両サイドから攻めてくる2人。
名前からしたら地獄で、一緒にいた七海から見ても地獄絵図である。名前は「ぎゃ」と色気のない声を出して逃げる。
顔だけはいい2人だが、名前は散々学生の時からひどい目にあっている。できれば関わりたくないトップ2といってもいいだろう。
後輩の七海でさえ名前が受けている仕打ちはひどいと思うことが多々あったし、ついでに先輩としてであればこの2人より名前のほうが断然尊敬できる。
一般家庭出身である名前は他3人の先輩よりも七海や灰原と近い存在だったし、同じ一般家庭出身である夏油は特級。感覚的にも七海は灰原のように懐くことはできなかった。

「伊地知くんならこんなことしないし。あーぞわぞわした。セクハラだセクハラ!」
「それでお2人は今どちらが優勢なんですか」
「うん?私」
「そうですか」
「つーか、なんで傑のほうが人気なわけ?納得いかない、このGLGを差し置いて」
「まあ夏油くんのほうが対人においては上だからね」
「ご自分の学生時代を思い返して思い当たらないのであれば、もう絶対に勝てないでしょね」
「へえ…そういう態度とるんだ2人して」
「で、硝子はどっち?」
「………」
「………」
「さっきまでの威勢はどこに行った特級」

こんな口を叩けるのも同期だからだろう。
名前が再度「おーい、だから硝子は」といえば2人はさっと視線を逸らす。
これは名前と七海でもわかる。選ばれなかったパターンであろう、と。
名前も選ばなかったタイプではあるが、家入の場合は2人とも相当貶されたに違いない。「紙屑と糸くずどっちもクズだろ」とでも言われたのかもしれない。家入は名前以上に2人には辛辣だし、怪我を治してもらう関係上夏油は絶対的に家入には強く出ることがない。反対に五条は一応は数少ない同期という事もあって夏油以上には丁寧に扱っている。

「クズはごみ箱でも口説いてろでも、言われた?」
「さすがにそこまでの事は言われなかった」
「苗字さん案外ひどいこと言われますね…」
「学生時代の仕返し。特に五条くん」
「単純に3徹目だから普通に怖くて話しかけられなくてね…」
「最近上級の呪霊多いですからね…」
「怪我しないようにしないと…えぐられそう」
「いや、名前は大丈夫でしょ、仲いいじゃん」
「仲が良くても負担をかけたくないものだよ、甘えるのとわけが違う」

えーそんなもん?
そんなもんだよ。
という五条と名前の会話。最初の質問はもういいのだろうかと七海は思ったが厄介なのであえては口にしない。
名前はこの呪術界で比較的良い人間側ではあるが、この同期が絡むと厄介な人間の部類になるのは補助監督の中では知られている。名前が厄介、というよりも特級が絡んできて名前が怒る、という厄介なのだが。

「あと伊地知くんと七海くんはこういうウザ絡みしてこない」
「私だってそんなウザ絡みなんてしないだろ?」
「その態度がうざい」
「んふ。」
「おい七海、今笑ったってことはお前、傑のうざいって思ってんな」
「五条くんのこういうのもウザいよね」
「はあ?僕に絡んでもらって幸せでしょ名前」
「まったく?私顔で言うなら七海くんのほうが好きだし」
「「「観賞用として」」」
「おう!」

夏油くんも嫌いじゃないんだけど、なんていうか胡散臭いんだよね、いろいろ。と名前は悪びれずいうので夏油は名前の唇とつまんでグイっと引っ張った。

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