呪術 | ナノ
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「1年にこの任務は重いでしょ」
「2年だって重いよ…!」

ヘルプ来いよ。と呼びだれた沖縄。沖縄である。
特級2人組は極秘任務だと担任から聞いてたし、そういう任務は初めてじゃない。
つい最近やっと準2級の推薦がもらえた名前の身としては大変だね、でしかなかった。
2年になって後輩もでき、後輩とも何とかうわべだけでも仲良くしてもらっていた矢先である。1年と一緒に沖縄に呼び出されたのだ、沖縄に。

「苗字先輩も呼び出されたんですね…」
「家入先輩は?」
「硝子は戦闘タイプじゃないから高専にいるよ……なんで私まで呼び出されるんだろう…」
「先輩も強いからですよ!」
「強くないよ…」
「んー、じゃあ信頼されてるから!」
「あの2人から信頼されても苗字先輩嬉しくないでしょう」
「え、七海ひどくない?」

賑やか担当と言わんばかりに黒髪の灰原が金髪の七海に文句を言う。
この二人は名前から見ても仲がいい。というより、彼灰原が人懐っこいのだ。
さして強くもなく尖った才能もない名前にも「先輩、先輩」と寄ってきてくれる。
対して金髪の七海のほうは実にクールではあるが、先輩である名前を敬ってくれる。たまに「あんな化け物と同じ学年でかわいそうですね」と言わんばかりの目で見られるのは気づかなかったことにしておいて。

「私昨日まで北海道だったんだよ…」
「わあ!北から南!寒暖差どうですか」
「お疲れ様です」
「前から気になってたけど、2人って任務でもこんなの?」
「え?」
「そうです」
「あー…」
「あ、北海道でラーメン食べました?」
「食べる暇なく沖縄」

何か食べてきたらどうですか?体は資本ですよ!と元気よく心配してくれる灰原。
北海道でラーメンを食べていないだけで食事はしているので名前は笑顔で「大丈夫だよ」と返事をする。
いい子、なのだが同級生との差で気持ちが風邪をひきそうだと名前は思った。
彼らが入学してすぐに名前がサポートだと言って実習に付き合ったことがある。どちらもパワータイプで相性がいいのか悪いのかはその時わからなかったが、仲自体は悪くないらしい。同性という事もあってよく2人で行動しているのを見た。

「あー…任務じゃなかったら観光したいね」
「いいですね!」
「先輩はこれから東京に戻るんですか?」
「ううん、鹿児島…」

うわ…と後輩の声が重なる。
学生にしてはハードなスケジュールなのは名前もわかる。
いえば今まで飛び回っていた特級が沖縄におり、他の呪術師も飛び回り、それでも回らないと学生にまで飛び火しているのである。2年ならまあ使えなくもないだろうと特級でもない戦闘タイプだからと学生である名前は飛び回る羽目になったのだ。

「え、大丈夫なんですか…」
「わかんない…でもやらないと、終わらないし…。飛行機とか移動中は寝れるし」
「苗字先輩、先休憩してください。飯、食ってください。な、七海」
「そうですね。それがよさそうです。苗字先輩、休憩行ってください」
「え、でも…」
「私たちそこまでハードじゃないので。それに倒れられたら困ります」
「そこまでは…」

いいからいいから。と背中を押されて強制的に休憩にされてしまった。
仕方がないと割り切り、それに後輩が心配してくれた嬉しさをもとに名前はカバンを持ち直してフロア図を確認して食事ができるところを探す。
それから目についたところに入り、簡単に食事を済ませてからめぼしいフロアに入って後輩の軽食を買い、ついでにお土産を眺める。
任務とはいえ、これくらいは許してもらいたい。と誰とは言わないが誰かに願いながら次の鹿児島までのおやつを買う。

「お疲れ」
「え、先輩もういいんですか?」
「1時間も経っていませんよ」
「私2時間後にはもう飛行機に乗ってないとだし」
「「え」」
「これ二人の分ね、まだ沖縄でしょ?」
「え、ちょ、苗字先輩一緒にここから発つんじゃ…?」
「近い便じゃ、なく?え、先輩大丈夫なんですか?」
「大丈夫かどうかは別として、そうなんだよ」

ふふ。と遠い目で笑う名前に後輩2人はこれから名前に優しくしようと思った。


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