呪術 | ナノ
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※白黒にゃんこの続きのようなもの

「傑、名前、猫だよ!」

じゃじゃーん。と猫を持ち上げて名前に見せつけてくる五条に名前は何とも言えない顔で頷いた。
名前は猫が好きだ。それは認める。ただあの五条が笑顔で猫を持ち上げて見せつけてくるあたり裏がある。絶対に裏がある。
当の猫は赤茶のトラ猫で困った雰囲気で「にい」と小さく鳴いている。

「どうしたの悟、その猫」
「んふふ、これは任務でヘマした悠仁!」
「ゆうじ?」
「虎杖悠仁。1年生で悟の受持ちの子」
「最近の呪いは猫が流行ってるの?今度は学生さんとか」
「さあね。名前猫好きだから見せてあげようと思って」
「やめなよ五条くん…失敗を他人に見せるだなんて…それでも教育者なの?」
「にい…」
「それにそんな持ち方だと可哀想だよ。抱くならしっかり抱っこしてあげて」
「え、そこ?」
「貸して。猫の抱っこは」

こうして、こう!と学生(猫)を抱き上げる。
まあセクハラだのと言われるのは面倒なので見せるとすぐに五条に返す。
名前自身その「ユウジ」という学生は知らないし、名前からして男子学生だろう。
相手が善意に抱き方をレクチャーしてくれたとしても、思春期の多感な時期に拷問だろう。そう思って名前はすぐに五条に返したのだが、特級2人の反応がおかしい。

「え、ずるい!」
「え」
「なんで悠仁は抱っこしたの!?僕らはしてくれなかったくせに!!」
「そうだよ名前!膝にさえ乗せてくれなかったのに!」
「うわ、めんどくせえ」
「に…」
「ほら、早く元に戻してあげなよ…硝子いるんでしょ?」
「硝子に診せたら鼻で笑われて数日我慢しなだって」
「職務怠慢では?」
「宿儺がいるから下手にしたくないんだって」
「あ、その子が例の?」
「あれ?知らなかったっけ?」
「直接的には知らないかな、今年の1年で知ってる子は美々子ちゃんと菜々子ちゃんと伏黒くん」

確かに猫になった夏油を双子に預けるために寮には行ったが、目的はあくまで双子である。他の学生が居たとしても用事がなければそれだけだ。
行った際に顔は合わせているかもしれないが、お互い認識まではしていないだろう。

「で?」
「で?僕も抱っこして」
「私も」
「なんだこのセクハラ特級…」
「で、名前世話してくんない?」
「くんない。無理。宿儺の器の子でしょ?私には無理です、私1級だし」
「に……」
「大体、五条くんの受持ちの子でしょ?なら五条くんが面倒見るべきでは?それに宿儺の子なら余計五条くんが見るべき」
「僕これから出張なんだけど」
「なら夏油くんが妥当でしょ?さすがに特級レベルの子は無理だよ、七海くんが私の上限。それに知らない人より知ってる人、まして未成年でしょ」
「悟出張ならぴゅって行ってぴゅって戻っておいでよ」
「人を何だと思っているんだ傑…まあ僕なら余裕だけど。えー、じゃあそれでいい悠仁」
「……に」

どちらの返事かは誰もわからないが、とりえず返事があるので「了解」という事にしない名前。
五条に抱かれている猫、ユウジの頭を撫でて「よかったね、ユウジくん」とほほ笑む。
これはいえば、それが決定だという意味でこの話は終わりだ。という名前の意思の表れである。言い換えれば「これ以上この件に私は関わるつもりはないので、さようなら」である。

「頭、なでてる…」
「え、なに?あ、そうか思春期の男の子…ごめんね、配慮がなかった」
「に」
「私たちにはしなかたのに…」
「まだその話続くの?いい加減やめない?全然面白くないんだけど」
「こっちは真面目だよ…」
「ユウジくん困ってるよ、28にもなってなに言ってんの。てか2人なんてモテるんだから彼女してもらいな。特に五条くん、君当主でしょ、さっさといい人見つけて結婚しな」

そういうことで、私任務。と名前はさっさとその場から離れる、しかしなぜか大男が2人、しかも片方は猫を抱いて名前を追いかけてくる。
学生時代にもたまにではあるか、こうやって遊ばれた記憶のある名前は「ひい」と小さな悲鳴を上げて高専の廊下を走る。

「怖い怖い怖い怖い!」
「逃げるなよ名前」
「寂しいじゃないか名前」
「うわー!特級がいじめるー!あ!七海くん!!助けて!」
「え、何してるんですか貴方たち…」

廊下の先で歩いている七海は発見した名前は七海に声をかけて素早く七海を盾にする。
体格だけで言えば七海は特級の2人には負けていないし、口でも負けないだろう。ついでに言えば尊敬できる部類であるはずの名前の味方にもなってくれるだろう、なんといっても同じ一般家庭出身の規格内同士だ。

「いい年して女性追いかけて…ん?猫?」
「あ、これ悠仁」
「虎杖くん…?どうして猫に」
「七海と同じ理由だよ」
「ああ、お2人と同じ理由なんですね。それと苗字さんを追いかけていた理由は同じではありませんよね」
「悠仁抱っこしたのに僕らは抱っこしなかったって言う抗議と」
「早く結婚したら、プークス。されたから」
「プークスはしてない!聞いてよ七海くん、ユウジくん面倒見てって言われて断っただけなのに。思春期の男の子が知らない成人女性に世話になんてなるの可哀想でしょ?多感な時期に」
「それは言えていますね…」
「それに猫の時抱っこしてくれなかったとか撫でてくれなかったとか。どうして同期の成人男性、しかも大柄を抱っこして撫でなきゃなのさ!」
「………」
「なんだその目は!七海!」
「先輩に向ける目じゃないね」
「ええ、ドン引きの目です。反省してください。あと虎杖くんが苦しそうです」

ぐええ。という声が聞こえてきそうである。
無意識に力が入っていたのか、抱いていた力を緩めたらほっとした表情になる。
この大きな男見合った大きな手に抱かれているのだから、力が入れば苦しいだろう。そういう些細な力の加減に向いていないのだろう。
ごめんね、なんていうがどこまでできるのか。

「ねー、やっぱり名前が面倒見てよ」
「無理。あ、だからって菜々子ちゃんとかに投げちゃ駄目だからね。同世代の異性なんて言語道断」
「じゃあ恵にって言いたいけど恵も任務なんだよね。じゃあ傑」
「これから腐ったミカンの面接だよ私」
「七海」
「苗字さんと任務です」
「五条先生、頑張れ?」
「えー、名前に先生って言わると…がんばっちゃおうかな」
「うわ気色悪。七海くん預かってあげなよ…イタドリくん?可哀想だよ、こんなのが担任で」
「それは同感ですが、マンションペット禁止なので」
「くそ…名前に抱っこされて撫でてもらった男の余裕だな…」
「それ関係なくない?」
「にい…」
「あ、打ち合わせの時間だから私たち行くね」

行こう七海くん。と名前が七海の腕を引っ張って補助監督との打ち合わせに急いで姿を消した。
残された特級2人と、五条の腕の中にいる虎杖(猫)。

「毎回いいところどりなんだよね、七海って」
「GLGなのに…」
「で、虎杖どうするの?まさか本家に送るなんて言わないよね」
「に!?」
「言わないよ。ま、とりあえず悠仁は今日僕の部屋にお泊りだね。あーあ、名前に任せて悠仁を理由に押しかけようと思ったのに残念」
「こら悟、教育に悪いぞ」
「ついでに傑さ、呪霊貸してくんね?僕の出張中の悠仁の保護に」
「私の呪霊はペットカメラじゃないんだけど」
「だって心配でしょ?可愛い生徒が猫になって不安で頼みの綱である僕は出張!まあパパっと終わらせてくるつもりではいるけど。ねー、悠仁」
「に!」
「はいはい、低級でいいなら貸してあげるよ。虎杖もいい子にね」

じゃあ僕悠仁を部屋に連れて行くから、またね。と名前に言われたとおりに抱きなおし、長い脚を使って職員寮に向かった。

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