呪術 | ナノ
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「うにう!!」

日が暮れた。
仮眠室から出て、ボールで遊び、結界術で足場を作って遊ばせ、撫でたり抱っこをしたり。
監視というよりも猫の世話だったな、と今になって思えばそうである。
確かに宿儺の器だとか色々と聞いてはいたが、今は猫。五条と夏油、そして七海の話ではかなり良い子である。
宿儺の器というだけで少し身構えていたが、今では普通に可愛い。
いや、しかし相手は15歳の男の子!と思い出しては猫吸いを我慢してはいるが、それでも人懐っこい虎杖(猫)は可愛い。もう膝に乗せるのだって撫でまわすのも抵抗がない。

「そろそろ五条くん帰ってくるといいんだけどねー」
「に!」
「帰ってきったよーん!」
「にう!」
「お疲れー」
「ただいまー。傑から聞いたよ、うわ、もう悠仁を完璧猫扱いしてるー!うひひ」

休憩室で虎杖(猫)を膝に乗せ、喉裏を撫でたり顎先をカリカリとしてみたり、虎杖(猫)も虎杖(猫)で気持ちがいいのだろう、されるがままになって甘えている。
やっば、写真撮らして。とスマホを構えるが名前が「駄目、イタドリくんが可哀想でしょ」と窘める。

「ちぇー、僕はただ可愛い生徒の写真が撮りたいのにー」
「嘘つかないの。はい、じゃあイタドリくん、五条くんのとこ帰ろうね」
「うにゃん」

立ち上がって抱き上げた虎杖(猫)を渡す。
今まで名前の膝の上にいた時は大きく感じたが、五条の腕にすっぽりとハマると小さく見える。まあ五条が大柄中の大柄なので対比が違うのだが、すこしだけ子猫に見えてくるから不思議だ。

「じゃあね、イタドリくん」
「えー行っちゃうの?ご飯は?」
「イタドリくんの?」
「名前の。悠仁のは買ってきたからね〜」
「あー、今日任務のつもりだったから夜の分忘れた。お昼もバタバタしたし…袋麺でも食べるよ」
「硝子と傑部屋来るから名前もおいで」
「やだ」
「連行」
「うわー!聞いた意味!!」
「美味しいの食べさせてあげるから!硝子は酒、傑は食べるの持ってくるから名前は悠仁と遊んでていいよ〜」

うぎゃー!と抗議するも大柄の男性に抵抗したところでびくともしない。むしろ高専内で五条悟に勝てるのは夜蛾学長だけだろう。同期である名前であってもそれは同じで、じゃれることはあっても力では絶対に勝たせることはない。
ぎゃあぎゃあ騒ぐ名前は補助監督から見ても生贄のようなもので、名前が相手をしてくれていれば自分たちに無茶ぶりをされることはない。可哀想に、と同情はあっても逆に有難いと感謝されているのだ。
猫を頭にのせて名前を引きずり、あははは〜と笑いながら歩くその姿は夜蛾学長がいれば名前は助かったが生憎夜蛾は京都校に出ている。



「お、名前じゃん」
「五条くんに拉致られた!」
「で、虎杖と遊んでるって?」
「夏油くんのご飯待ち。食べたら帰る」
「帰れるといいな」
「帰る!」

ひひひ。と笑いながらテーブルに酒の入った袋をどさっと置く家入。勝手知ったる他人の家、いや部屋である。
勝手に冷蔵庫をあさり、つまみを持って来て勝手に食べるもの常だ。
同期が集まってダラダラする。まあ東京で職場を同じくしている同期では不定期ではあるが催しているダラダラ会。名前はたまに参加する程度なので全員がそろう自体は珍しい。

「虎杖、名前の手は気持ちがいいか?」
「うるにゃん!」
「七海も気に入ってったからな。なんていっても元猫飼いだからツボはわかるんだな」
「僕もなでてほしかったし抱っこもしてほしかった!」
「うわ、キッショ」
「ねえ特級ってこんなでいいの?こっちは御三家の五条家当主でしょ?やばない?」

ねえねえ。と名前は膝の上の虎杖(猫)をツンツンツンツンとつつく。
遊びの延長であるのはお互いわかっているので虎杖(猫)も「うわー!」と軽い反撃に出てくる。

「…かわいい」
「キッショ。まだ夏油来ないのか?つまみが足らん」
「そろそろ来るはず。傑にも名前と悠仁と硝子いるからって連絡しておいたし」
「ふーん?」

ピンポーン、などとは鳴らずにガチャリとドアの開く音がすると夏油が「揃ってるね」とにこやかにビニール袋片手に入ってきて、先ほどの家入と同じようにテーブルに置いて広げていく。
スーパーの総菜ではあるが、ちょっとお高いところの名前がシールについている。
から揚げ、フライドポテト、刺身にお漬物。バリエーション豊富ではあるが、飲む人間のチョイスである。

「あ、イタドリくんダメダメ。食べられないの」
「くっそ…目の前でイチャつかれてる…」
「ねー。僕らにはそんなことしなかったのにねー」
「ねー。」
「好き勝手なことしただろお前ら」
「こっちは任務出て大変だったんだよ」
「名前だって七海の世話で休んだだろう?」
「特級と1級の任務の差を考えろよ馬鹿ども」
「そうだそうだ!人が疲れてるの引っ張り出しやがって!最低だぞ!」
「うにゃる?」
「ねえイタドリくん。特級のくせに呪い受けたら駄目だよねー?」
「るるる?」
「ね。ほらイタドリくんも駄目だって言ってるよ」
「キョトンとしてるぞ」

私も飲む。と夏油にグラスを取りに行かせて家入から酒をもらって飲み、膝には虎杖(猫)。
じーっと夏油は虎杖(猫)を見るので虎杖はのそのそと膝から降りて夏油の隣にチョンと座って「にー!」と元気よく鳴く。まるで「俺になんか用?夏油センセ!」と言わんばかりである。

「夏油くん案外好かれてるじゃん」
「悠仁のいいところだよね〜」
「虎杖はいいね、名前に抱っこしてもらえて撫でてもらえたし、膝の上にまで乗れたんだろ?」
「それならこの前お前膝の上に名前乗せたじゃん」
「あー、私寝惚けてたのと酔っ払った時の?猫耳の夏油くんはエグかったね」
「名前の僕らに対する偏見が凄かった回ね」
「早く名前酔わないかな、この2人を振り回すのが面白いんだ」
「今日はそこまで飲まないよ。帰るし」
「え、帰るの?」
「帰るよ。私明日任務あるし」
「じゃあ誰が虎杖の面倒見るの?」
「五条くん。私世話係違うし」
「ま、七海の時が特例だな。こうも連続して猫になるとはだれも思っていなかったし。次は名前だったりしてな」
「やめてよー怖いこと言わないで。猫になったら七海くんにお願いしよ」
「私が面倒見てあげるよ」
「僕だって見るよ?悠仁、僕ちゃんとできてるし最強だし」
「…うにゃあ…」
「ふふ、七海が妥当だと言っていそうだな」
「うにゃう!」

あまりにもいい返事を虎杖(猫)がするので思わず全員が笑いだす。
「えー五条先生も夏油先生もな…確かにナナミンならよさそう!」と言わんばかりに鳴き方。
五条は「ひどーい、悠仁てば!」とふざけ、夏油は「私七海よりも付き合い長いんだけど」とたった1年の差に文句を言う。
ひとしきり笑い、名前は飲食を終わらせるとさっそうと「じゃ、またね!」と部屋を出ていった。

「虎杖は名前と猫になって会ったんだっけ?」
「に!」
「名前はね、結界術が得意なんだ。今度悟と相談して実習で組ませてもらいな、勉強になるよ」
「うにゃう!」
「そうだね。戻ったら名前と実習組ませよ!猫になってよしよししてもらった仲だもんね!」
「それ言うと名前絶対嫌な顔するぞ」
「でも事実じゃん?」
「私名前がまた切れても知らないからな」
「えー…名前がブチ切れると怖いんだよね」
「学生の時のアレは悟に効いてたね」
「地球1周分先を歩いてるっていうのは笑ったな」

いやーん。とふざける五条を2人が笑い、よくわからない虎杖(猫)は頭を傾げた。

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