呪術 | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

「どうしたんだ悟」
「硝子来て!」
「どっかの女でも妊娠でもさせたかクズ」
「こら硝子」
「名前、泣かせた…」
「また?」
「お前も懲りないな。さっさと謝って来いよ」
「ガチ泣きしてた…」

はあ?と二人の声が重なる。
久しぶりに桃鉄やろうぜ!!と名前以外の同級生を集めてしていた桃鉄。
小腹がすいたと共同キッチンをあさりにきた五条が名前を見つけた。そこまでならいつもの事、よくあることだった。
ただその時は名前もテスト前だというので夜食を食べようとカップ麺にお湯を注いで自室に戻るところだった。それを五条に見つかりカップ麺を取り上げた。その際にバランスを崩して熱いお湯が入っているカップはひっくり返り、名前の手を直撃。一方五条は無下限のおかげで無事ではあったがカップ麺は床にちらばり、名前の手は赤くなって名前は急いで走り去った。

「は?お前それ早く言えよ!!」

話を聞いた家入はバタバタと共同キッチンに走る。続いてどうしていいかわからない五条、心配した夏油が続く。
共同キッチン手前の廊下にはそのままのカップ麺。キッチンでは名前が手を冷やしている。

「名前!」
「え、しょ、うこ…?」
「馬鹿から聞いた。後始末は馬鹿にさせな」
「で、でも」
「利き手じゃん。今治してやる」
「でも、申請は?」
「んなもん言わなきゃバレない」
「名前、硝子に治してもらいな。ほら悟、ビニール袋、雑巾、バケツ用意しな」
「な、なんで俺…?」

「「あ”?」」という2人の威圧的な声に大人しく掃除道具を持ってきて夏油に言われるまま掃除をする五条。
それに対してなんだか居たたまれない名前は反転術式を使っている家入に小さな声で「どうして皆いるの?」と聞けば「馬鹿に付き合って桃鉄してた」というではないか。
テストが近いとはいえ、名前以外の人間は学問も優秀で勉強なんていらないのだろう。そういえば勉強がどのだとかは聞いたことがない。

「勉強、しないんだ…」
「テストなんて形だけだから。名前だって別にしてないだろ」
「してる…」
「マジ?真面目だね。どう?痛くない?皮膚のこわばりは」
「大丈夫、痛くないしちゃんと動くよ」
「悟、名前に言うことがあるだろ」
「ご、ごめん…」
「五条くん…」
「………」
「許さない」
「は!?」
「そうやって謝れば許してくれるとでも思った?どうせ反省なんてしてないんでしょ?」
「し、してるし!」
「サルでも反省は出来るんだよ、パフォーマンスとして」
「はあ!?おま、人が」
「ほら反省なんてしないし悪いとも思ってない。もう少し上手くやれば?一般家庭出身だからって馬鹿にしてたんだろうけど。いい加減人から物盗るのも止めなよ、恥ずかしくないの?ああ、御三家ともなると周りがみーんなしてくれたんだもんね、わからないか。可哀そうにね、常識も知らないお坊ちゃん。人が火傷しようが何しようが助けてもらおうとお友達に走るんだもんね」
「おー、見事なブチ切れ」
「名前ってこういうタイプの怒り方するんだね」
「普段優しい人間が怒ると怖いっていう典型だな」

白い肌を赤く蒸気させ、プルプルと震える五条。
まあこれに関して五条をフォローできる要素がない。実際手当だってしていないし助けてほしくて友人に走ったし夏油に言われてやっと謝った。名前の食べ物だって今まで好き勝手奪っていた。それに関しては名前だってちゃんと抵抗しなかったという部分はあるが、それでも普通であればそんなことをしない。

「お、今度は泣き落とし?いいなー顔がいいとそうやって許してもらえるんだ、羨ましい」
「な、泣かねえよ!」
「声震えてる。へえ、そうやってたんだ。いいなー、羨ましいなー」
「すぐる!」
「友達に助けてもらうんだ。へえー」
「しょうこ!」
「じゃあどうやったら許してもらえるか大事なお友達に聞いて実行してみれば?いいなー頭がいいお友達がいて。羨ましー」
「………っ」
「硝子、手当ありがとう。夏油くんも」
「気にすんな」
「大事なくてよかったよ。私のでよければ夜食分けるよ」
「ううん、もういい。あまりに腹が立ってどうでもよくなったから」
「…あ」
「じゃあね、おやすみ」

ひらひらと名前が手を振って自室に戻る。五条の横を通って。
何か言いたげに名前に向かってパクパクと口を動かす五条だが、名前はそんな五条に一瞥もすることなく姿を消した。

「あーあ、名前怒らせた。ブチ切れのガチじゃんな」
「……さて、私たちも解散しよう」
「そうだな」

解散。と2人は五条を置いて名前と同じく自室に戻っていった。

翌朝、五条は名前を待ち伏せていた。
寮から出る名前の後ろを歩き、名前の歩調に合わせて後ろにつく。絶対に隣にならない程度、そして自分の手や足が届かない距離に。
それに対して名前は嫌な顔もせず、すたすたと歩いているあたり無視を決めているのかもしれない。
教室に入るとすぐ名前はドアを閉め、そしてすぐに五条が入るのにドアが開く。

「面白い呪霊連れてんじゃん」
「呪霊だなんて失礼だよ」
「名前…」
「呪霊に」
「名前…!」
「そもそも御三家のお坊ちゃんが人の後ろを歩くわけないでしょ?地球一周分先を歩いてるだけでしょ」
「ウケる」
「悟、黙って名前について歩いても無駄だよ」

昨晩よろしく白い肌を赤くするように怒っているが、一応は自分が悪いのを自覚しているので名前に対して怒るに怒れない五条。
イラついた様子でそのまま自分の席に座り、「不細工!」と怒鳴るとちょうど教室に入ってきた担任の夜蛾に「どういう意味だ」と詰め寄られた。

/