呪術 | ナノ
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※夏油双子ネタ


「うっわ、マジでそっくりじゃん」
「双子だからね、私達。久しぶりだね名前」
「おう。彼が噂の五条悟?くん?」
「うっわキモ。オッエー」
「悟。そう、彼が五条悟。悟、私の双子の弟の名前だよ」

よろしく。と差し出された名前の手。
夏油傑の双子の弟。双子というだけあってそっくりで、違うのは傑が長髪なのに対して短髪、拡張ピアスをしていた傑に対して名前はピアスをしていない。
それ以外では身長だって大差ないし声も似ている。顔も当たり前の様に似ている。


「名前は変わんないよね」
「五条に比べたら変わったよ」
「髪も短いし」
「切ってるからね」
「ピアスだって開けてないし」
「痛いのは趣味じゃない」
「離反しないし」
「する方が少数だろう?」

京都校の楽巌寺学長の付き添いで補助監督して働く名前東京校に来ていた。
言えば親友の双子の弟。ふと出会った当時を思い出した悟。
双子で術式持ち。傑は東京校に入学したが名前は京都校。なんで別れたのかと聞いた記憶があったが、その答えは少し曖昧だ。覚えていないから。確か、同じ顔があると面倒だろう?的な事を言われたような気がする。

「呪術師復帰させてあげようか?」
「いいよ、もう補助監督しての時間の方が長いし」
「つまんねーやつ」
「五条家当主を楽しませる程暇じゃないんで」
「才能あるくせに補助監督だなんてな」
「仕方ないさ、傑が離反して生きていられるだけマシだよ。それこそ五条のおかげさ」
「飼い殺しって知ってる?」
「今のこの現状、だろ」

お互い自販機で買ったドリンクを片手に雑談がてら休憩をしていた。
いや、休憩がてら雑談をしていた。
京都から楽巌寺学長の付き添い補助監督としてやってくると聞いた悟は楽巌時学長への嫌がらせがてら夜蛾学長の打ち合わせ時間をいじり、名前を見つけてこうして引っ張ってきた。
出身校が違っても、親友の弟だったという事で五条は処罰対象になった名前を五条家当主の力を使って助けた。それまでは数回、たった数回、それも片手で終わる程度しかあった事がない相手では会ったが、親友を救えなった代わりにと思ったのかもしれない。

「そういえば、例の宿儺の器の子、死んじゃったって本当?」
「悠仁?」
「名前までは聞いてないけど。その子ユウジっていうの?」
「虎杖悠仁。1000年いなかった逸材だよ」
「可哀想にね、まだ15歳だったって話だし。何もなければ普通の生活してたんだろうね」
「そーねー」
「で、それ本当に死んでる?」
「うん?」
「君がそういう反応する時って、だいたい嘘なんだよ」
「…んー?」
「まあ勘だけど。そもそもあの五条悟が学生を死なせるって事がまずありえないって思ってさ」
「信頼されてるね、僕」
「実績はあるからね。まあこれで壊れるかもだけど」

最強でもできることとできない事があるんだよ。と悟は笑いながら言う。
勿論名前と悠仁の面識はない。名前が悠仁を知っている理由は両面宿儺の器だから、それ以外にはないし、それだけ宿儺の器であるという悠仁はこの業界で有名になっているのだ。
グイッと残っていたドリンクを名前飲みあげ、「さて、と」伸びをする。

「もう行っちゃうの?」
「行っちゃうよ。仕事があるからね」
「僕さみしー」
「何言ってるんだい。君だって任務があるだろ?伊地知くんが今頃顔面蒼白で探してるよ」
「伊地知と仲良いの?」
「補助監督同士の繋がりだよ。こっちでも有名だよ」

伊地知くん。と名前は笑う。
あの五条悟専属に近いじゃないか。と続ける。

「名前さーん!名前さーん!!」
「あれ、三輪さん」
「お爺ちゃんと一緒に居た子じゃん」
「え」
「名前さーん!!あれー…いないのかな…」
「三輪さん、こっちこっち」
「あ!名前さ…うわ!五条悟だ!!」
「ゴジョウサトルだよー」
「どうかした?」
「あ、そうだ。楽巌寺学長がお呼びです!」
「わかったよ、ありがとう。あと、五条悟の呼び捨ては良くないからやめた方がいいよ」
「は、はい…」
「やだー、名前くんてば先生みたーい」
「はははは。冴えない補助監督だよ」

じゃあね。と悟に手を振る名前。
傑と同じ顔をして、似たような身長で、その脚で悟に振り返る事もなく学長が呼んでいるというから歩きだす。その後ろに水色の髪をした女学生が急いで追いかけ、すぐに見えなくなった。

「………そういうとこも傑に似てんだよな」

泡立つ炭酸を一口。
無駄に真面目で、それでいてたまにふざけて。
傑は特級だったが、名前が普通に呪術師になっていたら1級だっただろう。
貴重な人材だが夏油傑の双子の弟と言うだけで上は処分しろと喚き散らし、悟が五条家の力を使って回避させた。しかし当時の五条悟では回避だけしかできなかったのも事実。
現に今名前は補助監督という飼い殺しである。
傑には及ばないが名前だっていい式神使いだった。
東京に呼んでしまおうか、と前に考えたが名前には「京都の情報だって欲しいだろ、君」と言われてしまえば何も言えなかった。
腹心、まではいかないが名前もまた悟の我儘で生かされた人間である。生きている限りは君の力になるさ、と遠回しに言われた言葉。

「名前にも言われちゃったし、伊地知んとこ行くか」

めんどくせーけど。と悟もその場を後にした。

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