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「現在##name_2##一級呪術師との連絡が取れていません。本日の予定からして恐らく現場となっている渋谷周辺にて巻き込まれていると思われます」

10/31、世の中はハロウィンだと浮かれて渋谷の街に若者が繰り出す日、だった。
ざわついて情報が錯綜する東京呪術高専。昨年のクリスマスは予告があった分楽だったよな、という愚痴がどこからか聞こえる。

「##name_1##行方不明なんだってさ」
「可能性としては渋谷なんだろ?昨日私も##name_1##から愚痴聞いたよ、なんであんな人ごみの時に渋谷で任務なんだってな」
「忙しいとはいえ、一般人が多い時に呪術師派遣する?」
「忙しくて順番がその時だったのかもよ?まあ私はそういう管轄じゃないからわからんが、私だったら避けるけど。一般人に害が出たら面倒だからな」
「だよね。」

通常の任務であればまず一般人に害が及びやすい日程は避けるはず。
補助監督は最近京都校から転属になった男性。加茂家関係者。
五条も家入も直接かかわったことのない人物で、七海が数日前に担当になった時の感想としては「ごく普通の補助監督ですよ」という事。
うるさくもなく、静かでもない。余計なことは聞かないし口にもしない。

「で、そんな現場に五条は招待されてるんだろ?」
「そ。ご指名貰ってるみたい」
「ついでに##name_1##探して来いよ。飲み屋行く予約してるんだよ」
「努力してみるよ。七海にも言われてるし」
「七海は##name_1##の結界術買ってるもんな。五条も##name_1##を伊地知みたく補助監督に推薦したらよかったのに」
「駄目駄目、##name_1##はそっちよりも呪術師が向いてるって」
「なんで」
「僕の勘」

ニイと笑う五条。
そんな雑談をしていれば伊地知が急いでやって来て「五条さん、準備整いました。出発できます」と声をかけた。



その時##name_1##はなるべく冷静に、と現状を分析する。
渋谷での任務だというので、この馬鹿みたいに人が多い日に渋谷にやってきた。
10/31何て言えば浮かれた人間がごった返す渋谷に任務でなければ絶対に近寄らないだろう。一般人でさえ嫌がる日であり、翌日はボランティアの清掃活動まである地域だ。
ましてそんな時は呪いだって生まれる。生まれるのを予防できない呪術師にとって、生まれる前の地域には用事がないはずなのだが。
「##name_2##一級呪術師、任務です」と言われれば嫌だろうが何だろうが拒否することは五条以外では聞いたことはない。ごねることはあるが。
現場の渋谷、帳が降りて一般人は混乱している。
同行していた補助監督の姿がいつの間にか消えてしまった。彼とて一般人ではないので心配はあまりしていないが、それでも仲間だと思えば心の隅に止めておかねばならない。

「お前、呪術師だよね?」
「!」
「俺は真人。ちょっと一緒に来てくんない?改造人間って知ってる?ここで使っちゃうよ」
「特級、呪霊…」
「そ。人間、呪術師はそう呼ぶらしいね。で、来るの来ないの?俺はどっちでもいいんだけど、一応仲間に頼まれてんだよね」

仲間?何故?という疑問をここで問答できる状態ではない。
報告書で知っている情報と一致している、特級呪霊真人。人間型、アイスブルーの髪、つぎはぎがある。人の言葉を話してコミュニケーションが取れる。間違いはないだろう。
呪力感知が苦手な##name_1##でさえ禍々しさが分かる。これは##name_1##が同行して勝てる相手ではない。一般人が多いこの場所での戦闘は被害が多すぎる。

「……わかった」
「え、意外。物わかりが良いんだね、お前」
「どうせ死ぬなら時間稼ぎくらいできるでしょ」
「安心しなよ、五条悟を封印したらお前もすぐ死ねるから」

ついてきて。と混乱する人間たちが見えないはずの呪霊を避け、そして##name_1##が歩けるだけの隙間を作る。
どうして、何故。と思っている暇はないのだろう、周りの一般人は自覚があるのか無いのか分からないが呪術師から見れば人質。
大人しくその呪霊の後を追うしかできない。こんなところで呪具を振り回しても、結界術を使って特級呪霊には1人では勝てない。

「連れてきた」
「連れて…?真人、お前本当に連れてきおったのか。馬鹿な人間だな」
「だって頼まれたから。いないの?」
「作戦前だからな。あやつ自身にもなにかあるんじゃろ。で、それどうするんだ」
「逃げないように縛っとけって言われたけど。張相、お前縛ってくんない?俺呪霊だし」
「……イタドリユウジの、仲間か」
「呪術師って括りならね」
「虎杖悠仁は来るのか女」
「……いた、どり?」
「知り合いではなさそうだね。で、張相縛れよ。お前だけ受肉してんだから」
「…………」

持っていた呪具を取り上げられ、後ろ手に縛られる。
ギチギチと締めあげられ、流石に血流がなくなるとやばいと思った##name_1##は声を上げる。
チョウソウと呼ばれた男はやっとやりすぎている事に気が付いたのか、少し緩んだがそれでもキツイ。思わず##name_1##は「やりすぎ。もっと余裕がないと手が使い物にならなくなる」と文句を言う。

「どうせ死ぬのに?」
「封印が成功したら言ってくれる?」
「真人、お前ばらしたのか!?」
「うん。だって五条悟とどうやって連絡とるのさ、この帳の中で。五条悟が来ない限りこいつはココにいることになるし?まあ俺等に囲まれて、俺の改造人間になるか死ぬかしかないじゃん?」
「………このくらいか?」
「腕など全部取ってしまえ!」
「女だろう」
「あ?人間の雄も雌も関係なかろうに」
「でも、誰かの母親になるかもしれない」
「張相マザコンってやつ?」
「子に、母親は必要だろう抱く腕も、撫でる手も」
「逃げんようにお前が見張るなら儂は何も言わん!好きにせえ!!」

謎理論が出てきたが、おかげで##name_1##の手は無事になりそうだ。
この変な男、受肉というのだからもしかしたら盗まれた九相図の呪肉体なのかと勘繰る。
確か2体は呪肉体が死体となって処分されただか聞いている。まだ呪肉体があっても不思議ではないし、まあ一時的とはいえ助かったのだから御の字だ。
頭が火山の様にポッポとして、一つ目の呪霊もおそらく、いや確実に特級呪霊だ。
しかしこうも呪霊が、会話が出来て意思疎通ができるのだろうか。特級とはいえ異常が過ぎる、と言いたくなる。

「喋るとうるさいから口も塞いでおけ」
「勿体ないし頭でも殴って黙らせておけば?抵抗する意思もそげるんじゃない?」
「抵抗してないだろ、この女」
「張相人間の肩持つじゃん。どうしたの」
「半端者の考えなんぞ聞いてわかるものか。儂はそれを黙らせておけば文句は言わん」
「……がっ!?」
「わー!殴った」
「無駄な恐怖心を与えないだろう」
「張相って優しいのか怖いのかわかんないや俺」

頭が落ちきる前に張相が##name_1##の首根っこを掴み、それからゆっくりと着地させる。
怪我は真逃れたが、呪霊という存在の一撃は人間にはかなり強烈であるという事を知らないらしい。
力の差など些細なこと過ぎると言えばそうであり、また敵である人間・呪術師の安否など気にする必要は普段ないのだ。
依頼されて連れてきて、逃げないようにしている。一応は生きている状態で確保しろとは言われているが抵抗されたという理由で多少の危害は許容範囲内だろう。

「これ、なんで必要なの?」
「儂が知ると思うてか」
「五条悟おびき出す道具でもないじゃん?」
「気になるなら本人に聞けばよかろう」
「まあ、そうなんだけど。人間てよくわかんないなー」
「一時的な同盟みたいなものだ。理解の必要はない」

封印したらこれ、改造人間にしていいか聞いてみよ!と真人の楽しそうな声が響いた。