呪術 | ナノ
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※夏油Not離反
※教師If


「待って、それいつから」
「……学生の時?」
「誤解!誤解だよ!!え、じゃあ私が高専一時期離れた時はどう思ってたわけ?」
「別れたのかなって」
「夏油が戻ってきたときは?」
「ヨリが戻った?」

違うよー!!という夏油の叫び声に家入がゲラゲラと笑う。
高専の敷地内。本日は天気も良く過ごしやすい。
久しぶりに同期で飲み会をしよう、という家入の発案に同期は乗り、各々酒やら飲み物やら食べものを持ち寄って敷地の一角で酒盛りを始めたのだ。
五条は急な任務で少し遅れるという連絡があり、まだ姿はない。

「盛り上がってるねー」
「来たな五条。名前がまた面白い勘違いしてたから笑ってたんだよ」
「へえ?」
「悟…名前はね、今まで私と悟と硝子が3人で付き合ってると思っていたんだって…」
「へあ!?」
「だから名前、今日も参加渋ったのか」
「うん」

ほら、デートに部外者いたら迷惑でしょ?とビールの缶を片手に名前が言う。
顔はまだ酒を飲み始めて時間が経っていないからか、まだ酒の気配はない。この中で一番酒が飲めない五条を除き、顔に出るのが早いのは名前である。その名前の顔に異変がないのは、まだ酔いはしていない。よってまだ正気である。

「まっじで…?」
「うん。ほら、夏油くんが高専から出た時期?あれ3人が内輪もめして別れたんかなって思っているときもあった」
「それで高専出るとか。夏油そんな繊細じゃないだろ、絶対」
「気を使って?」
「ぶは!」
「え、もしかして名前って、私らが3人で桃鉄とか遊びに誘っても参加しなかったのって………」
「特級と他人に反転術式使える人と一緒にいるのがまず無理だったし、まあ付き合ってると思ってたからそんなお情けに預かるほど空気読めない人間じゃないし?ってな感じかな」

ぎゃははは。と家入の大笑いが響き、五条と夏油は沈む。
家入にとっては大変心外なことではあるが、それ以上に名前の勘違いが面白くてそれでどころではない。
そもそも3人が付き合っていた事実はないし、ついでにこんなクズと付き合うなんて天と地が引っ繰り返ってもナイ。というのが本心である。
反対に名前に対して仲良くなりたいと思うが名前のガードが堅いと思っていた特級2人は、今やっと納得した。表面上は確かに関係は悪くなかったが、それ以上仲良くなれなかった学生時代。
交際している間柄だと思えば、名前でなくても一歩引いていてもおかしくはない。

「えー……じゃあ、名前って、僕らが付き合ってると思ったから付き合い悪かったの…?」
「いつも名前ってば1人だなって思っていたけど…そんな、ことを……」
「お前らの責任だぞ、イチャイチャしてくさって私まで巻き込まれて。責任をとれ」
「特級と硝子は規格外だからね。ほら、私まだ規格内だし」
「結界術であんな風に戦う人間がよく言うよ」

コンビニの袋がドンと真ん中に置かれ、家入が物色をする。
ホットスナックにつまみ系、スナック菓子にスイーツ、自分用の甘いジュース。さすが五条が買って来たものだと言わんラインナップ。
家入に探られても文句も言わず、家入が名前に「ほら、から揚げ」と渡してもいつもの事だ言わんばかりに空いているところに腰を下ろす五条。
まだ夏油にはダメージがあるのかピクピクとしている肩を突いて遊び始めた。

「やめろ悟」
「いつまで凹んでんだよ。てか名前、なんでそんな勘違いしてたの?僕とか傑結構名前にも構ってたじゃん」
「んー?言ったでしょ、規格外は規格外同士って。んな規格外の中に入れるほどイカれてないし?」
「あ、これ期間限定の奴じゃん。名前、これも食べな」
「気になってたやつ!五条くんやるう!いっただきまーす」
「あ、それ私も食べたい」
「お食べ〜。硝子はいいの?」
「酒があればいい」
「僕が買って来たんだけど。まあいいけどさ」

うまー!とご機嫌名前。
それとは反対に名前に付き合っていると思われていたことがショックでまだ立ち直れない夏油にもう切り替えた五条。
家入が漁り終えた袋から自分が食べるために買ってきたスイーツにジュースを取り出して食べ始める。

「あ、それコラボの奴でしょ」
「そうなの?新商品だから買ってきた」
「それも気になってたんだよね。美味しい?」
「まあまあそれなりに」
「名前、悟に聞いてもダメだよ。五条家当主なんだから」
「そうそう。お高い物食べてるんだから」
「偏見しすぎ〜。お値段通りの味だよ。あとは個人の好みじゃない?僕は好きだけど」
「低下価格帯においては?嫌味だー!こんな人間にはなりたくないね」
「お、名前の口が悪くなってきな」
「酔い始めたね」
「私ね、口が悪くなっても空気が悪くならない皆好き」
「長い付き合いだからな」
「まあこんな事言えるのこの3人だけだし…」
「名前…」
「七海くんと伊地知くんの前ではいい先輩でいたい」

あの2人に幻滅されたら私どうしたらいいんだろうね!あは!とご機嫌である。
名前はその二人の後輩がお気に入り、ではないが、先輩として格好をつけたい部分があるのだろう。なので基本後輩にあたる人間には優しく、そしていい人間であろうと努めている。
その反対に同期である3人には今では酔えば口が悪くなる程度には気を許しているのだが。

「あの猫かぶりというか警戒心が強かった名前がこんなに…僕らの努力は無駄じゃなかったね傑…」
「そうだね悟…あのどこまでも一歩下がっていた名前が…私たちは嬉しいよ」
「まあ私学生の時から名前とは仲良かったけどな」
「硝子マウントとってるー!まあ私も硝子とは仲良かったからね」
「くそ…硝子、同性だっていう強みだけだろ」
「同性って大事だよね、だって異性にはわからないことも共感できるんだよ?強み以外なくない?」
「同性の陰湿さは?」
「そういう夏油くん嫌い…」
「え」
「空気読んでよ…七海くんとか伊地知くんならそんなこと言わないし」
「名前…ほかの男の名前なんて呼ばないでよ」
「おいそこ、勝手に付き合ってる雰囲気を出すな。酒が不味くなる」
「そーだそーだ!僕のスイーツが不味くなる」
「で、結局3人は付き合ってないんだっけ?付き合ってるんだけ??」
「「「付き合ってない!!」」」

おっけー!とニコニコした名前はビールをあおった。

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