呪術 | ナノ
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「こら!すぐう…そうにゃらめいにゅるたれす……」
「え、今私怒られたの?」
「名前の寝言だから猫の方じゃないか?優しいスグル」
「傑作じゃないのか…」
「……名前、スグルなにしたの?」
「のちゃらめの…のこ、のら……こあ……めえ、よ」

飲んで食って、話題になった映画を見ていた時の事だ。
ソファで寝かされていた名前が急に声を出したから3人は名前を見るが名前は寝ている。そう、寝言である。
家入がついてからすぐ寝てしまった名前はまだ寝ている。まだ、というにはアレだが、任務が続いて疲れもあるのだろう。酒の力もあるが名前はよく眠っている。

「なんだって?」
「乗るなってとこに乗ったのかもな。かまってほしくて」
「……にゃー」
「めえ、お……あうゆあうのんむあう…らしゅ、え」
「意味わかんね」
「まあ夢だからな。夏油お前も猫のマネすんな、声が低いぞ」

あ。と何かを思った五条は寝室に駆け込んでファーが付いたコートをこれ見よがしに見せてくる。
酒の入ったグラスを片手に家入が「何するんだ」と言われた五条はニイと笑い、名前が寝てる毛布をめくって名前の手にファーを当てると名前はそれを撫でている。

「撫でた」
「お前……」
「つぐぅ………」
「あ、泣き始めたよ悟」
「え」
「ぐ、う……うぐう……」
「あーあ。スグル思い出して泣いてんなコレ。可哀想」

泣かしたー。と煽る家入に五条は焦る。そんなつもりはなったのだ、と。
酒が入った夏油も「あーあ。また名前泣かして」と一緒に煽るので余計に焦る。
ゆっくりとファーを引っ張って名前の手から外し、また毛布をかぶせる。
証拠隠滅ではないが、急いで寝室に戻ってコートをしまう。

「悟、毛布からぐずぐず聞こえるよ、どうするの」
「……起こそう」
「鬼、クズ」
「名前、起きろ。名前。起きろ」
「…ん、んあ?う……らにい…?」
「うなされてたぞ」

うわ。
平気な顔して嘘ついたぞ。
小さな声で家入と夏油が引く。そもそも疲れて寝ていたいという名前の希望さえも却下してわざわざ連れて込んでソファという寝るには適さない場所に無理矢理寝かされている時点でかなり酷い仕打ちだろう。
それをまた起こして「うなされていた」という嘘までついて。

「うぐうのうめ…みれら」
「あ?」
「うぐう…しんら…うぐう……」
「あーあ。泣かした、五条が泣かした。夜蛾センに言ってやろ」
「懐かしいねそのフレーズ」
「す、傑ならここにいるぞ名前…!」
「げおーくんは、うぐうじゃない」
「ゲロみたいだな。んふ」
「私巻き込むの止めてくれない?名前、お水飲む?」
「………といれ」

もそもそ起き上がってフラフラとしながらトイレに向かう名前。

「で、どうするんだ」
「なにが」
「また寝かせるのか?ここで?」
「寝れるんだからいいんじゃない?」
「悟…名前のあれ見て何も思わないのか…」

なにが?とわからない様子の五条に2人は溜息をもらす。
これでも高専よりは成長はしているのだから、まだまだなのである。
トイレから戻った名前は勝手知ったる他人の家、ではないがグラスを取って冷蔵庫を開けて冷えている水を取り出して一杯飲み干す。
「ふう」という声はしないが、動きからして一息ついたのだろう。またのろのろ歩いてソファに横になる。

「寝る?」
「かえりたい…」
「帰らないで…」
「名前、つまみあるけど食べるか?」
「かえる…」
「じゃあ私の膝に乗る?」

何が「じゃあ」なんだよ。と今度は家入と五条が夏油を見る。
まだ半分寝ぼけているのだろう、名前がまたもそもそと起き上がって床に座っていた夏油の膝に乗るが「かった…」と言ってすぐにソファに戻った。

「や…柔らかかった…」
「変態」
「ふにってしたんだけど…まって名前、君筋肉ある?あれだけ動くに体柔らかすぎない?大丈夫?」
「どっちの意味だよ」
「な、なんていうのかな…そう、例えるなら猫になった七海。あんな感じ」
「は?」
「夏油お前七海抱いたのか?」
「七海だとは知らずにね。硝子のところ行く前に。名前が必死に返せっていうから、何かと思ったよ」
「げとうくん、ななみくん抱っこしてズルい…もっと抱っこしたかった…」
「私たちは?」
「……ちょっとしたかった」
「僕らのほうが七海より絶対抱き心地いいのにー。名前は任務行ったじゃん」
「2人が一緒になるのが悪い…猫飼いたい…すぐるー…」
「なあに?」
「そっちじゃなーい」

目が覚めたのだろう。名前の声がハッキリしてきたし、受け答えもいつも通りだ。
今まで名前にかけられていた毛布を軽く畳んで膝に乗せ、それを撫でている。

「猫耳つけて」
「どうした名前、ご乱心か?いいぞ、もっとやれ」
「猫耳」
「僕似合うよ?」
「え、あるの?」
「ない。んで、急にどうしたの名前」
「いや、猫になったんなら猫耳に抵抗はないかと思って」
「そういや若い子で猫耳ヘア?だかはやってなかったか?夏油んとこの菜々子だか美々子が言ってたぞ」
「あ、私出来る。夏油くん頭貸して」
「え、私?」
「誘拐したの誰と誰だ?夜蛾先生に言いつけてやろうかと思ったけどいい歳した人間がすることじゃないからこれで少しは許してやろうと思うが、どうする」
「う、上から目線……」

輪ゴム、櫛!と今度は五条に命令して持ってこさせるあたり、酒が残っているのかもしれない。
段々面白くなってきた家入は夏油の頭を弄り始めたあたりからスマホで撮影を始めている。名前が鼻歌交じりに起用に片耳を作り、今度は反対側をつくる。

「五条くんもいけるかな…」
「やってみれば?なあ五条」
「僕ってば何でも似合うし」
「あ、この輪ゴムあれじゃないか!シリコンじゃない!」
「男が気にすんな。可愛いぞスグルチャン」
「ええー…」
「五条くんは髪が短いから無理!カチューシャしてえ」
「ないよ」
「えー彼女と猫プレイしないの?」
「しないね」
「てか名前は五条がそういうプレイすると思ってんの?」
「男ってそういうもんじゃない?知らなけど、私のイメージ。裸エプロンとか、女子高生の制服、ナース服、メイド服好きじゃない?」
「名前の彼氏はそういうの好きだったの?そういうプレイしたの?」
「してなーい。てか、夏油くん猫耳えぐいね、やばい。夢に出る、悪夢」
「君がしたんでしょ…」

ねえ硝子ヤバイよね、これは特級…。んふ、ふふふふ。と笑い始める。
家入が見ても確かに猫耳ヘアの夏油はヤバイしエグイ。ごつい男が若い女の子の間で流行ってる可愛い髪形をしているのだ。塩顔の男の頭にぴょこぴょこっと。
撮影は出来上がったころに終わってまた酒を飲んでいるが、思わず吹き出しそうなくらいには似合わない。

「さーて、帰るか」
「え、帰るの?マジで?今何時だと思ってんの、危ないよ」
「危ないとか。苗字名前、1級呪術師してます。結界術が比較的得意です!以前補助監督よりいい帳が落とせるって褒められました!」
「帳は降ろすだよ。酒抜けてないね。ほら、私たちも泊まるから名前も今日は泊まりな?」
「帰る!七海くんお迎え来てーって電話する」
「「は?」」
「伊地知くんだと車だしてくれるかなー?新田さん?」
「名前、やめな?今お仕事してるから」
「えー?」
「ついでに七海は滋賀、伊地知は静岡、新田は都内の任務にいるぞ」
「お迎えないの?特級と一緒にいるの任務じゃん、給料は?特別手当でるんでしょ?ねえ硝子!」
「お前ら名前からこう思われていることについて、どう思うよ」
「大変遺憾だねー超遺憾」
「へえ、名前って私たちの事そんな風に思ってたんだ…」
「人を攫ってソファに放置して悪夢見せている奴らが何を言うか。ここで吐くぞ」

酔っているせいかいつも以上に態度がデカい。いや、普段は理性がある分態度が大きくても可愛いものだが、今は横暴だといってもいいだろう。
家入はゲラゲラ笑っているが、家入から見れば名前のその態度の大きさは普段のお前らに対する鬱憤だよと言うのだろう。
名前と家入は同期の同性だけあって仲が良い。一緒に酒を飲むし食事だって特級以上にはしているだろう。お互いの部屋の行き来もあるし泊まることもある。その名前は酔ったところで家入にはそんな態度はとらないのだ。

「名前、冷凍庫にダッツあるから食べれば?」
「まーじで。たべるー!ダッツに酒かけたら美味しいかな、硝子の飲んでるのかけてみたい」
「これはアイスに合わないと思うぞ?」
「やりたーい」
「まあいいけど。もってきな」
「やった」

ぱたぱたと足音を立てて名前は冷凍庫でアイスをあさり、食器棚から器とスプーンをだしてアイスをレンジに数秒入れてから持ってきた。
慣れた手つきで器にアイスを出して「さけーさけさけー」とかけて食べて楽しそうにしているのを呆気にとられたまま見る特級2人。

「なに?あげないからね!あ、五条くんはお酒駄目だから無理か、あはは」
「………名前って記憶残るタイプ?」
「さあ知らない」
「記憶はあるよ。ついでにこの仕打ちも忘れてないから謝るつもりはない」
「お酒飲んでなくてもした?」
「アイス勝手に食べて怒るくらいなら誘拐すんなっていうよ。なので素面でも人の冷蔵庫冷凍庫はあさります。食料品庫をあさってないだけまだ酔ってる方がマシかもね」

これに懲りたらもうこういう事はすんなよ、特級。と名前はアイスを食べてスマホを弄りだした。

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