呪術 | ナノ
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※続すぐるとすぐる的な物
※夏油教師IF

「何持ってるの名前」

名前が持つ段ボール箱。呪術師である名前は書類関係以外の事務仕事は少ない。補助監督の仕事を手伝うこともあるが、基本的に補助監督は呪術師にさせることは嫌がる。まあ呪術師が補助監督を手伝うという事はほぼ皆無ではあるが、あまりに手が足りない場合は助けを求める場合がある。ほぼ皆無ではあるが。
そんな呪術師である名前が段ボール箱を持って急いでいる。

「あ、夏油くん」
「お疲れ。で、それ何?」
「あー…コレ?」
「どこ持っていくの?手伝おうか?」
「ううん、いいの。気にしないで」
「重そうだけど」
「平気」
「まあまあ」

名前の目の前に立って行き手を阻み、名前の持つ段ボール箱を奪うべく底を持つように手を回すと中身が揺れた。
不審に思った夏油が折られただけの段ボールの蓋を開けると、薄いクリーム色の猫が1匹。

「猫?」
「…猫」
「どうしたの猫なんて」
「い、いいの!放っておいてよ」

蓋を開けて名前が暴れる前に猫をひょいと前足の脇に手を入れて抱き上げる。
猫はひどく不満そうにして睨みつけるが、所詮は猫である。怖いことはない。
成猫で体は筋肉質、綺麗な目の色をしている。

「返して」
「飼うの?」
「………ご、ご縁があれば」
「まあ前猫飼ってたもんね。なんて名前にするの」
「飼うとは決まってないし。返して、硝子に診てもらうの」
「硝子は人専門だよ」
「いいの!返して!」

ふーん?と意味ありげに呟いて、夏油は名前の段ボール箱に猫を戻す。
すると名前に体重をかけるようにそちらに身を寄せて小さくなる猫。名前に「蓋!」と言われて夏油は言われるままに蓋をまた折った。

「猫は暗いほうが落ち着くの。じゃあね」
「まあまあ。私もついていくよ」
「いいです、やめて。夏油くんが一緒だと猫が落ち着かないから。声が低くて大きい人猫嫌いなの」
「散々言われたね、昔」
「特級なんだし、任務行ってよ」
「私がいると何か問題でも?」
「猫が怖がる」
「猫なら硝子より動物病院だよ名前。それとも、その猫本当は猫じゃないの?」
「あほらし」

べ!と舌をだしてから名前は夏油を追い抜いて医務室に向かう。それを夏油はやすやすとは逃がすつもりもなく名前の後ろを歩いてついていく。
「これからオフ?ご飯奢るから食べに行かない?」「そういえば悟は今日から福島に出張だって、次は京都」「この前硝子にお酒あげたでしょ?あれ私も欲しい」と一方的に喋って会話をしている風を装った。

「開けて」
「うん?」
「あ け て 。どうせなにしたって付いてくるんでしょ。ドアくらい開けて」
「はいはい」
「硝子、急患」

あ?と面倒くさそうに家入が医務室で振り返る。
入口には同期が2人。デカい夏油にそれから見たら小柄な名前。その名前が持つのは段ボール箱。家入から見て2人はいたって急患ではない。健康だし無傷だ。
近づいた名前が持っていた段ボール箱を患者用の椅子の上に置き、蓋を開けて指す。

「……猫?」
「…七海くん」
「七海?ほう…?」
「名前ってば七海抱いてたの?大胆だね」
「そういう夏油くんは七海くんを抱き上げましたね、大胆です」
「……。へました?」
「その場にいなかったから私はわからない」
「じゃあなんで七海だって」
「近くに七海くんの呪具があって、七海くん?て聞いたら返事するし、イエスノーを書いた紙をもって七海くんですかって聞いてイエスに前足でちょんてするし。七海くんあたり探してもいなかったし」
「ふふふ。名前って可愛いね」
「どーも。で、どう?」

そうだねえ。と猫を見る家入。
「ばーか、ただの猫だ」と言わないという事は猫は七海なのだろう。
小さな顔を掴まれ、右に左、上に下。と診てそれから持ち上げてみる。

「2、3日で解けるだろ。それほど根深いものじゃないが、切り離すのが面倒だ。よし七海、お前は3日ほど休暇だな、ははは」
「え、じゃあ本当に七海くん今猫なんだ」
「?お前が持って来たんじゃないか名前」
「まあ、そうなんだけど…」
「なんで段ボールに?抱いてくればいいじゃないか。毛が気になるの?」
「七海くん、今は猫でも人間の自我があるでしょ?先輩だっていっても、抱っこは嫌かなって思って」
「変なところ気にするな…」
「だってセクハラだとか言われたら面倒だし。私だって猫抱っこしたいよ…!でも、後輩だし、でも猫だし……」

吸いたい!!と名前大きな声で言う。
確かに高専時代に飼っていた猫によく顔をうずめていたし、猫は猫で迷惑そうにしていたものの飼い主の特権だからと許容していたようにも思える。そしてその姿を見た五条はよくゲラゲラ笑っていた。

「じゃあ七海に気を使って段ボール箱で運んだの?」
「うん」
「…私だったら抱っこのほうが嬉しいな」
「お?セクハラか?セクハラなのか?」
「失礼だな、純粋な気持ちだよ」
「乙骨くんに失礼だぞ。じゃあ猫の七海くんは誰が世話するの?学長?」
「名前がみれば?ついでに休暇申請してやるよ、代わりに夏油お前2人に代わりに任務行けよ」
「え!?」
「特級なんだから」

ちょ、待って!?と焦る夏油に名前は「さっすが夏油くん!頼れるう!」と家入の言葉に便乗した。

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